初心者にも入りやすく、かつ奥深いモードに

OW2の「スタジアム」開発者インタビュー、敵味方に合わせたアップグレード購入が勝利のカギ!

文●八尋 編集●ASCII

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「オーバーウォッチ2」では、新モード「スタジアム」が実装

 Activision Blizzardが展開する「オーバーウォッチ2」では、新モード「スタジアム」が実装された。通常モードとは異なる3人称視点、かつアップグレード購入フェーズがあり、フェーズごとにヒーローを強化していくゲーム性が特徴となっている。

 今回、実装にあたってゲームディレクターのAaron Keller氏にインタビューする機会をいただいたので、紹介しよう。なお、スタジアムの記事については以下もチェックしてみてほしい。

・OW2の新モード「STADIUM」は、ヒーローが限界突破するロマンを求めて開発! 本社で開発陣に直接聞いた
・【本社取材】OW2の新モード「STADIUM」が楽しい! 3人称視点でラウンド制&強化購入式

オーバーウォッチ2のローンチ時から企画を温めてきた
通常モードと共存する3つ目のモードになってほしい

──「スタジアム」発表から時間が経ちましたが、ユーザーの反響はいかがですか?

ゲームディレクターのAaron Keller氏

Aaron Keller氏:プレイヤーとコミュニティのリアクションは、とてもワクワクしているという感じが見受けられました。この新しいゲームモードの期待値が高いと思っています。フィードバックについても、ポジティブなものが多く、大変うれしいです。一番リアクションが多かったのが、各ヒーローに対するさまざまなビルドの変換についてです。多くのアップグレードを用意したことで、ユニークなビルドも作れるということに興味を示していただいています。

──スタジアムが企画された背景を教えてください。

Aaron Keller氏:最初にこのアイデアを考え出したのが、約2年半ほど前になります。オーバーウォッチ2のローンチの直前あたりくらいから温めてきました。新しいオーバーウォッチのモードとして、本当に大きく振りかぶってヒットするような大きな“何か”がほしかったですし、それと同時にオーバーウォッチの弱点をフィードバックでいただいた中で、それに対するカウンター的なモードを出したいと思って、こういった形のモードを考えました。それと同時に、コンペティブとは別に自立したゲームモードとして開発したいという意図がありました。本格的にモード開発が始まったのが約1年前で、何度も試行錯誤しながら考えていき、多くのバージョンを作ってきましたが、ヒーローをカスタマイズして新しい遊び方を追求するということはずっと中枢に置いて開発してきました。

──オーバーウォッチとして新しいゲームルールになりますが、ズバリ勝利に近づくためのポイントはどこになりますか?

Aaron Keller氏:試合ごとに必要とされているヒーローのアップグレードを正しく選択することだと思います。スタジアム専用のマップを覚えるということもありますが、やはりこれまでプレイして培ってきた自分の知識を、このスタジアムでも利用できるというのも、利点だと思います。それに加えて、ヒーローにアップグレードをどんどん購入していくシステムにおいて、一番自分を活かせるのと同時に、自分のチームメイトがどういったプレイをしているか、敵チームが何をしてくるかに合わせてアップグレードを選択するというところに戦略的要素があるので、そこの選択を正しく行なえば、勝利が近づくでしょう。

敵味方のヒーローに合わせてビルドを決められると、勝利に近づくとのこと

──スタジアムの登場により、従来のモードのプレイヤーが分散される可能性があると思います。その点についてはどうお考えですか?

Aaron Keller氏:実際にどうなるかは、ローンチしてからだと思うので、開発陣も興味を持って見ています。オーバーウォッチらしいプレイがありつつも、異なるプレイスタイルになっていくので、実際の戦闘中はオーバーウォッチを遊んでいる感覚だけど、全体的にはちょっと変わってきます。そこで期待しているのは、今までオーバーウォッチを遊んだことがない、または昔遊んでいたけど今遊んでいないプレイヤーが、スタジアムが登場したことで興味を持って戻ってきてくれることを望んでいます。スタジアムには大人数が集まってくれると思っていますが、そのうえでカジュアル、コンペとともに共存する3つ目のゲームモードとしてちゃんと自立してくれることが、私たちの望みです。

ピックヒーローを限定して初心者にも遊びやすく!
慣れたら敵味方に合わせてビルドを調整してほしい

──スタジアムは新規プレイヤーにはどのように触れてほしいと考えていますか?

