「Oracle Database@Azure」の日本での提供開始も発表、「Oracle CloudWorld Tour Tokyo」レポート
OCIの取り扱いも始めたアイレット AWS、Googleに続く「第三の軸に」と語る
2025年02月18日 07時00分更新
日本オラクルが2025年2月13日、都内で開催した「Oracle CloudWorld Tour Tokyo(OCWT Tokyo)」。
午前に行われた「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」のプロダクトキーノートには、地方自治体や金融機関向けのシステム開発会社であるRKKCS、KDDIグループのクラウドインテグレーターであるアイレットの2社が、OCIパートナーとして登壇した。アイレットではOCIのビジネスを、AWS、Google Cloudに続く「第三の軸」に育てていく方針を示した。
また、オラクルからはOCI担当幹部らが登壇。他のメガクラウドベンダーとは異なる「分散クラウド」アプローチをとるOCIの特徴や強みをアピールした。
RKKCS:自治体向け基幹パッケージのOCI移行を進め、将来のAI活用にも期待
熊本に本社があるRKKCSは、自治体や金融機関を中心としたシステム開発事業を展開している。OCIがガバメントクラウドに選定されたことを受け、同社では現在、自治体向け基幹パッケージ「総合行政システム」などのOCIへの移行を進めている。
RKKCS 技術本部の前田宏氏は、一般にクラウドネイティブアーキテクチャを採用すれば、マイクロサービス/コンテナの活用、柔軟性と拡張性の向上、DevOpsによる開発の効率化が実現できると語る。ただし、自治体のクラウド利用においては、非常に高いセキュリティを求められるというハードルがある。
そうした背景から、「セキュリティポリシーの強制適用」ができるOCIにはメリットがあると、前田氏は説明する。「機密性の高い情報を扱うシステムのインフラとして、OCIは最適だ」(前田氏)。
もっとも、パブリッククラウドでは、ミドルウェアのパッチ適用やバージョンアップといった運用面での懸念もある。前田氏はそれを認めつつも、「マネージドサービス、およびオートノマスが効果的に働いている」と話す。
例として、Kubernetesサービスの「OCI Container Engine for Kubernetes(OKE)」を取り上げた。「Kubernetesは四半期に1回バージョンアップがあるが、その対応に苦労している」と述べながら、自動化を進めることでシステム全体の安定性を向上させたい、とした。
AIに関しては「まだ研究開発の段階」と語るが、「Oracle Database 23ai」を採用したことで「AIを利用する“前準備”は終えた」と述べる。特に、23aiが備える「Autonomous Database Select AI」については、「自治体システムの標準化によりデータモデルが統一されたことで、Select AIを使って自然言語でデータの抽出が可能になる」と期待を寄せた。
「最終的には、基幹系の個人情報でもAIを利活用していきたい。それにより、自治体の職員、そして住民にも便利になったと言われるサービスの開発を進めていきたい」(前田氏)
アイレット:顧客もエンジニアも強い関心、OCIを「第三の軸」に育てる
クラウドを活用したITインフラ設計/構築/運用サービス「cloudpack」で知られるアイレット。同社 社長の岩永充正氏は「既存SIerの世界観に風穴を開けるべく創業し、早期にクラウドの可能性を見出して、クラウドインテグレーターの先頭集団を走ってきた自負がある」と振り返る。
岩永氏はアイレットについて、「マルチクラウドを志向しており、最新テクノロジーを使い倒す集団」だと説明する。cloudpackはAWS向けからスタートし、その後、Google Cloud向けも用意した。そして今回、OCI向けも取り扱うことを正式発表した。
OCI向けcloudpackを提供する理由について、岩永氏は「ここ数年のOCIの機能拡充には目覚ましいものがある。われわれのエンジニアから見ても、技術的に興味を引かれるクラウドになってきた」と語る。また顧客からも、OCIの取り扱いを希望する声が聞かれるようになってきたという。
これまでAWS、Google Cloudで培ってきた経験と実績に基づき、スタートアップからエンタープライズまで、あらゆる規模の企業を対象にOCIビジネスを展開し、「OCIを第三の軸とする」と岩永氏は述べた。










