「経営層との対話」と「AI・生成AI活用を見据えた近代化」を提言
“脱VMware”を目的にするな! 「仮想基盤モダナイズの半数は失敗する」とのガートナー予測
2025年03月03日 16時30分更新
ガートナージャパンは、2025年2月26日、オンプレミスシステムに関する最新の展望を公表した。同社では「2026年末まで、日本企業の半数は、従来型の仮想化基盤の近代化に失敗する」とみているという。
ガートナージャパンのニュースリリースより
ベンダーによるメインフレームのサポート終了や主要な仮想基盤におけるライセンス変更、それに伴うソリューション提案の多様化など、現在、レガシー・マイグレーションの議論が活発になっている。ガートナーに対しても、サーバー仮想化基盤の維持や移行、代替製品に関する問い合わせが多数寄せられているという。
一方で、多くのユーザー企業は、サーバー仮想化の選択肢を検討する経験を積んでいない。そのため、代替ソリューションの技術やトレンドについての理解が遅れ、合理的な判断に時間を要する状況にある。
ガートナーは、このような状況下では「オンプレミスの仮想化基盤の移行先としてクラウド・サービスを選択したとしても、単なる『リフト』だけとなり、『最適化』『シフト』には至らず、コストも減らないどころか増える」と指摘する。加えて、仮想化基盤だけにフォーカスして代替テクノロジーを採用したとしても、オペレーションの変更が追い付かず、スキルやケイパビリティの不足で、重大インシデントに見舞われる恐れすらあるという。
ガートナージャパンのディレクター アナリストである青山浩子氏は、「オンプレミスの仮想化基盤の近代化を狙うには、そのアプリケーションの近代化およびワークロードの再配置までを視野に入れて検討することが重要です。併せて、技術的にレガシー化/老朽化しているものは削減・廃止を検討すべきです」と述べている。
またガートナーは、2028年末までに、「日本のIT部門の70%は、オンプレミス・インフラの老朽化対応について予算を超過し、経営層から厳しく追及される」という仮説も立てている。
「いつもどおり、従来どおりであるから安心・安全」「これまでは特に問題が起きていない」といった前例にならった説明や常識的な対応では、近代化を進めるためのITインフラ投資を正当化することはできなくなっているという。
さらに、IT部門が、従来型のITインフラにおいてコスト低減を第一ミッションとしていた一方で、経営層は、新たなビジネスを支えるAI・生成AIといった新興テクノロジーへの投資を増やしたいと考えている。
青山氏は、「今後、老朽化対策をIT部門だけで進めるのではなく、新興テクノロジへの投資も含めて、経営層やビジネス部門と対話しながら行うことが重要です。断捨離を行い、IT投資とコスト最適化のプロセスをサービス運営の視点に立って標準化することが求められます」とアドバイスしている。








