消え去ったI/F史の2回目はセントロニクスI/Fの話だが、その前に前回のお詫びを。RS-232-Cポートですとかキャプション付けて25ピンのセントロニクスポートの写真を堂々と掲載したのは純粋に筆者のミスです(現在は訂正済み)。
36ピンのMicro Ribbonの方は覚えていた(なにしろPC-98シリーズでさんざん使ってきた)のですが、D-Sub 25ピンはDOS/Vマシンに移行してからで、ところがその頃にはプリンターはLAN接続にしてた関係で使ってなかったため、キレイさっぱり失念していました。ということで間違った写真を掲載して申し訳ありませんでした。
自社プリンター用に誕生した
セントロニクスI/F
ということで今週はそのプリンター向けポート。正式名称はIEEE-1284ポートになるわけだが、業界ではセントロニクスI/Fなんて呼び方もされていた(以後本稿ではセントロニクスI/Fで統一する)。
なぜか? というと、この規格はもともとCentronics Data Computer Corporationというメーカーが自社のプリンター用に利用していた規格が広く使われるようになり、IEEEで後追いで業界標準規格に制定されたからだ。それもあって社名を取ってセントロニクスI/Fと呼ばれることが多かった。
そのCentronics Data Computerは1970年に、これまた有名なCentronics 101というドットインパクトプリンターをリリースする。
なにしろ1970年なのでまだマイコンもない時代の話で、ミニコンなどに接続して利用していたわけだ。ちなみにドットインパクトプリンター、というものがご理解いただけないかもしれないので簡単に説明しておくと、構造そのものは下の画像にある構造で、縦に7つのスチールワイヤー(説明ではPrint Wire)が並んでいる。右側の図の"A"と書かれた部分だ。ワイヤーの端にはソレノイドコイルがつながっている格好だ。

このPrint Head Jewelとそれにつながるソレノイド類が結構な速度で左右に移動しながら印刷するため、振動(数kgのヘッドが毎秒1回ほどの速度で左右に移動するのだからすさまじい)や騒音(ソレノイドの音とヘッドを左右に移動するモーター、それと紙送りのモーターと、騒音源はたくさんあった)はすさまじかった
ワイヤーの端にはソレノイドコイルがつながっている格好だ。例えば"B"という文字を印字したい場合、以下のように印字にすれば"B"と認識される。
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そこでプリントヘッド(上の画像左側の"Print Head Jewelと書かれている部分)は左から右に移動しながら、"*"にあたる部分が来たらソレノイドを使ってスチールワイヤーを押し出し、" "の部分は逆にスチールワイヤーを手元に引っ張る。
スチールワイヤーと紙の間には(上の画像にはないが)インクリボンが挟まっており、スチールワイヤーが押し出されるとインクリボンが押されて紙に"*"が印刷される。縦一列を印刷したら、少しだけ右に移動しても今度は2列目を縦方向に印字、次いで3列目、という具合に5回移動しながら印刷することで、"B"という文字が完成する格好になる。
1文字分の印刷が終わったら、また1列分だけ横に移動して2文字目を印刷し始めることになる。この調子で最大132桁の印刷が可能であった。ちなみに当然ながら当時のことだから英数字と一部の記号くらいにしか対応していないし、まだグラフィックの印刷も考慮されていない。
このあたりはその後、PCの広範な普及や多国語対応などにより次第に変わっていく。多国語対応しようとすると縦方向に8本が最低限必要になるし(例えばフランス語のアクサンテギュ"É"の印刷など)、漢字では縦方向16bit欲しいことになる。あるいはカラーリボンを使えば多色印刷も可能になるわけで、こうした対応でどんどん複雑化・高機能化していくわけだが、それは今回の本題ではないので割愛する。

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