エリアLOVEWalker総合研究所リポートXトレンド解析 Vol.6

残りの夏休みに行くべきはここだ! Xトレンド解析月次リポート第六弾、2023年「美術館・博物館」TOP100を発表!!

文●渡久地香緒里(エリアLOVEWalker総合研究所)

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 X(旧Twitter)トレンド解析システムによる解析リポートを公表していく、エリアLOVEWalker総合研究所リポート。第六弾のテーマは、酷暑のシーズンでも親子で楽しめる、夏休みにぴったりのスポット「美術館・博物館」。今回は2023年6月27日から2023年7月27日までにX上で言及されたベスト100を発表する。

「美術館・博物館」言及数ランキング、TOP10の表。右端の「共起語」とは、美術館・博物館名とともにつぶやかれたキーワード。共起語が複数つぶやかれることもある。ポジ/ネガ判定は、Xトレンド解析システムで独自に投稿の感情分析を行った結果だ。

 上位10位までにランクインした美術館・博物館の所在地は、東京都が5カ所と半数を占める。次いで愛知県の3カ所、福岡県、群馬県の各1カ所という結果になっている。なお、「美術館」「博物館」というと、彫刻や油絵、古代遺跡からの出土品などが展示されている場所というイメージがあるが、上位100位までのうち10カ所が鉄道や自動車などの乗り物を専門とする博物館、12カ所がアニメ・漫画を専門に展示しているか、算出期間中にアニメ・漫画をテーマとした企画展を開催しており、従来の美術館・博物館のイメージと異なる分野の施設が、X上で人気を博していることが分かる。

 そのほか、この集計期間後に9位にランクインした「国立科学博物館」が、物価上昇による資金難からクラウドファンディングを実施。目標金額の1億円に対し、わずか4日で5億円が集まっているが、「国立の施設がクラウドファンディングをしなくてはならないなんて世も末だ」「文化や学問に割くお金がないなんて、日本は本当に衰退したんだな」と嘆く意見や「今後これを成功例にして、他の博物館も公的資金を投入せずクラウドファンディングをするように促されたら」と危惧する意見も上がっている。

 なお、国立科学博物館のクラウドファンディングは11月5日まで継続中。かはくオリジナル図鑑や標本アクリルスタンド、バックヤードツアーなど金額に応じて様々なリターンが用意されている。返礼品不要で資金支援をしたい方には、賛助会員加入がおすすめだ(個人会員1万円〜、団体会員10万円〜。寄付控除が可能なほか、特典として上野本館の常設展、筑波実験植物園、附属自然教育園の入場が無料)。

東京国立科学博物館の地球館内部。画像は展示されているバシロサウルス(左)とティロサウルス(右)の骨格標本。
(写真: Momotarou2012 CC-BY 3.0)

●地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ(クラウドファンディング募集ページ)
https://readyfor.jp/projects/kahaku2023cf

●国立科学博物館公式サイト 賛助会の案内ページ
https://www.kahaku.go.jp/about/donation/patronage/index.html

Xデータで選んだ美術館・博物館TOP5を分析、予約必至のあの美術館は何位?

 では、Xでの投稿数でTOP5に入った美術館・博物館を見ていこう。Xはリアルタイムで投稿がポストされていくので、話題となったイベントやコンテンツによってバズを起こすことが、ランキングに大きく影響する。今回のランキングでは、上位にランクインしたスポットの多くが期間限定の展示とともに言及されている。

 Xトレンド解析の月次リポート第六回の1位を制したのは、「福岡市美術館」。言及数は15,175件。福岡市の中心部、大濠公園内にある美術館で、九州出身の近代洋画家やジョアン・ミロ、サルバドール・ダリ、アンディ・ウォーホルをはじめとする20世紀の作家の作品を多数所蔵することで知られている。

 なお、同美術館では7月1日から8月27日まで、香取慎吾さんの個展『WHO AM I-SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-』が開催されており、X上では展覧会の様子や個展の開催を報じた新聞の号外が配布されたことが大きな注目を集めていた。

