このページの本文へ

「内部設計・コーディング・単体テスト」の一連作業を約25%効率化

“塩漬けシステム”を救う生成AIの力 明治安田生命と日本IBMがモダナイズで実証実験

2025年03月12日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • お気に入り
  • 本文印刷

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)と明治安田生命は、2025年3月3日、明治安田生命のITシステムの開発と運用プロセスにおいて、「IBM watsonx」をはじめとするAI技術を用いた実証実験を実施したことを発表した。内部設計から単体テストまでの工程で、約25%の生産性向上の成果を得られており、2025年4月から実業務の環境下でのパイロット適用を開始するという。

 明治安田生命は、ホストシステムのモダナイゼーションを推進する中で、生成AIの活用が有力な解決策となると考え、日本IBMとの実証実験に至っている。本プロジェクトでは、IBM watsonxなどの最新AI技術でシステム開発・運用を包括的に支援する、日本IBMの「IT変革のためのAIソリューション」が用いられた。両社で活用対象を検討した上で、「一連の開発工程の効率化の検証」および「各工程のトレーサビリティー・チェック」の2つの領域で実証実験が進められている。

日本IBMの「IT変革のためのAIソリューション」

 開発工程の効率化の検証では、IT変革のためのAIソリューションの「コード生成のためのAI」と「テスト自動化のためのAI」を活用。メインフレーム開発の「内部設計、コーディング、単体テスト」の一連作業に対して生成AIの有用性を検証した。

 例えば、個人保険システムや企業保険システムの実業務の成果物を利用し、生成AIで作成した内部設計書をインプットに、生成AIがコーディングやテストケースを作成するなど、各作業を連携させた。その結果、内部設計、コーディング、単体テストの一連作業において、約25%の効率化を実現している。

 各工程のトレーサビリティー・チェックでも、「コード生成のためのAI」を活用。要件定義から外部設計、テスト工程のトレーサビリティーを確認する作業に対して、生成AIを試行した。要件定義書や外部設計書、テストケースなどで利用されている保険業界特有の用語についても、補足情報を付加することで生成AIの精度向上につなげているという。

 これらの実証実験の成果を受け、両社は、2025年4月より実業務環境でのパイロット運用を開始する。明治安田生命は、4月以降も要件定義や外部設計の影響調査作業などの上流工程や、結合テストやシステム・テストのケース作成など、対象工程やユースケースを広げて検証を続け、さらなる生成AI活用を推進する予定だ。将来的には、生成AI活用をベースにしたシステム開発プロセスの改革を目指し、日本IBMと共創していく。

■関連サイト

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード