アスキー流、稟議を通すために必要な5か条
総編集長のおそらくありがたい指導のおかげで、筆者にもなんとなく稟議書を通すためのポイントが見えてきた。それが下記の5つだ。
①稟議書は箇条書きなど簡潔な文章で、短時間で内容が確認できるものに
②使う金額、購入する機材などの費用は具体的に、目的やメリットもわかりやすく
③見積もりや事前調査など、詳細を確認できる資料は別途用意する
④そもそも、稟議書を提出する前に関係者に相談して合意を取っておく
⑤その際には問題意識の共有や利害調整が大切
自分の稟議書がこれを満たしているかというと……なるほど、まったくできていない。ではどのようにこれらを満たすべきか、それぞれのポイントについて詳しく見ていこう。
●稟議書は箇条書きなど簡潔な文章で、短時間で内容が確認できるものに
稟議書を受理するのは、当然ながら社内での決裁権を持つ立場の人。高価な機材を導入するとなれば、部長や社長といった相応の役職に就く人に許可をもらう必要があるだろう。
つまり、忙しい人が読むので、長文でまとまりがない稟議書が回ってきても、「要点をわかりやすく、まとめて!」など、お叱りを受けてしまうケースが多いだろう。必要な経費がいくらか、導入するメリットは何か、リスクはないかなど、必要な情報を整理して、箇条書きなどで短くシンプルにまとめるべきだ。
●使う金額、購入する機材などの費用は具体的に、目的やメリットもわかりやすく
「機材を導入することで、〇〇にかかっている時間が○○時間短縮できる」「従来かかっていたコストが○○%削減する」など、メリットを記載する際には具体的な数値があったほうが判断しやすい。稟議書に関わらず、プレゼンテーションなどでもデータの有無で説得力が大きく変わる重要なポイントだ。
特に大事なのは「導入にかかる費用は○○円(税別)」「これによって人件費が○○%削減できる」といったようなお金に関わる部分。当然ながら、決裁時に重視されるのは“いくらかかるのか”と“いくら儲かるのか”なので、費用はもっと安くできないのかと突っ込まれることが多い。その費用が妥当かどうかの判断のためにも具体的な数値が必要になる。
●見積もりや事前調査など、詳細を確認できる資料は別途用意する
必要な資料は稟議書とは別に用意する。データの正当性を示す役割もあるが、前述の通り稟議書は素早く概要を理解できるようにつくるため、詳細を記載しきれない部分もある。稟議書だけで通れば問題ないが、決裁者が改めて確認したい部分ができた時の備えとして用意したい。
資料として有用なのは、稟議書に記載したデータを裏付けるレポートや導入機材の見積書、他社の導入事例など。
●そもそも、稟議書を提出する前に関係者に相談して合意を取っておく
実は、提出前にある程度の合意が取れていたほうが、稟議書は圧倒的に通しやすい。つまり、筆者のようにいきなり稟議書を書いて提出するのではなく、できるだけ事前に説明する機会をもらっておいたほうがいい。
稟議書を提出する前に、まずは上司に「実はvProっていうのがあって、これを導入すると……」といった具合に、メリットなどを詳しく説明しておく必要がある。この段階で上司から疑問点や問題点の指摘を受け、内容をすり合わせておくことで、稟議書に書かなければいけないこと、担当として把握しておかないといけないことが明確になり、スムーズに話が進むのだ(今回はすっ飛ばしてしまったわけだが……)。
●その際には問題意識の共有や利害調整が大切
vProのような付加価値を持つ機材にアップグレードしたいという稟議の場合、敢えて高価な製品を選ぶ理由を明確にするのが重要だ。短期的な費用対効果が上がりにくい場面もあるだろう。支払った費用をすぐに回収して利益が出せるなら、会社としても購入に踏み切りやすいが、管理のしやすさ、使いやすさといったポイントは長期的に効いてくるメリットであり、アピールが難しい面もある。
そういった場面では、“リスクに対する備え”という観点がアピールポイントになる。「○○という企業が、個人情報の流出で○○万円の損害賠償を支払った」といったニュースがあったとして、「こういったことは弊社でも起こり得る。だからこそ、セキュリティー面の強化が必要」と注意喚起することで、会社としても導入に踏み切りやすくなるということだ。