●WHO AM I-SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-
開催期間:7月1日(土)~8月27日(日)
https://rkb.jp/whoamitour-fukuoka/

●福岡市美術館
https://www.fukuoka-art-museum.jp/

福岡市美術館の外観。前川國男が設計を担当した。
(写真: MK Products CC-BY 3.0)

8月27日まで福岡市美術館で開催中の香取慎吾さんの個展『WHO AM I -SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-』メインビジュアル。
(写真: 株式会社grabss『香取慎吾個展 WHO AM I -SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-』プレスリリースより)

 2位は「徳川美術館」で、投稿数は10,691件。名古屋市にある同美術館は、「源氏物語絵巻」や豪華絢爛な婚礼道具「初音の調度」など、国宝9点をはじめとする、尾張徳川家伝来の品を中心とする収蔵品で知られている。

 近年では所蔵する刀剣をモチーフとしたキャラクターが人気ゲーム『刀剣乱舞-online-』に登場することがきっかけで、女性の来館者が急増。デザイン性の高いミュージアムグッズに力を入れており、グッズのかわいさなどがX上で話題となっている。

 なお、集計期間中には大河ドラマ『どうする家康』にちなみ特別展「徳川家康-天下人への歩み-」を開催。名古屋の老舗パティスリー「カフェタナカ」とコラボした特別展限定のクッキー缶「ビジュー・ド・ビスキュイ~葵~」が売り切れ続出となる人気ぶりで話題となっている。

●特別展「徳川家康-天下人への歩み-」
開催期間:7月23日~9月18日
https://www.tokugawa-art-museum.jp/exhibits/planned/

●徳川美術館
https://www.tokugawa-art-museum.jp/

特別展「徳川家康-天下人への歩み-」で展示中の徳川家康所用の甲冑、花色日の丸威胴丸具足。
(写真:徳川美術館プレスリリースより)

徳川美術館が所蔵する刀剣六振りをモチーフとしたオリジナルグッズ、フォトフォルダーとリボンスカーフ。
(写真:株式会社丸井グループプレスリリースより)

 3位は「群馬県立自然史博物館」。投稿数は9,161件。群馬県の自然環境をテーマとした常設展示のほか、様々な企画展を開催していることで知られている。集計期間中には人気ゲーム『ポケットモンスター』とコラボした、古生物学を楽しく学べる企画展『ポケモン化石博物館』を開催し、話題となっている。

 なお、同展は2021年より全国を巡回しており、これまで北海道、島根、新潟、東京など6カ所で開催されており、2023年12月からは岩手県立博物館で開催される予定だ。

●ポケモン化石博物館
開催期間:7月15日~9月18日、9月23日~12月3日
https://www.kahaku.go.jp/pokemon/

●群馬県立自然史博物館
https://www.kandamyoujin.or.jp/

群馬県立自然史博物館の常設展スペース。
(写真: TOSSBON CC-BY 3.0)

12月3日まで群馬県立自然史博物館で開催中の企画展『ポケモン化石博物館』のメインビジュアル(画像は国立科学博物館での開催時のもの)。
(写真: 文化庁のプレスリリースより)

 4位は「東京国立博物館」。投稿数は9,108件。日本美術を中心とする国宝89件、重要文化財649件を含む12万件の所蔵品と150年の歴史を誇る、日本を代表する博物館だ。

 集計期間中には特別展『古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン』を開催。マヤの代表的な都市国家パレンケの黄金時代を築いたパカル王の妃、通称「赤の女王」の陵墓からの出土品がメキシコとアメリカ合衆国以外で初めて展示されるほか、古代メキシコ文明を彩る名品約140点が一堂に会する。また、会場内では人気スマホゲーム『Fate/Grand Order』とのコラボグッズも販売されており、話題を呼んでいる。

 そのほか、X上では昨年開催された特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」の会場内で販売されたミュージアムグッズ「遮光器土偶のぬいぐるみ」が今もなお人気を集めており、手作りの衣装を着用したり、観光地で撮影された土偶のぬいぐるみの画像が多数投稿されている。

