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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第95回

月3万円で使えるOpenAIの「Deep Research」 驚異的だが、情報格差が広がる不安も感じた

2025年02月17日 07時00分更新

文● 新清士

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わずか5分で1万字の調査レポートが完成

 最初は、いつもどおりシンギュラリティ(技術的特異点)に関するレポートを書かせてみました。少しひねりを加えるために、提唱者レイ・カーツワイルの思想を中心とし、また、2025年にどのように位置づければいいのかという視点からまとめてもらうことにしました。カーツワイル氏は、2024年に『シンギュラリティはより近く 人類がAIと融合するとき』(NHK出版)という本を発売しており、2045年にシンギュラリティが来るという予測に最新情報を組み込んでアップデートしています。DeepResearchに質問をすると、追加質問が来ます。その質問に対して答えると、調査開始です。その際に、表も付けるように指示しました。

 Deep Searchが非常に面白いのは、検索している思考過程をすべて見せてくれるところです。最初に立てた質問に関連するウェブページを順次検索しながら仮説を組み立て、それに合う回答を収集し、さらに別の側面から検討し……ということを繰り返し、情報を集めて、それを整理していくプロセスは非常に興味深いものです。迷いを吐露したり、ひらめいたりという人間のような素振りを垣間見せてくれたります。

Deep Researchにシンギュラリティについて問い合わせている。その内容から、どのような部分を調べるべきかという質問が戻されており、それに簡単に返答する。もちろん、もっと詳細に質問することで、回答の精度を上げることもできる

調査中に右枠に表示されるAIの思考プロセスから抜粋。指示された質問の大枠から始め、事実関係を把握しつつ細部へと進めているのがわかる

 5分後に出力されたレポートは約1万字と詳細なものでした。出力結果を共有リンクとして公開しました。思考プロセスといったものは見られませんが、関心のある方はそちらをご覧ください(参考:レイ・カーツワイルのシンギュラリティ予測と2025年の技術進歩の比較)。分量も多いこともあり、読むだけでもかなりのエネルギーを必要とします。その内容は網羅的でかなり精緻なもので、『シンギュラリティはより近い』の内容までカバーしています。

出力されたレポートの冒頭から抜粋

 今回のレポートでは、2025年時点でのカーツワイル氏の予測と差異について高い興味を持っていたのですが、DeepResearchは表にしてわかりやすく示してくれています。最新刊に対しての批判は、「コンピュータ分野については概ね当たっている部分が多いが、ナノテクノロジーやバイオ分野の予想は楽観的過ぎ実現化していない」というものでした。それらの情報も盛り込んできている点に感心しました。実際、医療用ナノマシンや、急速な寿命延長治療は、現時点では実現化の目途がまだまだ立っていません。

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