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政府のAI活用に羅針盤! デジタル庁「生成AI調達・利活用ガイドライン」策定

2025年05月27日 15時55分更新

文● サクラダ 編集●飯島恵里子/ASCII

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デジタル庁 平 将明大臣

 デジタル庁は5月27日、行政における生成AIの適切な導入と活用を推進するための新たな指針、「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」を策定したと発表した。

デジタル庁 平 将明大臣による記者会見(令和7年5月27日)

攻めと守りの両輪で、行政のAI活用を本格化

 AI技術、特に大規模言語モデル(LLM)をはじめとする生成AIの急速な進展は、産業界のみならず行政サービスのあり方にも大きな変革をもたらす可能性を秘めている。このような状況を踏まえ、デジタル庁は経済産業省や総務省など関係省庁と連携し、政府の各業務における生成AIの利活用促進と、それに伴うリスク管理を一体的に進めるための統一的なルールとして国の政府職員などに向けて本ガイドラインを策定した。

「行政の進化と革新のための AI政府調達・利活用ガイドラインの概要」より

 G7広島サミットでの国際的な議論や諸外国におけるルール整備の動き、そして国内の「AI事業者ガイドライン」や「デジタル社会の実現に向けた重点計画」における方針とも足並みをそろえる形だ。

各省へのAI統括責任者(CAIO)の設置など
生成AI活用をサポート

 本ガイドラインは、政府におけるAIガバナンス体制の確立や、各府省庁が生成AIを調達・利活用する際の具体的な手順、留意すべきリスクとその対策などを網羅的に示している。特に、企画段階から調達、開発・運用、実際の利活用、さらには生成AIシステム特有のリスクケースへの対応にいたるまで、ライフサイクル全体を通じたリスク管理の考え方を明確化した点が特徴だ。また、各府省庁におけるAI統括責任者(CAIO)の設置や、先進的なAI利活用に関するアドバイザリーボードの活用など、組織的な推進体制についても言及されている。

 デジタル庁はこれまでも、行政課題の解決を目指した「AIアイデアソン・ハッカソン」の開催や、生成AIシステムの各種検証事業を通じて、ユースケースの発掘や実用化に向けた試行を重ねてきた。本ガイドラインの策定により、これらの取り組みが一層加速され、行政サービスの質の向上や業務効率化が期待される。一方で、情報の正確性、セキュリティ、プライバシー保護といった生成AI固有のリスクへの適切な対応も求められる。

 このガイドラインは、デジタル社会推進標準ガイドライン群の中で、政府情報システムの整備及び管理に関するルールとして遵守すべき「規範」と位置付けられており、今後の政府におけるAI活用が、安全性と信頼性を確保しつつ、国民生活の質の向上に資する形で進展するための重要な一歩となるだろう。政府は、本ガイドラインに基づき、生成AIのポテンシャルを最大限に引き出し、「行政の進化と革新」を実現していく構えだ。

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