GeForce RTX 50シリーズまとめ 第27回

RTX 5070、RTX 4060 Ti、RTX 3060 Ti、RTX 2060 SUPERと比較

GeForce RTX 5060 Tiの16GB版を検証、“xx60 Tiの欠点”は克服できたのか？

基本スペックが高いRTX 5070に思い知らされる

　最初に試すソフトは「3DMark」。ラスタライズとレイトレーシングでグラフを分割している。このテストのみ、マザーボードのBIOS設定でPCI Express x16スロットのリンク速度をGen 4に落とした場合（Pownetics v2のライザーカードを装着）と、Gen 5のまま（ライザーカードは未装着）で使用した場合のスコアーを比較している。

3DMark：ラスタライズ系テストのスコアー

3DMark：レイトレーシング系テストのスコアー

　まず、PCI Expressのリンクがx8接続と狭いRTX 5060 Tiにおいても、PCI Express 5.0（Gen 5）接続であることは一般的なグラフィック描画において必要可決ではない、ということがわかるだろう。よって、これ以降の検証はすべてPCI Express 4.0（Gen 4）接続（Pownetics v2のライザーカードを含む）状態で実施している。

　改めてスコアーの出方を概観すると、RTX 4060 Ti 8GBに対し、RTX 5060 Ti 16GBは20〜30％と良い感じで伸びている。RTX 3060 TiとRTX 4060 Ti 8GBの差よりも、RTX 4060 Ti 8GBとRTX 5060 Tiの差のほうが大きい点にも注目だ。これはRTX 5060 TiでSM数が増えただけではなく、メモリー帯域も激増した影響も大きいからだと推察できる。

　ただし、格上のRTX 5070に対してはRTX 5060 Ti 16GBは30％程度下の性能となる。3DMarkのテストではVRAM 12GBでも不足になることはないため、基本スペックの高いRTX 5070が順当にスコアーを伸ばすためだ。

消費電力はRTX 2060 SUPER相当

　3DMarkの次は消費電力をチェックしよう。Pownetics v2を利用し、電源ユニットとマザーを接続する各種ケーブルおよびPCI Express x16スロットに流れる電力を直接計測する。

　3DMarkのSteel Nomadを実行した際の消費電力になるが、システム全体およびビデオカード単体の消費電力（TBP：Total Board Power）という2つの観点から集計。また、アイドル時の消費電力はアイドル状態で3分間放置した時の平均値だけを掲載している。

システム全体の消費電力：ATXメインパワー、EPS12V×2、PCI Express x16スロット、ビデオカードの補助電源ケーブルそれぞれに流れた電力の実測値から算出したもの

ビデオカード単体の消費電力：前掲の消費電力データから、PCI Express x16スロットおよびビデオカードの補助電源ケーブルの消費電力だけに注目したもの

　システム全体で見ると、RTX 5060 Ti 16GBはRTX 5070のやや下。TBPだけに注目すると、むしろRTX 4060 Ti 8GBに近い消費電力となっている。今回テストに使用したRTX 5060 Ti 16GBカードはファクトリーOCモデルではないため、TBPの平均値がTGPの公称値180Wに非常に近い。

　グラフには検証中の瞬間最大値と99パーセンタイル値も記載しているが、RTX 5060 Ti 16GBはフルに使っても200W強、瞬間的に210Wを超えるかなという程度に収まっている。これはRTX 3060 TiやRTX 2060 SUPERといった、旧世代のGeForce RTXシリーズ並みであり、当然RTX 5060 Ti 16GBはワットパフォーマンスでRTX 20〜30といった旧世代を圧倒していることを意味している。