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エンタープライズ市場に続き、クラウド市場や中堅中小企業市場でも地位確立を目指す

国内シェアNo.1の次は「市場シェア50%獲得を目指す」―Veeam 古舘社長

2025年04月17日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ArcServeから移籍の江黒氏、中堅中小企業市場向けビジネス戦略は?

 昨年11月、Veeam Japanに副社長として迎え入れられた江黒研太郎氏は、それまでおよそ10年間にわたり、競合ベンダーであるArcserve Japanの社長を務めてきた人物だ。Arcserveは特に中堅中小企業市場で高いシェアを持っており、その手腕を買われての入社となる。

江黒氏がVeeamに入社したきっかけは、古舘氏と「バックアップの新しい標準を一緒に作ろうと意気投合した」ことだという

 パートナー営業統括本部の本部長も兼務する江黒氏は、2025年度のパートナー戦略として3つのテーマを説明した。「ワンストップサポートサービスの拡大」「ハイブリッド/マルチクラウド環境のバックアップ統合」「ランサムウェア対策としてのバックアップのフルサポート」の3つだ。

2025年度のパートナー戦略

 ワンストップサポートパートナーとは、Veeam製品も含む高品質なサポートを、ワンストップで顧客に提供できるパートナーのことだ。Veeamからは専用トレーニングを提供し、パートナー側ではVeeamスキルの認証資格を保有する。すでに日立製作所やCTCグループとそうしたパートナー契約を締結しており、今年度はさらにこのパートナーを拡大していく方針だ。

 ハイブリッド/マルチクラウド環境のバックアップ統合は、クラウドインテグレーター(CIer)領域のパートナー拡大を狙った施策だという。「Veeam Backup & Replication(VBR)」を採用することで、オンプレミス環境と複数のIaaS環境をまとめて管理でき、さらに異なる環境間でのマイグレーションも容易であるという利点を訴求していく。

 最後のランサムウェア対策のフルサポートは、中堅中小企業向けパートナーを拡大するための施策だという。中堅中小企業は、SIerや販売店が推薦する製品をそのまま導入する傾向が強い。そのため、Veeamとしてはパートナーに「なぜVeeamが良いのか」を理解してもらう必要があると、江黒氏は説明する。

 ここでは、VBRが中堅中小企業でも手軽に導入できるうえ、段階的にイミュータブルバックアップや、クラウドへのオフサイトバックアップまで拡張できる点がアピールポイントになるという。

 「(イミュータブルやクラウドまで)一括で導入するのは、中小企業のお客様にとってはコスト的に負担がかかる。そこで、ランサムウェアからのデータ保護を段階的、計画的に導入できる点が、『なぜVeeamを入れておくべきか』のポイントになる。パートナー様にとっても、1回の商談だけに終わらず計画的な(継続的な)商談につながる」(江黒氏)

中堅中小企業向けには、VBRを用いたランサムウェア対策環境の「段階的な」導入を提案していく

 加えて江黒氏は、「Microsoft 365」や「Microsoft EntraID」のデータ保護についても、その必要性をパートナーと共に日本市場に訴えていきたいと述べた。海外と比べて日本はSaaSデータのリスク、「データ保護はユーザー側の責任範囲である」という認識がまだ薄いと指摘している。

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