WBC栗山英樹監督の人材育成論、京大最新スパコンの技術、デジタル政府動向まで、「Intel Connection 2023」レポート
DcX、生成AI、デジタル教育… 「技術とビジネスをつなぐ」新イベントをインテルが開催
2023年06月30日 11時00分更新
2023年6月19日と20日、インテルが東京ミッドタウンで対面型カンファレンスイベント「Intel Connection 2023」を開催した。
今回が初めてとなる同イベントでは、「技術とビジネスをつないで新しいことを始めよう」というテーマを掲げている。技術者と経営者の枠を越え、さらには企業や業界の垣根も越えた“つながり(Connection)”づくりの場とすることで、日本における「DcX(データセントリックトランスフォーメーション、データ中心の変革)」を加速させようという狙いだ。
1日目の基調講演では、インテル 社長の鈴木国正氏のほか、衆議院議員の小林史明氏(自由民主党 副幹事長/前デジタル副大臣)、デジタルガレージ 取締役/千葉工業大学 変革センター センター長の伊藤穰一氏、WBC 2023で日本代表監督を務めた栗山英樹氏らが登壇し、これからのデジタル社会を開拓していくためのポイントや、新世代の人材を育成していく方法などについての議論が行われた。
また、分科会では「AI」「サステナビリティ、教育」「DX」という3テーマのトラックで多数のセッションが展開されたほか、インテルおよびパートナー各社の展示ブースも多くの参加者でにぎわった。以下、本記事では1日目の模様をダイジェストでレポートする。
インテル鈴木社長:現在のインテルが注力する「3つの戦略領域」を説明
冒頭のあいさつに立った鈴木氏は、現在のインテルがフォーカスする領域として「進化するムーアの法則」「レジリエンスを備えたサプライチェーン」「AIの『民主化』」の3つを挙げた。
1つめは、ムーアの法則(「半導体性能は18カ月ごとに2倍になる」)に沿ったスピードでの技術進化の維持する取り組みだ。インテルは2019年、「4年間に5つのプロセスノードを実現する」ロードマップを打ち出した。鈴木氏は、このロードマップは発表当初「強烈に無理がある」とも思われたものの、巨額の製造投資も行い、現在はその実現に向けて確実に技術開発が進んでいると説明する。
2つめは、約1100億ドル(約15兆円)を投資し、インテル自身がファウンドリービジネスに本格参入するという動きだ。この数年間、世界中で起きた半導体不足の課題に対応し、今後の地政学リスクもふまえた安定的な半導体サプライチェーンを実現していく。「半導体の企画/生産について、世界中の企業がわずか数社に頼っていることに不安定さの原因がある」。
そしてもうひとつ注力するのが「AIの『民主化』」だ。「現在、『AIの性能向上』と『生成AIの普及』が同時進行している」と鈴木氏は述べたうえで、今後の実装はクラウド側だけでなくエッジ側へ、また学習処理だけでなく推論処理へと拡大が進むという見通しを示した。「AI関連市場は20%超の成長が見込まれており、それに伴ってxPU(CPU、GPU)全般のマーケットも伸びる。インテルはそのドライビングフォースでありたいと考えている」。
そのほかにも、日本および世界には「サステナビリティ」「デジタル社会のセキュリティ」「デジタル人材育成」といった数々の社会課題が山積している。鈴木氏は、インテル共同創業者のロバート・ノイスが語った「知識は力、知識の共有は力を何倍にもさせる」という言葉を紹介したうえで、今回のIntel Connectionは参加者が社会的課題にも目を向け、「議論、ナレッジのシェアリング」を図る場にしたいと語り、あいさつを締めくくった。