このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第466回
Galaxy S24 UltraはGalaxy S23 Ultraからどう変わった?カメラや生成AI機能を比較した
2024年02月14日 12時00分更新
サムスン電子の「Galaxy S24 Ultra」は前モデルの「Galaxy S23 Ultra」からどのように進化したのだろうか。チップセットが最新のものになっただけではなく、望遠カメラの構成が大きく変わった。また、AI機能も進化している。両者の外観の違いとカメラ性能、画像のAI処理の差を比較してみた。
◆ディスプレーとカメラデザインに違いがみられる
Galaxy S24 UltraとGalaxy S23 Ultraは一見すると本体サイズはほぼ同等であり、両者の外観上の差はあまりないように見える。しかし、Galaxy S24 Ultraはディスプレーがフラット形状となり、左右の角を曲げたエッジディスプレー採用のGalaxy S23 Ultraとフロント面の印象はやや異なる。両者ともに6.8型ディスプレーを搭載するが、Galaxy S24 Ultraはディスプレー周囲に狭いベゼルが存在することがわかる。
一方、Galaxy S23 Ultraはディスプレーの側面がカーブしてフレームにつながるため、ベゼルレスのように見える。また、Sペンのサイズはほぼ同等だが、Galaxy S23 UltraのペンをGalaxy S24 Ultraに入れようとするとやや引っかかりを感じる。Sペンの大きさはわずかに異なるようである。
背面側は、Galaxy S24 Ultraは周辺をチタン製のフレームが覆うデザインになった。カメラのレンズ部分もGalaxy S24 Ultraは背面とは異なる色とし、目立つようにしている。一方、Galaxy S23 Ultraは背面色と同じにすることでレンズそのものを目立たなくしている。レンズの配置などは同等だが、背面の印象はやや異なると感じられるだろう。
本体サイズはGalaxy S24 Ultraが約79×162.3×8.6mm、Galaxy S23 Ultraが約78.1×163.4×8.9mmで、Galaxy S24 Ultraが薄くなった。
本体の断面構造もGalaxy S24 UltraはGalaxy S23 Ultraより丸みが少なくなり、よりスクエアなデザインとなった。とはいえ、最近主流の角をきっちりと出した形状ではないため握りやすい。チタンフレームとなったことで、手で握ったときの感触はだいぶ異なるように感じられる。
ディスプレーの形状の差は、使い勝手に違いとして出てくるのだろうか? Galaxy S24 Ultraは完全なフラットディスプレーのため、ディスプレー端のぎりぎりの部分までSペンを使った手書きや塗りつぶしなどもしやすくなった。Galaxy S23 Ultraのエッジディスプレーはカーブ部分が手のひらに若干当たるものの、誤操作などはなく使いにくいわけではなかった。ディスプレー面積全体の有効利用という点で、Galaxy S24 Ultraのフラットディスプレーはより有利になったと言える。
◆レンズの構成も変わった両者のカメラを比較
Galaxy S24 UltraとGalaxy S23 Ultraのカメラ構成は標準(2億画素)、超広角(1200万画素)、3倍望遠(1000万画素)は両者ほぼ同等だ。高倍率望遠はGalaxy S24 Ultraが5000万画素 5倍 f/3.4、Galaxy S23 Ultraが1000万画素 10倍 f/4.9である。Galaxy S24 Ultraは3倍の上を高画質の5倍としたことで、10倍、30倍、100倍といったデジタル高倍率時にAIを組み合わせ、鮮明な写真が撮影できるようになった。
まずは両者の画質を、それぞれのカメラで比較してみた。以下は実サイズのまま2枚の写真を合成している。超広角、広角、3倍望遠ではGalaxy S24 Ultraのほうが自然な発色に近く、Galaxy S23 Ultraのほうが若干AI調整を強くしているように感じられる。
次にGalaxy S24 Ultraの「5000万画素 5倍望遠」と、Galaxy S23 Ultraの「1000万画素 10倍望遠」を比較してみた。
まず5倍撮影ではGalaxy S24 Ultraは光学5倍カメラをそのまま使い、5000万画素からピクセルビニングで1200万画素相当で撮影される。一方Galaxy S23 Ultraは1000万画素の3倍望遠をデジタルで約1.7倍に拡大している。そのため細部を比べてみると、鉄塔の支柱はGalaxy S24 Ultraはしっかりとシャープな写りになっているのに対し、Galaxy S23 Ultraは角がやや甘い仕上げだ。
Galaxy S23 Ultraは10倍という高倍率光学望遠を搭載しているものの、「3倍以上、10倍未満」の倍率ではやや甘さがあった。Galaxy S24 Ultraの「3倍+5倍」という望遠の組み合わせはその弱点を補ってくれるのだ。
次に10倍望遠での比較を行なった。Galaxy S24 Ultraは5000万画素からデジタル2倍、Galaxy S23 Ultraは光学10倍望遠での撮影となる。両者の差を見ると大きな差は見られず、Galaxy S24 Ultraのほうが若干甘い表現もあるように見えるが、5倍望遠での両者の差ほどの違いは見られない。Galaxy S24 Ultraの10倍の望遠は十分使える画質だろう。
なお、それぞれで撮影した1枚ずつの写真も掲載する。
ナイトモードでも10倍撮影の比較をした。まずは夜間でも明るい部分のある被写体を撮影。両者の差はほとんど見られない。
