プリンティング領域
ひとつめのプリンティングでは、キヤノンが持つ電子写真とインクジェットの2大技術を軸にラインアップを揃え、多様化するプリントニーズに対応。複写機やインクジェットプリンターの製品強化により、オフィスプリンティングとホームプリンティングの新たな用途を提案していることを示す。
たとえば、Canon EXPO 2023の会場でも、キヤノン独自のSCM(Super Color Management)技術により、異なる印刷方式のプリンタと異なる用紙の組み合わせでも、再現したい色を近づけて印刷できる展示を行い、クリエイターの創造的な活動などを支えることを紹介。多様な印刷ソリューションを持つキヤノンが、これまでのリソースを生かしながら、テクノロジーによって他社との差別化を図る事例のひとつといえる。
また、プリンティング領域で「最も注力している分野」と位置づけたのが、商業印刷と産業印刷だ。商業印刷向けにはインクジェットデジタルプレスの新製品「varioPRINT iX1700」を2024年4月に発売することを発表。インク循環機構を搭載した新開発のプリントヘッドを採用する戦略的製品として位置づける。また、産業印刷では、2022年に英イーデールを買収するなど、体制を強化。デジタル化によってラベルやパッケージ印刷の多品種化へと対応し、産業印刷での存在感を高める考えだ。
御手洗会長兼社長 CEOは、「人が情報を五感で捉え、深く理解し、知を育むクリエイティブな行為には、印刷物が不可欠である。ペーパーレス化が進んでいるのは明らかだが、デジタル社会において、プリンティング技術を極めていくことがキヤノンの使命である」と、この分野に対する強い意思をみせた。
イメージング領域
イメージングでは、これまでキヤノンが培ってきたカメラや映像を支える光学技術と、AIをはじめとしたデジタル技術を組み合わせることで、製品やソリューションを進化させていることを強調した。
ここでは、臨場感と没入感を極めたVRやMR、AR、ボリュメトリックビデオなどによる新たな映像技術による市場開拓や、映像管理ソフトや映像解析ソフトウェアを組み合わせた映像トータルソリューションの提案などをあげる。
さらに、同社が新たな技術として注力しているのが、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)センサーを搭載したレンズ交換式超高感度カメラ「MS-500」である。夜間でも数km先の被写体を、カラーで鮮明に捉えることができるもので、夜間の監視や遠方の監視などでの用途が想定されている。御手洗会長兼社長 CEOも注目している技術のひとつで、「SPADは、高速で動くものを捉えることができる特徴もある。自動運転や医療用画像診断装置など、幅広い分野への応用ができ、安心、安全、快適に過ごせる社会の実現を幅広く支えることができる」と述べた。
そして、「世界ナンバーワンカメラメーカーの矜持を持ち、今後も高性能、高品質な製品展開を進めていく」との方針を宣言した。
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