単体でもスケール感ある再生、ストリーミングを楽しむオーディオ
R7はストリーミングサービスの操作に最適な縦型デザイン。立ち上げるとAndroidのホーム画面が現れる。設定画面もAndroidユーザーには扱いやすいと思う。FiiO独自の音楽再生アプリに加えて、さまざまなストリーミングアプリを使える。画面が大きいため、仮想キーボードも十分大きい。画面が正立しているので、かなり楽に使用できる。ゲインの幅が広いのでイヤホンからハイインピーダンスのヘッドホンまで幅広く使用することができるだろう。ヘッドホンとスピーカー(SP3)の切り替えも前面からすぐできる。
内蔵ヘッドホンアンプとゼンハイザーの「HD 800」の組み合わせで聞いてみる。据え置き型で設計に余裕があるのか、THX-AAAの優秀さからか、DAP特有のこじんまりとしたサウンドではなく、据え置きのヘッドホンアンプ並みの音質が味わえた。余裕感があるので、イヤホンよりもむしろヘッドホンに合っているように思う。
ゲインは5段階で、ヘッドフォン用のモードにすると十分すぎるほどの音量が取れるが、さらに上のモードもある。個人的にはゲインは控えめで音量を上げて使用した方が、上質なR7の音に合っているように思う。
SP3をR7に接続して聴いてみる。SP3は右側にのみ電源入力があり、左側のユニットに対しては音楽信号の伝送と電源供給を一本の専用ケーブルでまかなう方式だ。電源コンセントがひとつで済むのは助かる。右側にはRCA入力があり、ステレオミニからRCAに接続するケーブルが付属しているので、一般のDAPとの接続もできる。
電源を投入すると、底面がカラフルに光り、暗い室内をライトアップする効果もあると思う。R7がLINE OUT出力を持っているので、SP3側のボリュームを下げ気味にしてからR7の出力セレクタでLO(ラインアウト)モードにすると良いだろう。以後はSP3のボリュームで音量を調整する。
このシステムの音質は素直でなかなか良好だ。モニター的な乾いた音ではなく、適度な暖かみがあるので、音楽リスニングに向いていると思う。楽器音の解像力もあまり不満はないだろう。低域もサイズにしては十分に出ていると思う。背面のノブで低音の出具合は調整ができるので、環境や楽曲で低音がほしいときにはこれで調整できる。
デスクトップ再生はもちろんだが、小さな部屋であれば十分な迫力で楽しむことができる。また日頃ヘッドホン派の人がスピーカー再生を試すのにも好適だと思う。特に、ふだんスマホでストリーミング再生を中心に楽しんでいる人が、据え置きのコンパクトなオーディオシステムを組みたいと考えた場合にいい組み合わせだ。
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