一方、やや暗い場所を10倍で撮影すると、5000万画素のGalaxy S24 Ultraのほうが明るく写してくれ、描写も細かい。夜景撮影の望遠撮影はGalaxy S24 Ultraに軍配が上がる。
さらに高倍率な30倍、100倍でも比較をした。30倍ではGalaxy S24 Ultraのほうが明るく撮影できる。100倍はどちらも記録程度の画質となるため、大きな差はないようだ。
画像の「消しゴム」機能は生成AIで大きな差
Galaxy S24 Ultraから搭載されたAI機能の差も比べてみた。Galaxy S24 Ultra、Galaxy S23 Ultraどちらも画像の不要な部分を消去するオブジェクト消去機能を搭載している。Galaxy S24 Ultraは生成AIを使い、より自然な消去が可能だ。
まずはGalaxy S24 Ultraでテーブルの上の紙コップを消去してみた。紙コップの周りをラフに囲むだけで紙コップだけが正確に選択され、消去も簡単だ。消去後のテーブルのエッジ部分は直線で描かれ、奥のカゴの網目も自然な仕上がりである。右側の壁の縦の筋がコップがあった部分だけ若干色合いが異なるものの、言われなければ気にならないだろうか。
また、紙コップを消去せずに場所を移動したり、サイズを変更したり角度を変えることも生成AI機能により手軽にできる。
Galaxy S23 Ultraでオブジェクト消去を行なうと、テーブルのエッジの形状はかなり不自然な仕上がりとなった。奥のカゴの縫い目や右の柱の筋の部分も、周りとうまく合致していない。背景がやや複雑な消しゴム機能はGalaxy S23 Ultraではまだまだ不得意だ。
◆カメラと画像処理はGalaxy S24 Ultraが有利
Galaxy S24 Ultraは本体デザインが変わっただけではなく、高倍率での望遠カメラ性能や画像処理時のAI機能などがGalaxy S23 Ultraから大きく進化した。AI機能は追ってGalaxy S23 Ultraでも使えるようになるそうだが、チップセットが1世代前のモノを搭載しているため、画像処理などにはGalaxy S24 Ultraより時間がかかることも考えられる。
カメラ性能とAI処理を考えると、Galaxy S23 UltraからGalaxy S24 Ultraへの買い替えは十分検討するに値するだろう。
| Galaxy S24(参考) | Galaxy S24+(参考) | Galaxy S24 Ultra | |
|---|---|---|---|
| メーカー | サムスン電子 | ||
| ディスプレー | 6.2型有機EL | 6.7型有機EL | 6.8型有機EL |
| 画面解像度 | FHD+ | WQHD+ | |
| サイズ | 約70.6×147×7.64 | 約75.9×158.5×7.74 | 約78.1×163.4×8.9 |
| 重量 | 168g | 196g | 233g |
| CPU | Snapdragon 8 Gen 3 | ||
| メモリー | 8GB | 12GB | |
| ストレージ | 256/512GB/1TB | ||
| カメラ | アウト:50MP/10MP/12MP /イン:12MP |
アウト:200MP/10MP+50MP/12MP /イン:12MP |
|
| バッテリー容量 | 4000mAh | 4900mAh | 5000mAh |
| 画面輝度 | 2600nit | ||
| 生体認証 | ○(指紋) | ||
| USB端子 | Type-C | ||
| 防水防塵 | IP68 | ||
| 生体認証 | 画面内指紋+顔 | ||
| OS | Android 14 | ||
| eSIM | ○ | ||
| カラバリ | Onyx Black、Marble Gray、Cobalt Violet、Amber Yellow | Titanium Yellow、Titanium Violet、Titanium Black、Titanium Gray | |

この連載の記事
-
第558回
スマホ
手のひらサイズでサッと開く!モトローラ「razr 60」を使って感じた驚きの軽さと操作感 -
第557回
スマホ
「ハッセルブラッドウルトラクリア」で撮る世界に感動! OPPO Find X9シリーズは爆速快適に写真を撮りまくれる -
第556回
スマホ
世界初の「水冷」搭載ゲーミングスマホ「REDMAGIC 11 Pro」を日本上陸前にチェック! -
第555回
スマホ
プロ級撮影 × 超速ゲーム! 「Nubia Z80 Ultra」がもたらすハイスピード革命 -
第554回
スマホ
AI機能も強化のOPPO「Find X9」は特大バッテリーに高画質カメラを搭載! 日本上陸が待ち遠しい! -
第553回
スマホ
「Xiaomi 17 Pro Max」はiPhone 17 Pro Maxのようでサブ画面まで! ケースを付ければゲームも! -
第552回
スマホ
超人気ファンタジードラマとガチコラボの「realme 15 Pro 5G Game of Thrones」レビュー -
第551回
スマホ
Pixelの大画面はどちらが正解? Pixel 10 Pro XLと10 Pro Foldを比較レビュー -
第550回
スマホ
2万円台で11型&90Hzの快適さ! 「OPPO Pad SE」は動画と日常使いに最適な万能ミドルタブだ! -
第549回
スマホ
新生FCNTの“本気”を感じる8万円台ハイエンド「arrows Alpha」がかなりイイ! -
第548回
スマホ
AIスマートグラス対決! HTC「VIVE Eagle」とシャオミ「Xiaomi AI Glasses」を比較した - この連載の一覧へ






























