より強力な暗号化や暗号化キー管理機能も、Dropbox ReplayはDAWの「Pro Tools」と連携

Dropboxが“Office文書のリアルタイム共同編集”を含む新機能リリース

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 Dropbox Japanは2024年4月25日、クラウドストレージの「Dropbox」やメディアファイルのレビュー/承認作業を効率化するツール「Dropbox Replay」など、複数製品における新機能の追加を発表した。

 Dropboxでは、ファイルセキュリティのための完全なエンドトゥエンド暗号化機能のほか、「Microsoft 365」との連携強化によるMicrosoft Officeドキュメントのリアルタイム共同編集機能(ベータ版)などが追加された。またDropbox Replayでは、プロ向けの音楽制作ソフトウェア(DAW)である「Avid Pro Tools」との連携、コンテンツ保護のための電子透かし挿入といった新機能が発表されている。

Microsoft 365との連携強化によってOfficeドキュメントのリアルタイム共同編集が可能になった(現在はベータ版)

セキュリティ:完全なエンドトゥエンド暗号化と独自暗号化キーの管理

 Dropboxでは標準でAES 256bit暗号化を採用しているが、より機密度の高いコンテンツを扱うユーザーや、新たなコンプライアンス要件への対応を必要とする企業では、さらなるセキュリティ機能の追加が求められていた。

 今回は、機密度の高いコンテンツを保護するために、チームフォルダにエンドトゥエンド暗号化機能が標準搭載された。チームフォルダの作成時にこの機能を設定することで、指定されたチームメンバー以外は(Drobox社を含めて)コンテンツにアクセスできなくなる。

 また、FIPS 140-2レベル 3のキー管理サービスが追加されたことで、ユーザー企業が独自の暗号化キーを設定できるようになった。

 上記2つのセキュリティ機能は、Dropbox Advanced、Business Plus、Enterpriseの各プランにおいて利用が可能。そのほかにも管理者機能の強化、「Dropboxトラストセンター」の刷新といった強化点がある。

管理者がチームフォルダを作成する際に「エンドトゥエンド暗号化」を設定できるようになった

Microsoft 365連携:Office文書のリアルタイム共同編集が可能に

 デスクトップ版、Web版、モバイル版のDropboxから、Dropboxに保存されているOfficeドキュメントファイル(Word、Excel、PowerPoint)のリアルタイム共同編集が可能になった。

 従来は、Officeドキュメントを複数メンバーが同時に編集すると、それぞれの編集結果を記録した「競合コピー」ファイルが発生していたが、この問題を解消する機能だ。共同編集中には、同時に編集しているメンバー名や編集中の位置がリアルタイムで表示される。

 なお、この共同編集機能(Microsoft Co-Authoring for Dropbox)は現在ベータ版として提供されており、利用を希望する場合はDropboxのWebサイトから順番待ちリスト(ウェイティングリスト)に登録して、機能が有効化されるのを待つ必要がある。

 なお、Microsoft 365との連携ではほかにも「Microsoft Teams」連携アプリの機能強化、「Copilot for Microsoft 365」によるDropbox上のコンテンツに関する質問応答、要約といった機能がある。

Web版Dropbox:「クイックビュー」や「クイックアクション」で操作を効率化

 昨年10月にデザインを刷新したWeb版Dropboxでは、さらに「必要なファイルを見つけやすく」「スムーズに作業を開始しやすく」するために、ユーザーインタフェースの改善が図られている。

 具体的には、グリッド表示中にマウスオーバーすることでファイル/フォルダの中身を表示したり、フォルダを移動している間にもファイルをプレビューしたりする「クイックビュー」、頻繁に使用するファイルなど任意のアイテムを画面左のナビゲーションバーにピン止めできる「クイックアクセス」、頻繁に利用する操作(たとえばPDF編集など)に基づき操作を提案する「クイックアクション」といったインタフェースが追加された。

 また有料プランのユーザー向けに、プロジェクト名やテーマといった項目でコンテンツを自動整理する「ダイナミックフィルター」、閲覧中や作業中のファイルと類似するコンテンツを自動表示する「スマート提案」といった機能も追加される(現在は米国のみ、英語版のみ提供)。

類似のファイルを自動表示してくれる「スマート提案」機能

Dropbox Replay:新たにPro Toolsとも連携、コンテンツ保護の機能も

 映像や音声といったメディアファイルの共有とレビュー、承認の作業を一元管理するDropbox Replayでは、新たにAvid TechnologyのAvid Pro Toolsとの連携機能が追加された。

 これにより、Pro Toolsのプロジェクト(Bounce Mix)をReplayにアップロードして共有やレビューができるほか、レビューで追加されたコメントをPro Toolsにエクスポートし、Pro Toolsのタイムライン上でコメントを参照しながら修正作業ができる。すでに映像編集ツールの「Adobe Premiere Pro」や「DaVinci Resolve」「Apple Final Cut Pro」などと実現している連携機能を、音楽制作ツールにも対応させたものだ。

Avid Pro Toolsとの連携により、ミックス済み音声のアップロードや、レビューコメントのタイムラインへの取り込みが可能に

 また、Replayで共有できるリッチコンテンツとして、新たにPDFやPSDといったファイル形式にも対応した。

 有料版のDropbox Replayアドオンでは、機密性の高いコンテンツの保護と不正使用の防止を目的として、共有するメディアファイルに電子透かしを自動挿入することができるようになった。この電子透かしには、共有相手のメールアドレス、IPアドレス、ファイルを開いた日時などの情報が含まれる。

* * *

 このほかにも、送付したドキュメントの閲覧状況を追跡できる「Dropbox DocSend」で機密情報管理などの新機能追加が、またAIユニバーサル検索ツールの「Dropbox Dash」では接続先の外部アプリの追加(20種類以上)などが、それぞれ行われている。本記事で取り上げられなかった新機能を含め、詳細は下記のDropboxページを参照いただきたい。

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