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テスト自動化の進化を支える“4つの柱”、AI、ローコード…… mabl共同創業者が説明
2023年11月27日 07時00分更新
現在注力する“テスト自動化の4つの柱”と最新機能を紹介
アゼリ氏は、ソフトウェア品質の向上につながるテスト自動化には“4つの柱”があると語る。それは「ローコード」「AI」「クラウド」「インサイト」の4つであり、mablの開発においてもこの4つに注力しているという。
「ローコード」は、QA担当者だけでなくアプリ開発者からビジネス担当者まで、あらゆる担当者がテストに関われるようにするには必須の要件だ。それに加えて、複雑なテストシナリオをビジュアルに作成できるため、よりユーザー体験にフォーカスした“ユーザー重視”型のテストが実現すると説明する。
mablではAPIテスト機能もローコードで実現している。加えて今年5月にはAPIのパフォーマンステスト機能もリリースしており、もちろんこれもローコードでテストシナリオを作成できる。アゼリ氏は、mablによるAPIテスト件数が、今年に入って急速に伸びていることを紹介した。
もうひとつ、mablでは新たにモバイルアプリのローコードテスト機能もリリースしている。これまでのモバイルアプリテストは、スクリプト作成が必要で複雑、複数種のデバイス実機を用意/管理する必要がありコスト高、テストカバレッジが限定的といった課題があったが、そうした課題の解消を狙う。
mablのモバイルテスト機能では、Webアプリと同じように、シミュレーターが画面上に表示するモバイルアプリの画面を操作することで、ローコードでテストシナリオを作成できる。アゼリ氏によると、すでにテスト作成のスピードが10倍になる、テストカバレッジが90%向上する、アプリのバグが80%削減できるといった成果が得られているという。
「AI」は、今やあらゆる業界や場面で注目されている。アゼリ氏は今回の来日で顧客企業やパートナーを数社訪問したが、「どこに行っても必ずAIが話題に上った」と語る。
mablでは従来、テストシナリオの自動修復機能(オートヒーリング)を提供してきた。アプリ側の修正によって画面上の要素に変化が加わっても、その変化に追従してテストシナリオを自動的に修復し、エラーなしでテスト実行可能にするというものだ。
これによりテストシナリオのメンテナンス作業にかかる時間が削減できる。たとえば電子契約サービスのCloudSign(クラウドサイン)では、テストメンテナンス作業が70%削減されたという。
ただしこの自動修復も、すべてのケースでアプリの変化に追従できるわけではなく、たとえばIDのロケーターやテキストが変更されると追従できなくなるなど限界があったという。そこでmablでは、新たに生成AI(LLM)を組み合わせて、そうした変化への追従も可能にしようとしている(現在アーリーアクセス提供中)。
「これまでのオートヒーリングでは、テストメンテナンスの80%くらいをカバーしていた。ここに生成AI技術を追加することで、そのカバー率を95%程度まで高めることができる」(アゼリ氏)
「クラウド」では、テストを実行するインフラのさまざまな課題を解消し、「ユーザーがテストに専念できるようにする」ことを目標にしているという。
アゼリ氏は特に、アプリケーションテストは特定のタイミングに処理が集中する「スパイキーなワークロード」であり、クラウドでの実行が適していると説明する。実際に、mablで一度に50件以上のテストを同時実行しているユーザー企業は数百社に上るという。
最後の「インサイト」では、特にパフォーマンステストの重要性を強調した。アプリの体験品質に対するユーザーの期待度は高まり続けており、すでに「47%のユーザーは『Webサイトの読み込みを2秒以上待たない』という調査結果が出ている」(アゼリ氏)という。
先に触れたとおり、mablではすでにAPIパフォーマンステストをリリースしているが、新たにWebパフォーマンステストも追加された(アーリーアクセス提供中)。スケーラブルなテストを継続的に行うことができ、本番運用中の体験品質劣化にも迅速に対応できる。
キーノートのまとめとしてアゼリ氏は、mablでは顧客からのフィードバックを生かしながら開発を進めており、2023年にはおよそ800の機能追加を行ったことを紹介した。
2024年も引き続きフィードバックを重視していく方針だと強調したうえで、ツールとしては「プラットフォームとしての統合強化」「AIによる拡張テスト機能」「大規模組織向けの権限管理機能」といったものを実現すると語った。さらに、今回紹介したモバイルテスト、パフォーマンステスト、生成AIの各機能を活用してぜひフィードバックをお願いしたいとまとめた。