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プライバシー保護とブランド訴求を両立したクッキー同意ツール「STRIGHT」提供開始

邪魔なクッキーバナーを表示しない IIJが“サイト担当・消費者・法務の三方よし”実現

2024年11月01日 18時45分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2024年10月29日、プライバシー保護とサイトのブランド訴求を両立したプライバシーツール「STRIGHT(ストライト)」を提供開始した。

 STRIGHTは、サイト訪問時に“クッキーバナーを表示させない”方式も選択できる、クッキーバナー構築・同意管理のツールだ。「サイト離脱率の増加」や「ブランドイメージの毀損(きそん)」を懸念してクッキーバナーの導入に二の足を踏んでいる、国内のブランドサイト向けに訴求していくという。

邪魔なバナーをサイトに出さないSTRIGHT

 IIJのビジネスリスクコンサルティング部長である中西康介氏は、「プライバシー保護は、消費者の信頼性を得るためにブランドサイトでも重要。“出さないバナー戦略”で、ブランドサイトでもクッキーバナーの導入が可能」と説明する。

インターネットイニシアティブ ビジネスリスクコンサルティング本部 ビジネスリスクコンサルティング部長 中西康介氏

進まないブランドサイトのクッキーバナー導入、消費者・サイト担当者・法務の“三方よし”なプライバシーツールを

 現在、多くのウェブサイトが、広告やマーケティング目的で、ユーザーの行動データが含まれたクッキー(Cookie)を取得している。このクッキーを取得していることを訪問者に伝え、望まない場合には停止できる機会を与えるのがクッキーバナーだ。

 IIJの独自調査によると、国内ウェブサイト全体の約626万ドメインのうち、クッキーバナーを導入しているのは約4000ドメイン(2024年11月時点)と、ごく一部にしか実装されていない。

 特に、総ドメインの8割以上を占める「ブランドサイト」で導入が進んでおらず、IIJがクッキーバナー導入を支援したドメインにおいても、ブランドサイトの割合は2割にも満たない状況だ。

日本のクッキーバナー導入状況

 ブランドサイトでクッキーバナーが忌避されている理由は、せっかく作ったサイトのデザインが損なわれてしまい、ユーザーの離脱率も上がってしまう可能性があるからだ。「わずか0.1%でも離脱率を下げるためにデザインを工夫している現場にとって、クッキーバナーは受け入れがたい」と中西氏。

 ブランドサイト担当者がそう考える一方で、法務や広報部門は、クッキーバナーを導入すれば自社のプライバシー保護の姿勢を訴求できるため、「できれば導入したい」というスタンスだ。

 プライバシー保護とブランド訴求、どちらを取るかという課題を解決するのが、今回発表されたSTRIGHTである。

 STRIGHTは「サイト訪問時にクッキーバナーを表示しない」という新たな選択肢を提供する。

 具体的には、フッターやハンバーガーメニューに「プライバシー設定」という文字列を表示して、そこをクリックすると、設定画面のクッキーバナーがポップアップされるという仕組みだ。フローティングボタン(定位置に表示されるボタン)を設置して、そこから設定画面を呼び出すことも可能だ。「あくまで重要なのは、透明性を持って情報開示することと、嫌だったらいつでも処理停止ができる機会を提供することだ」と中西氏。

STRIGHTが提示する新たなクッキーバナーの選択肢

 サイト訪問時にクッキーバナーを表示しないのであれば、ブランドサイト担当者の懸念はすべて解決して、かつプライバシー保護も実現できる。消費者にとってもストレスフリーで見やすいサイトになる。「とてもシンプルな戦略だが、消費者・事業担当者・法務担当者にとって“三方のよしの解決策”」(中西氏)。

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