ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第783回
Lunar LakeにはWi-Fi 7があるがPCIe x16レーンは存在しない インテル CPUロードマップ
2024年08月05日 12時00分更新
GPU接続用のPCIe x16レーンが存在しない
Lunar LakeのConnectivity(接続性)
要するにI/O周りであるが、Lunar Lakeは従来のU/Y SKUと同程度のI/Oに留まっている。まだ細かなスペックは示されていないが、少なくともMeteor LakeにあったI/Oタイルがないため、ディスクリートGPU接続用のPCIe x16レーンがないことは確実である。
一応Thunderbolt 4のコントローラーが内蔵されているほか、Thunderbolt Shareにも対応とするが、これは別にLunar Lake特有の話ではない。
またWi-Fi 7対応についてもすでにMeteor Lakeの時代から実現していたので、この観点で言えば別に新しくはないのだが、Lunar LakeではMACの機能がプラットフォーム・コントローラー・タイル内に搭載されており、この結果としてPHYのみが外付けという構成になったことで、パッケージの体積を28%小型化できたとしている。
もっともよく図を見てみると、A2AやBTSなどのBluetooth 5.4のMAC機能のいくつかはBE201のShared Block(下側の水色の部分)に含まれており、その意味ではMACが全部プラットフォーム・コントローラー・タイルに移動したというよりは、一部の機能が移動したというべきなのだろう。
どうせなら全部パッケージに載せてしまえば、という気もしなくはない(そもそもLunar Lakeではプラットフォーム・コントローラー・タイルの左に空きスペースがある)が、このPHY部分は国別に仕様が変わったり、あるいは後追いで法規の変更に対応(今まで不許可だった周波数帯が利用可能になったなど)するのに、パッケージに全部載せているとCPUごとの取り換えになり、実際は半田ボールで接続されているからロジックボードごとの取り換えになってしまうのであまり便利ではない。
またRFなのでシールドも必要になるため、CPUパッケージの上に構築しにくいという話もある。M.2カードの変更だけで済むBE201の方式が一番妥当と判断されたものと思われる。ちなみにBE201はGale Peak 3というわけではなく、Gale Peak 2の派生型になる模様だ。
なお、PCIeに関してであるが、残念ながらM.2接続用に関してもPCIe Gen4 x4のまま据え置きになるようだ。PCIe Gen5対応はArrow Lake以降に期待するしかないだろう。
この連載の記事
-
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第792回
PC
大型言語モデルに全振りしたSambaNovaのAIプロセッサーSC40L Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