RTX 5070、RTX 4060 Ti、RTX 3060 Ti、RTX 2060 SUPERと比較
GeForce RTX 5060 Tiの16GB版を検証、“xx60 Tiの欠点”は克服できたのか?
2025年04月16日 22時00分更新
RTX 4060 Tiを圧倒するメモリー帯域
RTX 5060 Tiのスペックに関しては速報記事で公開済みだが、改めて注目ポイントだけまとめておこう。RTX 5060 TiはRTX 4060 Tiの後継モデルで、メモリーバス幅は128bitに抑えているところが最大の特徴かつ最大の難点でもある。メモリーバス幅が狭いと、特に高解像度でゲームをレンダリングする際のパフォーマンスに影響が出やすい。しかし、RTX 5060 Tiでは上位モデルと同じデータレート28GbpsのGDDR7を採用している。
結果として、メモリーバス幅が同じでもメモリー帯域は劇的に改善しており、RTX 4060 Tiの288GB/secに対し、RTX 5060 Tiでは448GB/sec。約1.6倍も強化されていることになる。RTX 4060 TiはフルHDゲーミング志向の強い製品(WQHDはRTX 4070の守備範囲)だが、メモリー帯域の強化でRTX 5060 TiはWQHDゲーミング向けの安価なGPUになっている。
上位のRTX 5070はVRAM搭載量こそ12GBと少ないものの、SM(Streaming Multiprocessor)の数やメモリー帯域においてはRTX 5060 Tiより確実に上のスペックを備えている。一方で、RTX 5060 Ti 16GBのVRAM搭載量が多く、買い手を大いに悩ませることだろう。
単純なレンダリング性能においては、RTX 5070>RTX 5060 Tiという関係は崩れない。しかし、VRAM使用量が多いゲームやサイズの大きな学習モデルを利用したローカルAIといった用途、さらには「DaVinci Resolve Studio」のようなVRAMへの依存度の高い動画編集アプリでは、RTX 5060 Ti 16GBが圧倒的有利になるシチュエーションが存在する。
そういったVRAM依存度の高い処理をさせる場合においては、RTX 5060 Ti 16GBはとても大きな戦力になるだろう。一方、RTX 5060 Ti 8GBは画質をあまり盛らずに(=VRAM消費を抑えた)ゲームプレイで良いという人のためのチョイスである。
そのほかのスペックでは、インターフェースはPCI Express 5.0(Gen 5)だが、接続レーン数は8本(x8接続)であることに注目したい。ただし、これまで登場したRTX 50シリーズのレビューからも明らかだった通り、PCI Express 4.0(Gen 4)で接続したとしても性能にほとんど影響は出ない(後ほど検証する)。
とはいえ、ライザーケーブルで接続する場合は、マザーボードのBIOS側で明示的にGen 4接続を指定しないと起動しない。あるいは高負荷をかけると不具合が出る可能性はあるかもしれない。
そして、補助電源コネクターは8ピン×1構成も利用できる。TGP(Total Graphics Power)がわずか180Wなので16ピンコネクターにしてもRTX 5090のように焼損のリスクは非常に少ないが、ATX 3.1対応の電源ユニットに買い換えたくないという人にとっては、非常に扱いやすくなっている。
しかしながら、ファクトリーオーバークロック(以下、OC)モデルの場合、電力供給や冷却のしやすさを優先して12V-2x6コネクターを採用する場合もある。購入時は補助電源コネクターの仕様をよく確認しておきたい。
GPUの情報:「GPU-Z」にて取得。メモリーバス幅は128bitだが、GDDR7を採用することで448GB/secもの帯域を確保している。インターフェースはPCI Express 5.0(Gen 5)のx8接続という点が特徴的な要素だ
歴代の“xx60 Ti”モデルやRTX 5070と対決
今回の検証環境は以下の通りだ。RTX 5060 Ti 16GBの比較用として、上位であるRTX 5070のほか、前世代からRTX 4060 Ti 8GBを筆頭にRTX 3060 Ti、RTX 2060 SUPERの合計5種類のGeForceで比較する。
また、検証に入れられなかったGPUもある。まずRTX 4060 Ti 16GBは機材調達の都合で検証に組み込めなかった。RadeonもRX 7800 XTやRX 7600 XT 16GBを考えていたが、時間が圧倒的に足りず検証から除外せざるを得なかった。Radeonに関しては、後日RX xx60シリーズをレビューすることができたら、改めて対決させるとしよう。
今回も消費電力はHWBustersの「Pownetics v2」を用いて計測する。これにはPCI Express x16スロットに流れる電力を計測するためのライザーカードが含まれるため、マザーボードのBIOS設定でPCI Express x16スロットのリンク速度はPCI Express 4.0(Gen 4)に設定している。
また、GPUドライバーは検証用に配布されたGameReady 575.94を使用している。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性およびカーネルモードのハードウェア適用スタック保護、HDRなどはひと通り有効化。ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。
| 検証環境 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 7 9800X3D」 (8コア/16スレッド、最大5.2GHz) |
| CPU クーラー |
EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
| マザー ボード |
ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.20) |
| メモリー | Crucial「Crucial Pro CP2K16G64C38U5B」(16GB×2、DDR5-5600で運用) |
| ビデオ カード |
NVIDIA「GeForce RTX 5070 Founders Edition」(12GB GDDR7)、 Palit「GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB」(16GB GDDR7)、 NVIDIA「GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition」(8GB GDDR6)、 NVIDIA「GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition」(8GB GDDR6)、 NVIDIA「GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition」(8GB GDDR6) |
| ストレージ | Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)、 Silicon Power「PCIe Gen 4x4 US75 SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
| 電源 ユニット |
ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM) |
| OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2) |

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