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COMPUTEX TAIPEI 2025レポート 第16回

中国への輸出規制は効果がないとNVIDIA CEOが持論を展開、ヒューマノイドロボットが次の数兆ドル産業になる

2025年05月21日 20時00分更新

文● 中山 智 編集●北村/ASCII

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ヒューマノイドロボットが次の数兆ドル産業になる

 NVIDIAが大規模から個人用AIデバイスまでシステムを構築している中で、個人用AIハードウェアを特に展開するか、ロボティクスと産業AIをどのように優先するかという質問がなげられた。ファン氏は、「DGX Spark」と「DGX Station」を「パーソナルAIスーパーコンピューター」のようなものだと再度強調。DGX StationはAI専用に作られた「世界初のAIコンピューター」であり、2016年にOpenAIに無償提供したのが最初の顧客だったと明かした。

 世界中の開発者が自身のDGX Stationを欲しがるが、DGX Stationは大きいため小型版を作った。これらは「世界初のAIネイティブ個人コンピューター/システム」であると述べた。ロボティクスについては、「次の産業革命になる」と断言。技術の成功には、優れた能力、有用性、十分な顧客と量が必要であり、技術フライホイールが高ければ指数関数的な洗練と性能向上、コスト低下が起こる(スマートフォンのように)と説明。

 ヒューマノイドロボットは、人間が多くの場所に存在するため「多くの場所で使える唯一のロボット」であり、自律走行車と同様の特性を持つ。これらが機能的、有用になればブレイクするとした。NVIDIAのIsaac GR00Tはヒューマノイドロボティクスプラットフォームであり「非常に成功している」と述べ、これが「次の数兆ドル産業」になると予測した。

 データセンターをホリスティックに(広い視点で)見たように、他に見るべきセグメントはなにかという質問に対し、ファン氏は次に非常に大きくなるものは基調講演で断片的に触れていると述べた。「モデルスライド」はそのひとつで、次に挙げたのが「通信」だ。

 1兆ドル規模のグローバル通信インフラがAIで「リセットされる」と述べ、現在の通信方法よりも、AIを使った圧縮技術は信じられないほど効率的であり、音声品質を向上させつつデータレートを下げられるとした。

 機械学習などを使うことでスペクトル効率を劇的に高め、エネルギー消費を大幅に削減可能。世界の携帯電話が世界の電力の約3%を消費している現状に対し、「10分の1に減らせる可能性」を示唆し、AIが通信を革命すると述べた。

 巨大データセンター、特にギガワット級のものが持続可能かという質問に対して、ファン氏はデータセンターが複数のデータセンターの集合体であり電力供給は可能だとした。中東のような余剰エネルギーを持つ国は、エネルギー輸出の代わりに「AIを輸出したい」と考えており、これにより産業を活性化し付加価値を高めると述べ、今後より多くの国がこれを望むだろうと予測した。

 Advanced Packagingの重要性についての質問に対し、ファン氏はAIにとってAdvanced Packagingの重要性は「非常に高い」と強調。ムーアの法則がコスト効率の良いトランジスタ集積の限界に達したため、チップレットを2.5Dパッケージングでまとめる必要があり、将来はシリコンフォトニクスをパッケージに直接接続する技術(Co-packaged optics)も重要になる。将来のパッケージング技術は「非常に複雑でクール」だと述べた。

 NVIDIAが企業のAI工場化を予測したように、将来、家庭に多くのワークステーションがあり、人々が自身のAIユースケースを作成・カスタマイズするパーソナルAIの未来を想像できるか、という質問にファン氏は「まったくその通りだ」と答え、DGX Stationのような小型コンピューターは、10年前未満のスーパーコンピューターより強力だと説明。アーキテクチャとソフトウェアのおかげでシステムは劇的に速く小型化しており、これは素晴らしいAIマシンになると述べた。

 データセンターやコンピューティングインフラにおけるNVIDIAの次なる「限界突破」はなにかという質問に対し、ファン氏は「本当に良い質問」だが、秘密なので言えないと答えた。それが現在取り組んでいることだとし、今後のGTCで発表されるだろうと述べた。少なくとも今後5年間のGTCは「非常におもしろい」ものになるだろうとも話していた。

 最後の質問として、台湾のオフィス拡大が地域の地政学的安定の信号か、あるいは米国政府への働きかけか、という質問が出た。ファン氏は、まずオフィス拡大の理由が「現在のオフィスに椅子が足りないから」というユーモラスな説明を繰り返した。

 従業員全員が同時に座ったり作業したりできないため、より広いビルが必要なのだと述べた。地政学については、米国はAIの未来のスピードを最大化すべきであり、そうしないと競争相手が現れるとした。

 米国政府は米国技術が中国市場にサービス提供、参加、競争することを許可すべきであり、なぜなら中国には世界のAI開発者の50%がおり、彼らが開発する際にNVIDIAや少なくとも米国技術上で開発することが重要だからだと改めて強調した。

 加えて、この地域の安定性が非常に重要であり、世界中が安定を保つことを願うとも述べた。NVIDIAが成長しており、AI革命、AIインフラ構築はまだ始まったばかりであり、すべてを統合し変革し始めたばかりだと話している。

 今後数年で「数兆ドル規模のAIインフラ」が構築されると予測できるため、台湾は製造のグローバル化が進む中でも、引き続き活気あるエコシステムであり続ける強調し、だからより多くのチップが必要になるのは当然だ、と締めくくった。

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