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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第91回

AIの書いた小説が普通に面白い ChatGPT「o1」驚きの文章力

2025年01月20日 07時00分更新

文● 新清士

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メイドロボ小説は「水着回」も書けた

 続いては、ベタベタな展開の学園ドタバタものを書かせたらどうなるだろうかと、別のものを試してみました。今度はストーリー案さえ考えず、画像生成AIで作った画像を1枚読み込み、このキャラクターに合うようなストーリー案を5つ考えるようにと指示しました。その上でアイデアを絞ったところ、人間生活を学習する目的で転校してきたちょっとドジなところがあるアンドロイドが、主人公のヒロインと一緒になり、バディものとして活躍する物語『メイド型AI、学園生活はじめます!』が提案されてきました。

ChatGPTが提案してきた学園もののラノベ『メイド型AI、学園生活始めます!』。約3万8000字の全文はnoteで公開中

 やはり、この案を元に10章の構成案を出させ、1章ごとに出力させていきました。すると、ドジなアンドロイドという設定をうまく拾ってきて、結構読めてしまう描写が続きます。掃除のシーンでは「黒板消し、表面摩擦率0.62、粉塵量、目標除去率98%……了解、最適化開始!」とか、窓拭きの描写では汚れを消すために「あと0.0003ミリ、微細な水分痕あり……擦り込み強度を上げます!」と精度を上げすぎて、逆にガラスを割ってしまう描写など、よく思いつくなと感心するような描写があったりしました。

 お話としては、「文化祭でメイド喫茶をやる」という展開に進み、他社製のメイドロボがライバルとしてあらわれ、ハッキングで学校全体を混乱させるのですが、それをクラスのみんなと協力して元に戻す……と進んでいくのですが、これだけ長い文章にもかかわらず設定がくずれないのが驚きでした。10章を出力させた文字数の合計は約3万9000字で、やはり指定よりも少なめに出てしまう傾向はありました。一方で、主人公の隠された謎の伏線はまだまったく明らかになっていません。とはいえ、主人公とクラスとがなじんでいく序盤のストーリーだと考えれば十分かもしれません。

 では、続きのストーリーにはどんなものがあるかと考えてもらいました。そうすると以下のような提案が挙がってきました。

・留学生AIとの文化的衝突編

・夏休みサマーキャンプでの共同生活編

・学園ロボット競技大会での対決編

・文化祭のその先、学内選挙と政策対立編

・AIロボの進路選びと新たな挑戦編

 ラノベの学園モノであるようなベタベタな展開が提案され、ニヤリとさせられます。その中から「夏休み編」と「ロボット競技会編」も、それぞれ同じように10章の概要を考えさせ書かせたのですが、特に夏休み編は、山で遭難させることでメイドロボを無力化して強奪しようとするスパイ組織と、それをなんとか阻止しようと立ち回るヒロインと友人たちの雨の山中での攻防戦へと展開し、読ませる展開になりました。

 さらにもう少しくだらないものを考えさせようと、ラノベの展開でありがちな「水着回」という設定で物語を考えさせてみました。

 ChatGPTは性的な内容についての執筆に非常に制限が厳しく、「利用規定に違反している可能性がある」という表示が出たりするのですが、直接的な性描写は描かないようにしたために、なんとか書いてくれました。メイドロボが、授業のために水着を買いに行って、初体験の水泳の練習をするという話なのですが、水着を買いに行くとき「男性が喜ぶ係数を評価関数を入れなくてもいいのか」といったセリフで始まり、「メイドロボは人間より重いので普通に泳ぐと沈んでしまう」ので特殊な水着が必要だということで、変なデザインの水着が登場したりと、実にくだらなくて、すごく面白かったです。

 まだ、書いた部分にオチまでは進んでいないまでも、メイドロボのお話で書いた文字数の合計はすでに13万字を超えました。もちろん、これだけの長文になると、整合性を取るために細かい点の見直しや修正は必要であることは間違いありませんが、数時間触っているだけで、それなりに読めてしまう小説1冊分の文章が出力されてしまうのは、ただただ驚きです。次々に文章が出てくるので、生成するよりも、読む方が大変です。

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