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磁場をかけると電気抵抗が2万5000%変化する素子=東大など

2024年03月22日 05時58分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学、産業技術総合研究所、海洋研究開発機構の共同研究チームは、強磁性体と酸化物の2層からなる電極を持つ半導体ナノチャネル素子を作製。磁場をかけるだけで抵抗が2万5000%変化する巨大な磁気抵抗スイッチ効果を実現した。

東京大学、産業技術総合研究所、海洋研究開発機構の共同研究チームは、強磁性体と酸化物の2層からなる電極を持つ半導体ナノチャネル素子を作製。磁場をかけるだけで抵抗が2万5000%変化する巨大な磁気抵抗スイッチ効果を実現した。 研究チームは今回、鉄(Fe)層と酸化マグネシウム(MgO)層の2層の電極を持つホウ素(B)添加半導体ゲルマニウム(Ge)のナノチャネルを有する二端子デバイスを作製。電極間に電圧を印加したところ、典型的な「RS効果(印加された電圧に応じて素子の抵抗が変化する現象)」に見られる電流-電圧特性が観測されることを見出した。 さらに、抵抗が大きく変化するスイッチング電圧が、磁場をかけると変化することも分かった。従来のRS効果では、フィラメントの方向と垂直な方向に磁場を加えた場合にこのような現象が起こることが報告されており、ローレンツ力で説明されてきた。しかし、今回の研究では磁場方位によらずこのような現象が見られ、しかも、抵抗変化率が2万5000%にも及ぶ磁場による巨大な抵抗スイッチが観測された(研究チームはこの効果を「巨大磁気抵抗スイッチ(Colossal magnetoresistive switching:CMRS)効果」と名付けた)。 同チームは、この現象の起源については未解明な点もあるが、酸化物層内の欠損に存在するスピンの向きの揃った正孔の波動関数の振る舞いに起因するものであり、スピンを利用した新たな機能性デバイスなどの実現につながることが期待されるとしている。研究論文は、アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)に2024年2月14日付けで掲載された

(中條)

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