前回(「ぱぱっと設定できて程良い距離感で猫が撮れる! 富士フイルム「X100VI」は楽しい趣味カメラだ」)、富士フイルム「X100シリーズ」の6代目に当たる「X100VI」で撮った猫の話をしたけれども、じゃあ2代目のX100がX100IIだったかというと、そうではないのが面白いところ。
前代のX100Vからローマ数字になったのだ。ちなみに2代目は「X100S」(2013年)で、3代目が「X100T」(2014年)、4代目が「X100F」(2017年)、そして5代目で「X100V」(2020年)となった。
そんなことを調べてたら、歴代X100で撮った猫写真を引っ張り出したくなった。35mm相当の単焦点レンズなので、猫撮影向きかと言われると難しいところもあって、猫を撮りまくったカメラではないのだが、飼い猫を含めるとなんとか全機種揃ってたのである。
まずは、初代「FinePix X100」。AF性能や高感度時の画質は今ほど高くなかったけど、APS-Cサイズのコンパクトカメラで、「ハイブリッドビューファインダー」という特徴を備えていたのだった。当時、先祖返りのクラシックなボディと操作感、しかも単焦点レンズという構成に驚いた記憶がある。
初代FinePix X100は1230万画素だった。ブラッシングされて気持ちよさそうな顔をしてる地域猫。毎日集まってきて、後ろに写ってる猫ボランティアの方が世話をしていたのだった。2012年6月 富士フイルム FinePix X100
2代目は、「FinePix」が取れて、晴れて独立したXシリーズとなった「X100S」。AFも速くなり、1600万画素になり、使い勝手もかなり上がった。
まずは、うちのかふか。若い頃は身軽だったので、得意技は網戸登り。おかげで網戸がひとつダメになりました。
このX100Sは完成度も高く、よく散歩にも連れ出したので猫写真も多く残っている。その中から、渋谷区で撮ったキジトラのハチワレを。
3代目は「X100T」。X100シリーズは35mm相当の単焦点なので遠くにいる猫は撮りづらいのだけど、遠くの猫をどう構図に収めるかを考える必要があり、そのぶん工夫した写真を撮れるのだった。これなんか、白猫をどの高さでどう収めるか、背景の暗いところをどううまく使うかを考えて撮った気がする。
4代目の「X100F」はセンサーが2400万画素に増え、高感度時の画質も上がり、シリーズとして次の世代に突入した感があったモデル。部屋の照明をちょっと落として、夜の雰囲気でうちのかふか。
5代目は「X100V」で、ここから型番にローマ数字がつく。
うちの猫の写真が続くのは……、持ち歩いてるときに外猫に出会えなかったからですな。ソファーで仲良く寝てる大五郎とかふか。
そして、「X100VI」。
猫瞳AFが搭載された記念で、瞳だけ見えてるうちのミル。ソファーに座ってたので、上からバスタオルをかけてやったときの図。
冒頭写真もX100VIで、近所のお寺にいる猫。今日はどこにいるかなと探してたら、本堂の近くで座ってる外国人観光客の夫婦がおり、これは猫と遊んでるに違いない、と近づいたら、猫が膝に乗って動けなくて苦笑していたのだった。
面白いので「写真撮っていいですか?」と(日本語はわからないようだったので、拙い英語で)尋ねてOKをもらい、さっと撮影。こんなとき、さっと出してさっと撮れる機動力がいいところだよね。
そんなX100VI。本稿執筆時点ではまだ発売されてないのだが、すでに予約受付を中止したカメラ店や、予約は受け付けず抽選販売にしたカメラ店もあるくらいの人気である。
デジカメといえば、ミラーレス一眼がメインになっている昨今ではあるけど、高画質な高性能コンパクトカメラも求められているのだ。実際、X100VIをバッグに入れて散歩に出かけると、いろんなものを撮りたくなる。コンパクト単焦点ならではの楽しさが詰まっているのだ。
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筆者紹介─荻窪 圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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