最高画質と中程度の画質で歴代xx60番台GeForceと性能比較
GeForce RTX 5060をゲーム11本でベンチマーク、「これでいい」と「VRAM 8GBはつらい」のせめぎ合い
2025年05月24日 11時00分更新
「Indiana Jones and the Great Circle」
Indiana Jones and the Great CircleはVRAM 8GBでは厳しいとわかっているが、再確認の意味でもう一度検証しておきたい。今回は画質「中」+パストレーシングなしの設定のほか、画質「高」+パストレーシング「高」設定も検証した。
RTX 3060 12GBおよびRTX 2060はFSR 3 FG、それ以外のGeForceはDLSS FGを利用。マップ「サンタンジェロ城」内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
画質「中」設定のフルHD時におけるVRAM平均使用量は約7.8GBなので、RTX 5060でも十分プレイできるだろう。とはいえ、この設定だとRTX 4060やRTX 3060 12GBでも十分快適に遊べるので、RTX 5060の必要性は感じない。一方で、画質をWQHDに上げると、RTX 5060 Ti 16GB以外は一気にフレームレートが低下。RTX 3060 12GBはここで脱落した。
画質「高」+パストレーシング「高」設定で動いたGPUは、RTX 5060 Ti 16GBのみ。ほかのGPUはまともに動くことすら許されない厳しい設定である。
画質「中」設定において、RTX 5060がきちんと働けたケースはフルHDだけであることがTBPの数値にも表れている。WQHDではGPUの処理が滞りすぎて、まともに処理できていないということだ。画質「高」設定だと、RTX 5060 Ti 16GB以外は論外だ。
最大の弱点が最大の武器をないものにする
ここまではDLSS MFGのスゴさを示すデータを多数提示してきたが、最後にRTX 5060の仕様そのものがDLSS MFGの足を引っ張る例を紹介しよう。
「DOOM: The Dark Ages」
問題のゲームはNVIDIAが激推しする「DOOM: The Dark Ages」だ。画質は「ウルトラナイトメア」、DLSSの学習モデルはTransformerを選択。RTX 3060 12GBより下のGeForceでは、フレーム生成を利用するためにFSR 3を選択している。
キャンペーン最初のステージにおいて、一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。VRAM平均使用量はフルHD時で6GB程度のため、画質を下げた設定では検証していない。
フルHDの段階では特に何の問題もない。RTX 5060はDLSS FGだけでも平均150fps超えで、RTX 4060も平均128fpsと良い感じのフレームレートだ。DLSS MFGを利用してフレームレートを伸ばせば、RTX 4060を完全に置き去る。
しかし、問題はWQHD以上の設定だ。RTX 5060 Ti 8GB〜RTX 4060までのVRAM 8GB勢のフレームレートが一気に下がる。これはVRAMが極端に不足すると、ゲーム側がDLSS FGやMFGの処理をキャンセルするという仕様によるものだ。
RTX 5060環境において、フルHD&DLSS MFG 3x設定時のフレームタイムの推移。青がMsBetweenPresents基準、緑がMsBetweenDisplayChange基準のフレームタイムとなる。DLSS FGやMFGが効いていると、青い領域は激しく上下に動き、図のように領域を塗りつぶしたような感じになる(こうなる理由は以前の記事で解説しているので。興味がある方はご参照いただきたい)
同じ環境でWQHD&DLSS MFG 3xにした時のフレームタイム。青と緑がほぼ同じような動きになるが、これはDLSS FGの処理が省略されていることを示している。DLSS FGが省略されているのだから、当然MFGも効いていない
DOOM: The Dark Ages側でパフォーマンスデータを表示させてみた。中央やや下の「Generation:」の部分に「Nvidia DLSS 3x, Presented 3x」とあるが、これは「DLSS MFG 3x」に設定されていて、実際に「3x」として処理されていることを示す。解像度は中央付近に書いてある通り、フルHDである
今度はWQHDの場合。「Presented 1x」となっていることから、DLSS FGの処理がキャンセルされ、フレーム生成なし(1x)となった。VRAM Freeが0MBになっていることから、DOOM: The Dark Agesが使えるVRAMが足らないからこうなった、と考えられる
なぜこのような挙動になっているかは明らかにされていない。無理にフレーム生成をしてレンダリングに遅延が発生する状況なら、フレーム生成をキャンセルしたほうが良い、という知見があるのかもしれない。
とはいえ、DLSS FGをキャンセルしたとしても4Kまで解像度を上げると、VRAM 8GB以下のGeForceではパワーとVRAMが同時に不足するため、DLSS FGのキャンセルは“一縷の望み”をかけた実装なのである。
DLSS FGがキャンセルされてしまうWQHDと4Kのワットパフォーマンスに注目すると、RTX 5060よりRTX 3060 12GBのほうが良く見えるという点が興味深い。ただし、RTX 3060 12GBでは4K&ウルトラナイトメア設定で快適に遊べるかというと、決してそんなことはない。

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