GeForce RTX 4090 Laptopとベンチマーク比較
GeForce RTX 5090 Laptop搭載ゲーミングノートPC、Razer Blade 16 (2025)で内なる平穏を得る
2025年03月27日 22時00分更新
RTX 5090 LT搭載ノートPCはAI処理も得意
今VRAM搭載量が多くてうれしい用途の筆頭に挙がるものと言えばAI利用だろう。そこで、「UL Procyon」を利用し、AI系のテストを2つ実行してみた。
まずはStable Diffusion XLを利用する「AI Image Generation Benchmark」を試す。1024ドット四方の画像を16枚生成する処理からスコアーを算出するテストだ。APIはデフォルトのTensor RTを使用した。
スコアーはRazer Blade 16 (2023)に比べ、約28%向上。画像1枚あたりの処理時間も相応に短縮されている。こちらも順当に性能が向上していると言える。
画像生成の次はテキスト生成の「AI Text Generation Benchmark」だ。大小4つの学習モデルを用い、それぞれに7つのテキスト生成タスクを課し、その際のトークン生成スピードおよび最初のトークンまでの待ち時間からスコアーを導き出す。
確かにRazer Blade 16 (2025)はLLMにおいても前世代をしっかりと上回っている。特にトークン生成スピードにおいては最も軽いモデル(Phi-3.5-mini-instruct)を除けば23%前後向上しているし、最初のトークンまでの時間においてはLlama-2-13Bにおいて顕著な短縮を確認できた。とはいえ、総合スコアーでは10%の伸びに止まっている点は残念だ。
ただし、このテストはVRAMが16GBもあれば余裕で収まってしまうようなテストだ。そのため、もっと大きな学習モデルを利用して負荷をかけないとRTX 5090 LTの本領は発揮できないと考えられる。そこで「LM Studio」を利用してみた。
今回は学習モデルに「Gemma 3 27B instruct」を選択。量子化の度合いが異なる「Q3_K_L」および「Q4_K」の2バージョンで比較する。各学習モデルのサイズはQ3_K_Lが14.34GBで、Q6_Kが21.4GBだ。そのため、VRAM 16GBのRTX 4090 LTではQ6_Kは手に余ることになる。
テストは以下のように、“消えた1ドルの謎”を解説させるプロンプトを入力した。シードは固定し、GPUオフロードは最大(GPUを最大限利用する)に設定。1回回答を得るたびにモデルをロードしなおし、3回の平均値で比較する。
Gemma 3 27B instruct Q3_K_Kを読み込んだ直後のRTX 5090 LTの状態を「HWiNFO64 Pro」で観測した。実際に使用されているVRAMの容量を示唆する「GPU D3D Memory Dedicated」を見る限り、19GB近くは使われていると考えてよい。VRAM 16GBのRTX 4090 LTでは足りないことは明白だが、一応動かすことはできる
Gemma 3 27B instruct Q6_Kを読み込んだ直後のRTX 5090 LTの状態。こちらは24GBのVRAMのほぼすべてが使われている。ここまで使用量が多いとRTX 4090 LTではどうにもならない
今回のテスト条件では、RTX 4090 LTを搭載したRazer Blade 16 (2023)でもQ3_K_Lを利用できた。しかし、それでも応答速度やトークン生成スピードにおいては、RTX 5090 LTを搭載したRazer Blade 16 (2025)が確実に速かった。RTX 4090 LTでは応答に4秒近くかかるが、RTX 5090 LTでは一瞬だった。
そして、Q6_KではRazer Blade 16 (2023)ではVRAMが足りず、1秒あたり1トークンの生成すら危うくなる。GPUオフロードの設定値を中間(最大62中の31)まで下げてCPUも併用すれば、Razer Blade 16 (2023)でもトークン生成スピードを稼げるが、CPU使用率は60%以上になる。トークン生成スピードは3Tokens/secが関の山である。
このようにデータ量の多い学習モデルをローカルで扱いたいという人にとって、VRAM 24GBのRTX 5090 LTは非常に強力な武器となることは言うまでもない。

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