Windows Info 第422回
Windows 11の目玉機能が早くも終了、Windows Subsystem for Android(WSA)を振り返る
2024年03月10日 10時00分更新
では今後のWSAはどうなるのか?
まず結論から言うと、現在WSAが入っていないマシンでは、もうインストールすることができず、WSAはもはや利用不可だ。日本国内では米国太平洋時間の午前0時頃(日本標準時の午後5時)には、まだMicrosoftストアにAmazonアプリストアが表示され、インストールが可能だった。米国太平洋時間の3月6日午前5時(同午後10時)に確認したところ、もうAmazonアプリストアは表示されなくなっていた。
米国太平洋時間の3月6日午前5時には、Microsoftストアの検索キーワード「Amazon」で「Amazonアプリストア」が表示されなくなっていた。背景のAmazonアプリストアのページは、同午前0時に開いたもの
現在、WSAがインストールされているマシンでは、2025年3月5日まではWSAを普通に利用することができ、Amazonアプリストアからアプリのインストールも可能である。ただし、Amazonは、2024年3月5日の時点で、AmazonアプリストアへのWindows 11をターゲットとしたアプリの申請を受け付けなくなっており、今後、新規のアプリがAmazonアプリストアに登録される可能性はない。
登録済みのアプリに関しては、アップデートの登録申請は受け付けるので、インストール済みAndroidアプリのアップデートを受け取る可能性はある。
とはいえ、Amazonアプリストアを見ると、昨年記事を書くときに見つけたアプリの多くが消えており、今後新しいアプリが登録されないことを考えると、WSAのアプリストアとしては「終わった」ものと考えられる。今後もアプリがAmazonアプリストアから消えていくのではないかと思われる。ユーザーとしては、インストール済みのアプリを使い続ける程度しかできないだろう。
2025年3月5日以降にどうなるのかは、「サポートされない」としか表現がなく、有償アプリもあったことから、WSAが動くなら、そのまま使い続けることができる可能性がある。しかし、アップデートもなければ、バックエンドで使われているサービスが継続する保証もない。場合によっては、WSAは動作できても、アプリ自体が動作しなくなる可能性が高い。
また、すでにWSA自体の開発が終了していることから、Windows 12などのWindows 11 Ver.23H2後継のWindowsでの利用も困難と考えられる。気になるのは、WSAをインストールしたWindows 11マシンをWindows 12にアップグレードしたらどうなるかだ。Microsoftストアアプリは、Windowsのアップグレード(形式上はWindowsの再インストール)後に、自動的に再インストールされる。このとき、Windows 12では、WSA自体が動作しない可能性があり、Windows 12での継続利用は難しいだろう。
基本的にユーザーがする必要があることはなく、できることもほとんどない。もし、アプリが何らかのデータを管理していた場合、原則、それもWSAと運命を共にする可能性が高い。データ救出の望みがあるとすれば、WSAで開発者向け機能を有効にして、adbコマンドやadb shell機能を使って、ファイルを取り出す程度であろう。とはいえ、画像などの汎用ファイル形式ならともかく、アプリ独自のバイナリファイルなどでは、もはや活用する術もないかもしれない。
WSAは、Windows 11の目玉機能として紹介され、日本では2022年8月からプレビューが始まった。同年10月にVer.1.0となり、アップデートもほぼ毎月のようにされていたのだが打ち切りが決まった。
Amazonアプリストアは、ゲームやエンターテインメント系が多い印象が強く、実用的なAndroidアプリの数は少なかった。筆者もWSAで常用するアプリは、電子書籍リーダーのKindle程度だった(Windows版Kindleにはない翻訳機能があったため)。そもそも、スマートフォンを持たないWindowsユーザーは極めて少数派なので、何もわざわざWindowsで使わなくとも自分のスマートフォンでアプリが利用できる。
鳴り物入りで導入されたWSAだが、実際の利用者が少なかったのが現実だったのかもしれない。

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