●特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」
開催期間:6月16日(金)~9月3日(日)
https://mexico2023.exhibit.jp/

●東京国立博物館
https://www.tnm.jp/

2010年に撮影された、東京国立博物館本館。建物自体が重要文化財に指定されており、建物中央の大階段はさまざまなドラマや映画のロケ地として使用されている。
(写真: Wiiii CC-BY 3.0)

9月3日まで東京国立博物館で開催中の特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」のメインビジュアル。画像中央が「赤の女王」が埋葬時に身に着けていたマスクと冠。
(写真: デルタ電子株式会社のプレスリリースより)

 5位は「三鷹の森ジブリ美術館」。投稿数は8,744件。アニメーション作家の宮崎駿さんが発案し、スタジオジブリが制作したアニメ作品関連の展示品を多数収蔵・公開している。そのため、完全予約制・定員制でありながら「スタジオジブリ作品の聖地」として国内外から多くの利用者が足を運ぶ人気スポットとなっている。

 集計期間中には三鷹の森ジブリ美術館で『未来少年コナン』展が開催されているほか、スタジオジブリの新作映画『君たちはどう生きるか』が公開。同作の主題歌はシンガーソングライターの米津玄師さんが担当しているが、米津さんが過去に同美術館を訪問していたことや、米津さんのコンサートに宮崎駿さんと鈴木敏夫さんから連名で花が届いていたことなどから「米津さんが主題歌を担当するのではないか」という憶測がささやかれており、言及数が増加していた。

●三鷹の森ジブリ美術館
https://www.ghibli-museum.jp/

三鷹の森ジブリ美術館の入り口。
(写真:氷鷺 CC BY-SA 3.0)

気になるX全量データが選んだ美術館・博物館TOP100

 11位以下は表を参照。

【Xトレンド解析】美術館・博物館ランキング11位~100位。25位の「尾道市立美術館」は2017年に美術館に入りたい猫と警備員さんの攻防戦がネット上でバズを起こし、一躍その名を知られるようになった。なお、今でも猫と警備員さんの攻防は続いている模様。また、38位の「新横浜ラーメン博物館」は日本各地のラーメンが味わえるフードコートとして広く知られているが、ラーメンの歴史を学ぶことができる展示スペースも充実している。

 今回紹介した美術館・博物館では紹介した特別展をまだまだ開催中。加えて、工作教室やミュージアムトーク、体験講座などの夏休み特別企画を実施している館も多いため、暑くて海やプール、山には行きたくない方、お子さんの夏休みの自由研究のテーマがまだ決まっていない方は美術館・博物館で涼みながら夏の思い出を作ってみてはいかがだろうか。

 角川アスキー総合研究所は2015年に、東京大学生産技術研究所喜連川・豊田研究室と、アジア圏で唯一ツイートデータの全量を取り扱うことができるNTTデータ、そしてTwitter Japanと共同で「Twitterトレンド解析システム」を開発した。それ依頼、当社が持つエンターテインメント用語辞書(200万語以上)に収録されたワードをもとに、日本国内でのエンターテインメント分野に関するツイートを対象にした解析を行っている。

 解析内容としてはツイート内でのワード出現傾向の分析に加えて、ツイートテキストを対象にした投稿者の推定属性情報(NTTデータ提供)や、各種統計データなどを組み合わせた分析などを行っており、報道機関や、企業・自治体等に幅広く活用されている。なお、「X(旧Twitter)トレンド解析システム」によるXのリアルタイムな集計結果は、「ついラン」(https://tsuiran.jp/)でも見ることができる。

今回の集計の詳細は以下のとおり。
集計期間:2023年6月27日~2023年7月27日
解析対象:美術館・博物館名を含むX(旧Twitter)上での投稿 
抽出件数:21万8,509件(上位100位までの総投稿数)
*上記集計期間中、「Xトレンド解析システム」にて取得した投稿数4億6181万4,267件の中から、上記調査対象ワードを含む投稿21万8,509件を抽出し、言及数順にて100位までのランキングを作成した。

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