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GeForce RTX 50シリーズまとめ 第31回

RTX 2060、RTX 3060、RTX 4060、RTX 5060 Ti 8GB&16GBと比較

GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける

2025年05月19日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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クリエイティブ系アプリでも順当進化

 ここからはクリエイティブ系アプリの検証となる。まずはCGレンダリング系のテストからはじめよう。

「Blender Benchmark」

 Blender Benchmarkではバージョン「v4.4.0」を指定した。レンダリングデバイスは当然ながらGPUである。

GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける

Blender Benchmarkのスコアー

 GPUごとの優劣は3DMarkと同じ傾向だが、ここではRTX 5060が旧世代、特にRTX 2060やRTX 3060 12GBに対して大きな差(55〜138%増)をつけている点に注目してほしい。

 RTX 5060 Ti 8GBやRTX 4060との差は17〜20%と、あまり大きくないような印象を受ける。ちょうどRTX 5060は両者のほぼ中間に着地したイメージだ。

「V-Ray Benchmark」

 V-Ray Benchmarkは2種類のGPUレンダラー(RTXとCUDA)を使用する。どちらも5分間動かした後のスコアーを比較した。

GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける

V-Ray Benchmark:スコアー

 V-Ray BenchmarkではBlender BenchmarkよりもRTX 5060 Ti 8GBとRTX 5060の差が小さく、逆にRTX 4060との差のほうが大きい。RTコアの世代が古いRTX 3060 12GBやRTX 2060との差はBlender Benchmarkよりもさらに拡大している。

「UL Procyon」 (Premiere Pro)

 続いては動画エンコード系の検証だが、まずはUL Procyonに収録されている「Video Editing Benchmark」を使用する。これは「Premiere Pro」を実際に操作し、4種類の動画(再生時間は1分前後)をH.264やH.265のMP4にエンコードする速度を見るというものである。エンコードデバイスはGPUを明示的に指定している。

GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける

UL Procyon:Video Editing Benchmarkの総合スコアー

GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける

UL Procyon:Video Editing Benchmarkにおけるエンコード時間その1。コーデックはH.264を利用

GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける

UL Procyon:Video Editing Benchmarkにおけるエンコード時間その2。コーデックはH.265を利用

 RTX 5060を含む上位3モデルの総合スコアーはほぼ横並び。このテストの処理中はCUDAコアも使う(タスクマネージャーで3Dの負荷が上下する)ため、CUDAコア数も関係するのではと考えていたが、RTX 5060クラスのGPUでは影響が少ないようだ。

 一方で、旧世代はRTX 5060より確実に処理時間が長い。NVEncの仕様で言えば、RTX 2060よりもRTX 4060のほうが新しい(AV1対応)のだが、Premiere Proではまったくふるわなかった。

 RTX 4060はRTX 3060 12GBやRTX 2060よりもメモリー帯域が劣っており、その点が処理時間に悪影響を及ぼしていると考えられる。ちなみに、RTX 2060のほうがRTX 3060 12GBよりもわずかにエンコード時間が短い点に関しては、次のテストでも確認できている。

「HandBrake」

 再生時間約3分の4K@60fps動画(H.264)に対し、プリセットの「H.265 NVEnc 2160p 4K」で再エンコードする時間を比較した。なお、各種パラメーターの設定はプリセットのままだ。

GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける

Handbrake:エンコード時間

 先のVideo Editing Benchmarkと同じく、RTX 5060 Ti 16GB〜RTX 5060でまったく差が出なかった。しかし、RTX 4060はRTX 5060との差をかなり縮めている。

 対して、RTX 3060 12GBはRTX 5060から20秒以上遅れるだけでなく、RTX 2060より微妙に遅くなっている。凝った編集をせずNVEncを使ったシンプルなエンコード速度だけ考えた場合、RTX 3060などからRTX 5060に移行するメリットはあるかもしれない。

「DaVinci Resolve Studio」

 これまでRTX 50シリーズで追加された4:2:2 10bitカラーフォーマット対応のNVEnc検証には、NVIDIAから提供された特別なビルドを利用していたが、現在公開中のDaVinci Resolve Studioのv20(パブリックβ)でようやく本流に組み込まれる模様だ。

 4K動画のプロジェクト(再生時間32秒)をCBR 80MbpsのH.265で出力する時間を計測。RTX 50シリーズではH.265のプロファイルに「Main 10 4:2:2 10bit」を指定することで新カラーフォーマットでエンコードできるようになるが、旧世代のGeForceとの比較用に4:2:0 10bitの「Main10」プロファイルを使用した場合のテストも実施した。

GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける

DaVinci Resolve Studio:エンコード時間

 DaVinci Resolve StudioでもRTX 5060 TiとRTX 5060の間に明確な差はなく、RTX 4060より下のGPUとは一線を画す性能を示した。RTX 5060はVRAMが8GBなので、DaVinci Resolve Studioで本格的な作り込みをするにはあまり向いていないが、エンコード性能はVRAM搭載量の多いRTX 5060 Ti 16GBと遜色ないものを備えていると言えるだろう。

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