このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

業界人の《ことば》から 第600回

個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば

2024年07月22日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

会社の仕事というものは、決して、ただ単なる金儲けばかりやっているのではない

 1935年の新入社員に対する訓示のなかで、小平氏は、「会社の仕事というものは、決して、ただ単なる金儲けばかりやっているのではないということを、よくみなさんの頭にいれていただきたい。これひとつを申し上げておきましたら、日立精神というものはどういう風に醸成されているかを、よくおわかりなるだろうと思う」と語った。

1926年に発売した扇風機。日立の輸出製品の第1号となる。小平氏は、すぐに利益をあげようとは思っていないから、十分に研究して良いものを作ってほしい」と開発者に指示した

 「自らの力で工業を興し、社会の発展に尽くしたい」という姿勢が、小平氏の創業の志である。関東大震災という大きな不幸が日本を襲った時代であったが、目先の利益より社会のために復興事業に尽力した日立は、これをきっかけに社会の信頼を得て、国内外にシェアを拡大。事業基盤を強化し、日本有数の総合電機企業へと躍進を遂げた。

 現在、日立製作所は、社会イノベーション事業を柱に据えている。これは、日立製作所の創業の精神そのものである。

 小島啓二社長兼CEOは、「日立がこれまで培ってきたIT、OT、プロダクトを組み合わせ、Lumadaを活用することで、様々な社会課題を解決するのが、日立が取り組む社会イノベーション事業である。デジタル、グリーン、イノベーションを成長の原動力と位置づけ、社会イノベーション事業を加速させることで、世界中の人々が望む『POWERING GOOD』を実現していく」と語る。

日立が掲げる「POWERING GOOD」は創業の精神につながっている

 社会イノベーション事業を通じて、社会課題を解決する姿勢は、日立製作所の創業時からのDNAそのものだといえる。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