発売日から売り切れ続出! そのクオリティーにせまる:
リュウジ監修カップ麺 「おいしいけど、でも……」と思ってしまう惜しい味
2024年08月08日 12時00分更新
「料理研究家リュウジ監修 至高の醤油ラーメン」
イトーヨーカドー
8月5日発売
300円
https://www.itoyokado.co.jp/special/ramen/
バズレシピで知られる料理研究家の
「邪道にして至高」なカップ麺
いやー、「真打ち登場」という感のある商品が出ました。そう、「料理研究家リュウジ監修 至高の醤油ラーメン」です。8月5日に販売開始するやいなや、発売日に通販サイトで売り切れになるほどの人気ぶりでした。
その名の通り、X(Twitter)やYouTubeで高い人気をほこる料理研究家、リュウジ氏の長年の経験と知識によって開発されたというカップ麺です。
YouTuberとコラボしたカップ麺では、HIKAKIN氏とセブン-イレブンがコラボした「みそきん」以来のビッグタイトルではないでしょうか(参考:「ヒカキンと地元が同じ編集者が食べるカップ麺『みそきん』 “普通においしい”路線の味噌ラーメン」)。
リュウジ氏本人が、X(Twitter)に「料理研究家が一番信用しているサッポロ一番と共同開発しついに至高の醤油ラーメンを作り出すことに成功しました」と投稿するほどの自信作。よって、カップ麺自体の販売者は「サッポロ一番」でおなじみのサンヨー食品です。
こだわりは、どこにあるのでしょうか。まずはスープ。黒豚だしに隠し味として香辛料を加え、奥底から香りが立ち昇る芳醇なスープに仕立てたとうたいます。
具材は、背脂加工品とネギ。そこにキクラゲを入れて食感を足しています。また、麺も独自の製麺技術により、コシとしっかりした重量感のある食べごたえにしたとのこと。
リュウジ氏によれば、「お店レベルの芳醇なスープを家で味わえるという、カップ麺ならではの手軽さを最大限に活かしました」。定番商品がひしめく醤油ラーメンを選んだのも、“あえて”の挑戦だそうです。
作り方はめちゃくちゃ普通
とはいえ、作り方は通常のカップ麺と変わりません。フタを開けて液体スープと調味油を取り出し、お湯を注いで3分待ったら、液体スープと調味油を入れてよく混ぜてできあがりです。
スープに工夫があるのはわかる
でも……具材はもっとほしかった
食べてみて、うなずきました。やりたいことが、しっかりわかるカップ麺です。特にそう感じるのがスープ。確かにポークエキスが効いているし、香辛料がそこに加わることで、アクセント感もちゃんとある。
麺も“カップ麺の範疇”でありつつ、こだわりは感じられます。あくまで油揚げ麺なのだけれども、独特のつるみがありますし、スープにも合っている。
「カップ麺とはいえど、スープに工夫あり」という風情になっています。ここが、最大の特徴でしょう。店舗で出てくるようなラーメンを再現しようとせず、あくまでカップ麺としての完成度を追求した姿勢は見えます。
でも……。
そうはいっても、「ここが、もっとこうなっていたら」というところもあるように思うのです。
もっともそう感じたのが、具材。とてもシンプルです。スープをメインにしたいのでしょうから、余計なものを入れないのはわかる。コストの問題もあるかもしれない。
しかし、背脂加工品、ネギ、キクラゲだけでは、正直に言えば物足りなさを覚えます。チャーシューとか、欲しくないですか。それこそ、カップ麺のクオリティーでいいから。
それほど「邪道」でもないですよね
もう一つ気になったのが、細かいところかもしれませんが、「邪道にして至高。」というキャッチフレーズです。このカップ麺って、そこまで「邪道」なのでしょうか。
いや、リュウジ氏が動画などでよく使うフレーズなのは理解しています。正攻法ではないかもしれないけれど、こうしたほうがおいしいよ……という意味合いで使われるやつ。
ただ、カップ麺で「邪道」というからには、もうちょっとインパクトのある要素というか、「これは邪道!」と思う何かが欲しいというか……おい! おい! おい! 真鍋! 真鍋ぇ! お前は電流爆破を見たいかあ! 長州力がリングに上がるところを見たいかあ!
閑話休題、「カップ麺として、それほどアウトロー(邪道)な要素はないのでは?」と思ってしまったのも事実です。
せっかく「ラーメンとして」ではなく、「カップ麺として」のおいしさを追求しているのであれば、もっとパンチのある“邪道”な要素が入っていても……と素朴に思いました。まあ、ここは人によりけりな部分かもしれませんが。
アレンジ次第でもっと“化ける”のかも
ここで気付いたのですが、イトーヨーカドーの商品紹介ページでは、料理研究家らしくリュウジ氏が「おすすめアレンジ」を紹介しているんですよね。
また、発売にあわせて公開された動画では、このカップ麺に合うチャーシューと辛ネギのレシピが紹介されています。「ぜひ家で作ってトッピングしてみてください」とのこと。
もしかして、そういうアレンジ(トッピングを加えるなど)をして食べることを考慮しているのでは? と考えるところもなくはない。何かを足すことを前提にした味のまとめ方というか。そうすれば、具材は今のままでいいけれども。
確かにスープはよくできているし、こだわったポイントはわかるのですが、一方で「でも、具材がもうちょっとあれば」「でも、もっと邪道な要素があっても」と物足りなく思う部分もありました。
悪くないんだけどな〜、でもな〜、などと考えているうちに食べ終わっていました。おいしいけど、でも……と思ってしまう惜しい味。筆者としては、そういう意見に落ち着きます。
かなり、評価がむずかしいです。良いところが明確にわかる一方で、カップ麺としての物足りなさもある。アレンジで補えばもっと“化ける”のかもしれませんが、商品単独で完成していてほしいという思いもあるし……。
食べる側がカップ麺に何を求めているか次第で、この商品の評価は大きく変わるように思います。そういう意味では、語りがいのあるカップ麺なのかもしれません。
モーダル小嶋
1986年生まれ。「アスキーグルメ」担当だが、それ以外も担当することがそれなりにある。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。よろしくお願いします。
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