サステナビリティ・イノベーション本部
サステナビリティ経営を推進する上で、重要な役割を果たすのが、2024年4月1日付で新設したサステナビリティ・イノベーション本部である。
三菱電機では、2023年10月から、GIST(Global Initiative for Sustainable Technology)プロジェクトを開始し、複数の未来社会を構想しながら、社会課題解決型の新事業創出を目指す活動を行ってきたが、新組織では、GISTプロジェクトでの取り組みを本格化させるとともに、価値創出や基盤強化を、包括的、戦略的に推進することになるという。
「新組織では、社会課題を解決する新たな事業創出を進め、サステナビリティ経営による三菱電機の変革を加速させたい」と語る。
サステナビリティ経営を推進
三菱電機では、社会の脱炭素化によるカーボンニュートラルと、循環型社会の構築によるサーキュラーエコノミーによる「グリーンな社会」、レジリエントな社会を実現する安心・安全、多様性を尊重した社会を実現するインクルージョン、いきいきとして生活の実現を目指すウェルビーイングで構成する「安心・安全・快適な社会」の2つの観点から、サステナビリティ経営を推進し、基盤強化と価値創出に取り組むことになる。
「グリーンな社会」では、省エネルギーや電化、再生可能エネルギーの有効活用、資源の循環性が高いビジネスモデルへの転換を進め、社会全体の環境負荷低減を加速。「安心・安全・快適な社会」では、世界133カ国/地域における三菱電機の実績をもとに、防災・減災、交通の利便性向上、労働力不足の解消、快適な暮らしの実現に取り組むことになるという。
具体的には、パワー半導体による機器の省エネ化や自動車の電動化、再生可能エネルギーの電力変換の効率向上に貢献。ビルの省エネ化と快適性向上を両立するZEBソリューションでは、空調や照明、換気、給湯、昇降機、デジタルソリューションといった幅広い製品の品揃えや、プランニングから設計、施工、保守までをワンストップで支援できる強みを生かし、難易度が高い既存ビルのZEB化も支援しているという。
また、3次元計測アプリ「Rulerless」により、目の前の空間やモノを3Dモデル化し、災害時における家屋の被害調査や設備点検などの計測業務の効率化を実現するほか、自律走行ロボットによる商品配送サービスにより、輸送業界の人手不足解消の社会課題解決につなげる取り組みも開始している。そのほか、複数拠点間で再生可能エネルギー由来の電力を融通させることができるマルチリージョンEMSの社内実証を2024年3月から開始していることも明らかにし、これらもサステナビリティ経営の一翼を担うものと位置づけている。
一方、サステナビリティ経営の実現に向けた人財戦略として、2024年度からジョブ型人材マネジメント制度を取り入れた「新人事処遇制度」を採用。従業員の主体性を重視し、キャリアオーナーシップを強化するほか、DE&Iの取り組みにおいても、経営層に占める女性および外国人比率を2030年度には30%に、女性管理職比率は12%に拡大するといった目標にも取り組んでいる。女性管理職比率を高めるには外部からの人材採用が不可避であり、現在、キャリア採用の比率は48%にまで上昇しているという。

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