液冷技術の共同検証、IOWN APN活用の分散データセンター、再エネ利用などの新トピックも
1.5兆円以上の投資計画、NTTデータが国内+海外のデータセンター戦略を紹介
2025年03月10日 07時00分更新
NTTデータグループ(持株会社)は2025年3月6日、国内/海外におけるデータセンター事業に関する説明会を開催した。同グループでは現在、5年間(2023~2027年度)をかけて1兆5000億円以上のデータセンター投資を推進しており、2024年度には8棟、合計のIT電力容量で約380MW規模のデータセンターが新たに稼働している。
データセンター市場において、NTTグループは世界シェア3位、またNTTデータ単独では国内シェア1位の高い実績を持つ。NTTデータグループ 事業戦略室の進藤数馬氏は、市場競争が激化するなかでも「ITサービスとデータセンター/コネクティビティ、その双方を手がけるNTTデータグループだからこそ提供できる価値を高め、競争優位性を築いていく」と述べた。
NTTデータグループ コーポレート統括本部 事業戦略室 事業戦略部 DC&GB推進室 室長の進藤数馬氏、同社 テクノロジーコンサルティング事業本部 テクノロジーコンサルティング事業部 統括部長の渋谷誉人氏
国内、グローバルで高いシェアを誇るNTTグループのデータセンター
NTTデータグループ(持株会社)は、国内事業を展開するNTTデータと海外事業を展開するNTT DATA, Inc.を配下に持ち、データセンター事業もそれぞれの会社が展開している。
日本のNTTデータは現在、国内に11拠点のデータセンターを保有しており、SIなどでの自社利用、エンタープライズ向けサービスなどを中心に事業展開している。合計の延床面積は60万平方メートル、データセンター利用可能面積は13万平方メートル、電力キャパシティは117MW。加えて、2026年2月には京阪奈データセンター(30MW)、2027年3月には白井データセンター(50MW)を竣工予定だ。
同社データセンターの特徴として、進藤氏は「電電公社時代から50年以上にわたり、国内のミッションクリティカルシステムを安定運用してきた実績と、アプリケーションからファシリティまで一気通貫でサービスを提供し、高い信頼性を実現していること」だと説明する。
一方で海外では、NTT DATA, Inc.配下のNTTグローバルデータセンター(NTT GDC)を通じて、ハイパースケーラー向けを中心としたデータセンター事業を推進している。 NTT GDCは米国、EMEA、インド、APACの各地に91拠点のデータセンターを展開しており、合計のIT電力容量は1455MWに達する(2025年1月時点)。これに加えて33拠点、822MWのデータセンター開設を計画しており、大規模な電力容量が確保できる用地の取得にも力を注いでいるという。
さらに、NTT GDCは今年2月、ハイパースケーラー向け大規模データセンターとして「栃木データセンター(仮称)」の建設計画も発表している。2028年度の開業予定で、同時に大規模AIインフラの設置に対応する機能も持たせることで、大手サービス事業者やエンタープライズのAIインフラ利用も見込む。
進藤氏は「NTTデータグループでは、グローバルで標準化した設計基準を持ち、これを迅速に展開することで、高品質なデータセンターを建設できる。さらに、IOWNをはじめとする次世代技術の導入も強みになる」と述べる。
ネットゼロ達成に向けて再エネ電力(PPA)の利用を開始
国内向けのデータセンター事業については、同社 テクノロジーコンサルティング事業部の渋谷誉人氏がさらに詳しく説明した。
国内データセンターにおいて注力していくポイントとしては、「再生可能エネルギーを最大限活用したデータセンター」「先進的冷却技術検証施設であるData Center Trial Field」「顧客データセンター資産の最適化サービス」の3点を挙げた。
まず再生可能エネルギーについては、NTTデータとして掲げる2040年までのネットゼロ実現目標「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」も関係している。その実現のために、同社のCO2排出量のおよそ7割を占めるデータセンター事業において、エネルギー効率化や再生可能エネルギーの導入を進め、2030年までにデータセンター事業(スコープ1、2)における実質ゼロ化を目指している。
そのために、同社の旗艦データセンターである「三鷹データセンターEAST」において、遠隔地メガソーラーの再エネ電力(PPA)の使用を開始した。国内データセンターでは最大規模という「年間440万kwh」(一般家庭およそ1000世帯分)をPPAで対応する。この電力量は、同データセンター全体ではおよそ20%をカバーできるものだという。さらに2030年度までには、グループ全体のPPA比率を10%までに高める計画だ。
















