「Oracle Fusion Cloud Applications」のSales、SCM、HCMで
オラクルもAIエージェント提供開始、「アプリ組み込み型」「追加料金なし」戦略
2025年02月13日 07時00分更新
オラクルは2025年2月12日、「Oracle Fusion Cloud Applications」がラインアップする3つのSaaS(Sales、SCM、HCM)において、AIエージェント(Agentic AI)の提供開始を発表した。同社でOracle AI担当 グループVPを務めるミランダ・ナッシュ氏は、「これらのAIエージェントは組み込み型であり、追加費用なしで利用できる」と強調した。
オラクルのAIエージェントを構成する「4つの要素」
Salesforceなど各社がAIエージェント戦略を打ち出す中、オラクルの差別化ポイントは「アプリケーション組み込み型での提供」だ。「Oracle AIは、インフラから始まり、データベース、アプリケーションまで、業務ソフトウェアスタック全体に組み込まれている」(ナッシュ氏)。
この「スタック全体でのサポート」に加えて、「顧客企業の高品質な業務データを活用」、「追加料金なし」という3つが、SaaS領域におけるオラクルのAI戦略の柱だ。ナッシュ氏は、その目標を「顧客にとって信頼できるAIパートナーになること」だと説明する。
オラクルでは、およそ10年前から「予測AI」の活用に取り組み、次の「生成AI」ブームにもすぐに対応できたと言う。Fusion Applicationsでは、すでに文章の作成や要約、分類といった機能として生成AIの組み込みが進んでおり、その数は100に及ぶと言う。これにより、生産性の向上、顧客サービスの改善、ビジネスプロセスの自動化・効率化などにつながっていると説明する。
AIエージェントの組み込みは、こうした取り組みに続くものとなる。
ナッシュ氏は、オラクルのAIエージェントの構成要素として、人が使う自然言語での対話能力を持つ「言語」、データに基づき環境変化に対応する「コンテキスト」、自律的に行動を起こしつつ、重要な意思決定は人間の判断を仰ぐ「アクション」、アクションプランの作成や次のステップの判断、複数のAIエージェントを含むプロセスのオーケストレーションといった「推論」の4つを挙げる。この4要素は相互補完的なものであり、この特性によって「AIエージェントに質問や指示をするかたちで、複雑なワークフローが実現できる」と説明する。
Sales、SCM、HCMの各SaaSでAIエージェントの提供を開始
今回発表された各SaaSのAIエージェントを見てみよう。
Sales CloudのAIエージェントは、営業担当者が顧客とのやり取りを効率化したり、顧客情報の取得を自動化できるもので、見込み客を含む顧客向けにパーソナライズされた体験を提供することを支援する。Fusioin内のアクション、外部アクション、顧客とのコミュニケーションなどを、1つのエージェントパッケージで提供する。
SCM Cloudでは、サプライチェーンに関する利益とリスク耐性、スマートオペレーション、配送などの分野を適用範囲とするAIエージェントを導入している。ナッシュ氏はその例として、従業員が新規に業務PCやスマートフォンを購入する際に対話形式で調達ポリシーを調べたり、サポート担当が顧客と話しながら返品処理のルールについて調べることができる、と説明した。
HCM CloudのAIエージェントは、キャリア・能力開発、報酬や福利厚生管理、従業員のライフサイクル管理などを対象とする。残業について雇用契約の内容を調べたり、新入社員がオンボーディングついて調べるなどのことが効率化できる。これらを通じて従業員の生産性向上を支援し、ビジネスのより良い成果につながる、とナッシュ氏は述べた。
上述したAIエージェントは、いずれもすでに利用可能になっている。
