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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第807回

Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ

2025年01月20日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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組み込み向けのBartlett Lakeは
Raptor Lake Refreshと互換性あり?

 次がBartlett LakeとRaptor Lake Refreshの話である。CESの後、Core Processor Series 2は全部で16製品となった。このうち5製品(Core 5 210H/220H、Core 7 240H/250H、Core 7 270H)は昨年10月にモバイル向けRaptor Lake Refreshとして発表されたもので目新しさはない。

 新規追加されたのは、同じくRaptor Lake RefreshベースながらTDPを15W(Minimum Assured Power 12W/Processor Base Power 15W/Maximum Turbo Power 55W)としたCore 5 210U/Core 7 250Uと、デスクトップと同じソケットを使う組み込み向けのBartlett Lake-S 9製品となる。

Core 5 210U/Core 7 250Uスペック表

Bartlett Lake-S 9のスペック表

 Bartlett Lake-Sは組み込み向けということで、製造はCCG(Client Computing Group)ではなくNEX(Network&Edge)部門の製造となるが、中身そのものはRaptor Lake Refreshである。リリース前には最大12コアのPコア搭載? という噂もあったのだが、蓋を開けてみるとPコアが最大でも8つ、Eコアが最大16コアであり、しかもハイパースレッディングが有効化されているので、まんまRaptor Lake Refreshである。

 パッケージそのものはLGA1700で、それもあってイッペイ氏も「Core 200Sシリーズは組み込み市場がメインターゲットですが、この見た目から察するに個人向けでも流通しそうですよね(Xeonみたいに)。だって切り欠きがLGA1700のそれですもの。」と期待する発言をしているのに恐縮なのだが、これはどうなるのかわからない。

 ちょうど1年前の連載754回で、Alder Lake-PSの話をした。このAlder Lake-PSはAlder Lakeの組み込み向け製品なのだが、Alder Lakeと異なりCPUとPCHがMCMの形で一つのパッケージに収まっている。機械的なパッケージそのものはLGA 1700なのだが、当然電気信号そのものは異なっているので、既存のLGA 1700マザーボードに装着できない。

 このAlder Lake-PSもやはりNEXの製品だったことを考えると、現時点でBartlett Lakeベースの製品がBIOSアップデートだけで既存のLGA 1700マザーボードで動作するかどうかはなんとも言えない。記事冒頭の画像に"Backward compatible with prior gen"と書いてあるが、それが「コンシューマー向けの」前世代なのか「組み込み向けの」前世代なのか判断できないためだ。

 ただ独Congatecは1月7日にBartlett Lake対応のCOM-HPC Client Size C Moduleを発表した

Bartlett Lake対応のCOM-HPC Client Size C Module。このボード左下のチップがなにか? が問題

 COM-HPC Client Size C Moduleの仕様を見ると、チップセットがR680EないしQ670Eとあるので、つまりボードの側にPCHが必要ということだとするとすると、Raptor Lake Refreshと互換性があることになる。コード名も200S、つまりBartlett Lake-Sなので、PCHまで統合したPSシリーズではない、と思いたいのだが。

 なお記事冒頭の画像にはIntel 100Uシリーズもラインナップされているが、こちらは2024年中に発売されている製品なので説明は割愛する。

Twin LakeベースのIntel Processorが追加

 最後がTwin LakeベースのCore 3プロセッサーとIntel Processorであるが、Core 3の方の新製品はなし。Intel Processorの方はN150/N250/N350/N355が今回新たに追加になったが、これがTwin Lakeベースである。

 このTwin LakeとはAlder-Lake Nのリフレッシュ版で、要するにEコアのみの製品である。いずれもモバイル向けのSKUで、N150/250は既存のN100/N200からのアップデート(CPUの動作周波数が100~200MHz、GPUの最大動作周波数も750MHz/750MHz→1GHz/1.25GHzに引き上げられた程度で、あとは特に差はない)でこちらはTDPが6Wだが、N350は7W、N355は最大15Wまで引き上げられ、またEコアも4コアから8コアに増えている。

 こちらはそのうちMini-ITXベースのワンボード、あるいはNUCサイズのPCに搭載される形で市場に製品が投入されるかもしれない。Congatecはやはり1月7日に、Core 3 ProcessorベースのSMARC moduleも発表しているので、こちらを利用した小型の組み込み機器などもでてくるかもしれない。

Core 3 ProcessorベースのSMARC module。CPUはCore 3 N355/Core i3-N305/Atom x7425E/Atom x7433RE/Atom x7835REから選択可能という話になっている

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