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柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた 第158回

あなたの会社が公開しているPDFファイル、アクセシビリティに対応していますか?

2024年03月04日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

提供: アドビ

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 本連載は、Adobe Acrobatを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第158回は、PDFのアクセシビリティに対応状況などについて紹介する。

アクセシビリティガイドラインを適用しているのは約6割の企業

 PDFのアクセシビリティ機能を活用しているだろうか。アクセシビリティ機能とは、視覚障害や運動障害など、身体に障害のある方や高齢者の方が簡単にPDFの情報やメニューにアクセスできるようにするもの。例えば、マウスが使えない人がキーボードだけで利用できるようにしたり、視覚に障害を持っている人が読み上げ機能で内容を聞くことができるようになる。

 アドビは、12月3日からの「障がい者週間」に合わせ、11月に「PDFファイルのアクセシビリティに関する調査」を実施した。社員300名以下の企業と301名以上の企業からそれぞれ150名にアンケートを取ったものだ。

 Webサイトの運営担当者に、「PDFの作成・管理ツールに含まれるアクセシビリティ機能を業務で使ったことがある」を聞いたところ、全体の約6割が利用していると回答した。「頻繁に利用している」と回答したのは、従業員数300名以下では12.3%、従業員301名以上では36.1%と差がついていた。

 また、作成するPDFにWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)などのアクセシビリティガイドラインを適用しているか、という質問には約6割の企業がすべてもしくは一部のPDFに適用しているという結果になった。こちらも大企業の方が適用割合が高かった。

全体の約6割が、アクセシビリティ機能を活用している

 利用しているアクセシビリティに関する質問は複数回答ありで、もっとも活用されていたのが、「代替テキストや説明文の付与」(36.9%)だった。画像やグラフなどの内容をスクリーンリーダーを使って音声読み上げする機能だ。続いて、21ページ以上の長い資料に「しおりを付与する」が34.8%、視覚障がいを持つ人に対して「カラーコントラストを調整する」は33.8%という結果になった。

 しおりは障がいの有無にかかわらず、付いていた方が読みやすいので利用頻度は高いと予想できたが、代替テキストやカラーコントラストの調整も広く活用されているというのには少々驚いた。昨今、情報のバリアフリーも求められるようになってきているが、企業の対応も徐々に進んでいるのだ。

企業が活用しているアクセシビリティ機能ランキング

PDFがアクセシビリティに対応しているかチェックする

 これからアクセシビリティに対応していこうと思っているなら、まずは普段作っているPDFをチェックしてみよう。PDFファイルを開いたら、ツール一覧から「アクセシビリティを設定」を開き、「アクセシビリティをチェック」をクリックする。どの設定項目をチェックするかが開くので、初回はこのまま「チェック開始」をクリックすればいい。

 少し待つと、アクセシビリティチェッカーが開き、チェックの結果が表示される。アクセシビリティに対応できていない項目には「不合格」と表示される。

 右上の「…」メニューから「修正」をクリックすると、不合格部分の修正を行える。例えば、図の代替テキストがなかったり、文書タイトルがタイトルバーに表示されていない場合は、ダイアログが出るので入力すればいい。読み上げの順序やカラーコントラストなど、手動チェックが必要になることもある。

「アクセシビリティを設定」を開き、「アクセシビリティをチェック」をクリック

「チェック開始」をクリック

チェックの結果が表示される

「…」メニューから「修正」をクリックし、問題を修正する

 今後は、WordやPowerPointで文書を作成する段階で、図に代替テキストを追加したり、カラーコントラストを意識するようにしよう。しおりに関してはAcrobatで追加できる。「第157回 ページ数の多い資料にしおりを挟んで手軽にジャンプできるようにしてみる」を参照して欲しい。

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