Aaron Keller氏:オーバーウォッチのようなヒーローシューターは、ヒーローの数が多くさらにアビリティがあるということで、ハードルは高めかもしれません。それは、このようなジャンルの宿命だと考えています。しかし、スタジアムはピックできるヒーローが絞られていますので、すべてのヒーローを覚える必要はありません。スタジアムはそういう意味でも最初のハードルを少し低めにしているので、初心者でも入りやすいと考えています。ただ、逆にヒーローが使えるアビリティが若干多いので、やはりその辺は色々学習してもらわないといけないのですが、今回のスタジアムのローンチの1つの目玉として、お任せビルドというか、ビルドのテンプレートを用意しています。これは、ヒーローごとに2つ用意していますので、最初にプレイするときはそちらを使ってみて下さい。そして、遊んでいくにつれて、徐々にそのテンプレから自分の道を探し、最終的には自分のチームの状況や敵の状況を把握して、それに合わせて毎回カスタマイズするところまで行ってほしいですね。

スタジアムで使用できるヒーローは限定されている

──スタジアムモードは、なぜ途中でヒーローを変更できないのでしょうか。また、今後も変更できる仕様にする予定はありませんか?

Aaron Keller氏:ヒーローを途中で変えるということは、開発陣の中でもたくさん議論してきました。そして変更不可という結論に達したのは、やはり敵のビルドに合わせて自分のカスタマイズを調整するという遊び方をしてほしかったからです。変更して敵味方がビルドに合わせられなくなるというよりは、しっかりとビルドを見極めてそれに対するカウンタービルドを作り上げるということのほうが、面白いと考えました。例えば、ゲンジはアップグレードアイテムの1つにビームを反射するという能力があります。相手にザリアがいると、そのビームを反射するためにそのアイテムを買おうとなります。それが、相手がザリアから別のヒーローに変えてしまうと、それが無駄になってしまいます。戦略的に買ったアイテムが無駄にならないということを保証しないといけないと考え、変更は不可にしています。ただ、それでもプレイヤーの多くが変更を求めるのであれば、再度検討してみると思います。

ヒーロー変更不可にしたことで、ビルドの構築がより重要性を増す

──最近ではスタジアムのほかにパークシステムといったように、ハイカロリーなコンテンツが続いていると思うんですけど、今後もさらにインパクトが強いアップデートを続けていくのか、はたまた一旦落ち着いていくのか、アップデートの方向性を教えてください。

Aaron Keller氏:パークシステムやスタジアムがゲームにもたらす変革がとてもワクワクするんではないかと思います。また、両方においてプレイヤーが自分の使うヒーローの挙動を変えていくというのが大きなポイントになっています。その中で、まずはプレイヤーが色々と試してみたいということは大きいと思うので、開発陣としてはそれを理解しつつ、そのうえでカロリー高めな変更を追加していきたいなという思いに駆り立てられる気がします。スタジアムにおいては、スタジアムというモードをさらに進化させていく専用のチームを用意しています。シーズンごとに新しいヒーローやマップを追加するためです。進化させるごとに、プレイヤーが今のビルドではだめだと思ってもらえるような新しいビルドは作っていきたいと考えています。パークも同じで、シーズンごとにバランス調整はしていきたいと思います。何シーズンかしたら、プレイヤーの皆さんがやりたいことが全体的に見えてくると思いますし、そこからさらに新しい要素を実装していくことで、プレイヤーが遊ぶ幅が広がっていくのではないかと思うので、コンテンツを今まで以上のペースで提供で着たらいいなと思っています。

──オーバーウォッチの通常モードに加えて、なぜスタジアムという新しい体験が必要だと判断されたのでしょうか?

 オーバーウォッチ2は、多くの人に長く遊んでもらったため、対戦で何をすればいいかというものをわかっているし、テンプレが出来上がりつつあります。そのため、スタジアムとパークを追加することが決まって開発を始めた際に、新しい選択をプレイヤーたちが考えていく、試合中に新しく何かをするということを追加したかったです。新しい何かというのは、クイックプレイやコンペではパークになりますが、スタジアムではさらにその風呂敷を広げて、もっと大掛かりにしたいと考えていました。また、スタジアムでは通常モードよりも少し息抜きできるようにしたいという考えもありました。通常マップではゲーム終了まで動きっぱなしで、私はそれもすごく好きなんですが、人によってはちょっと息抜きがほしいということもあると思います。スタジアムではそういった息抜きの時間も提供したいと考えました。ただ、プレイヤーの皆さんが大事にしている価値観は損ないたくなかったので、別モードとして開発したかったというのもあります。そのため、スタジアムはコアモードとは違う独立したモードになって、お互いを皆さんが楽しんでくれればと思っています。

──ありがとうございました。

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