荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第867回
予約しないと買えない本格派コンデジ、リコー「GR III HDF」と「GR IIIx HDF」で気軽に猫スナップ
2024年05月08日 12時00分更新
今、にわかに小型のカメラがブームである。たぶん。よくわかんないけど、カメラの売上ランキングを見ても、デジタル一眼は本格派のミドルクラス以上のモデルより、コンパクトで軽量なモデルが上位にきてるし、コンパクトデジカメは、在庫不足な機種が増えてるし、中古のコンパクトデジカメも人気だし。
ガチで撮影する本格派層と、スマホカメラでOKという層の間になる層が復活してきたのかなと思う。
と、能書きから始まったのは、いま、予約しないと買えない本格派コンパクトデジカメ、リコー「GR III HDF」と「GR IIIx HDF」が手元にあるからなのだ。
GRは、スナップ向けの小さくて高画質な単焦点レンズのカメラなので、屋外で猫と戯れるには望遠が足りないけど、飼い猫や、なじみの猫と遊びながらひょいと撮るには、すごくいい猫スナップカメラである。
猫AFを持ってるわけでも、AFが速いってわけでもないのだけど、片手で持ってここぞというタイミングで、ぱっときれいな画を撮れる楽しさがある。
まずは、指をくんくんする様子を撮ろうと左手の人差し指を差し出したら、いきなり指を舐めてくれたの図。右手で持って撮影。そんなラフな撮り方ができる。
レンズもあまり飛び出ないので、猫が驚かないのもいいところだ。
ビューファインダーはないので、背面モニタが頼りなのだけど、腕の曲げ伸ばしで距離を調整できるのはいい。まあ、老眼の身からすればファインダーが欲しいところだけど、その分、APS-Cサイズセンサーを採用しながらもこのサイズで済んでいるのだからぜいたくは言うまい。
GR IIIとGR IIIxの違いは、レンズの焦点距離。GR IIIが35mm判換算で28mm相当、GR IIIxが同40mm相当。広角レンズか標準(に近い)レンズかってところで、GRファンのみなさまは両方を持ってるかもしれないけど、気軽に猫スナップを撮るなら、GR IIIxのほうかな。
今回試用したHDFモデルは、HDF(Highlight Diffusion Filter)というフィルターを内蔵していて、そのオン/オフができるモデル。このフィルターは、強い光源などのハイライト部をほわっと柔らかく仕上げてくれるので、逆光や背景に光源があるシーンだとより印象的になる。
レンジフードの上にぴょこんと飛び乗ったキジトラがいたので、腕を上に伸ばして猫の目の高さまで持っていき(軽いカメラならではだ)、天井の照明がいい感じに入るアングルで撮ってみた。
さらに、トンネルの奥にいるハチワレを、トンネルの反対側から。カメラをトンネルの反対側にさっと置いて、画面は斜めから見ながら、だいたい構図がわかればOKって感じで撮っております。GRは、ラフに撮るのが似合う。
ぐぐっと寄って撮りたいときはマクロモードの出番だ。冒頭写真は、マクロモードにして、寝てる猫の鼻面にピントを合わせて、ほわっと明るくなるよう、ちょっとプラスの補正をかけて撮ったものだ。
次は、うちの黒猫「ミル」。
布団にくるまって顔だけ出してるんだけど、グレーの布団カバーに黒猫というカラーの意味ないじゃん、というアレだったので、はじめからモノクロモードで。
モノクロモードには、「ソフトモノトーン」や「ハイコントラスト白黒」など4種類が用意されてるのだけど、その中から柔らかい階調にしたかったので、「ソフトモノトーン」で。
最後は、外猫を1枚だけ。木の根元でお昼寝してる白猫。
かくして、コンパクトで軽い猫スナップカメラが欲しいな、いっそ、昔使ってたコンデジを復活させてみようかしら、と思ったりした今年のGWなのだった。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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