前回(「発表したてのフルサイズミラーレス一眼、ニコン「Z 8」で早速猫を撮りに行ってみた」)に続き、ニコン「Z 8」で猫を撮る、の後編。
なにしろ撮影機能が豊富で、ただ撮るだけならいいんだけど、使いこなそう、シチュエーション別に最適なセッティングを見つけようと思うと手間がかかるのだ。逆に言えば、それができるからハイエンド機なわけで、1週間かけて、あれこれいじってみたのだ。
Z 8を使って、最初にこれはすごいと思ったのは「速さ」。レスポンスがとにかくいい。AFも速いし、シャッターを押す→撮影するっていうリズムがいい。メカシャッターがなくて電子シャッターのみであることや、それもあってファインダー像が消失しないってのも快適さの一つだ。
そして、「猫AF」。瞳を見つければそこに、見つからなくても動物と認識したら頭や身体に黄色い枠が出て、そこに合ってくれるのだ。
さらに、モニタがバリアングルじゃなくて「チルト式」なのもいい。チルト式だと、ワンアクションでさっとモニタの角度を変えられるし、モニタが横にはみ出ないので見やすいし、光軸がずれないので近距離の撮影時に構図をぴしっと決めやすい。
このモニタは、横方向へもちょっとチルトするので、縦位置ローアングル撮影をしたい人にもOKというものだ。最近、チルト式モニタのカメラが少なくなって困る、とお嘆きの人にもよし。
4番目に挙げたいのは「連写」。普通の連写と普通じゃない連写があって、普通の連写は最高で秒20コマ。電子シャッターのみということもあってレスポンスもよく、猫があくびした、と思った瞬間に連写すると、いちばん口を大きく開いた瞬間も捉えられたという1枚だ。
普通じゃない連写は、最高で秒120コマ。普通じゃないのは電子シャッターの利点を生かしたプリ連写(シャッターを全押しする寸前のカットも記録してくれる)と、超高速連写時は画質が「JPEGのノーマル画質」に限られちゃうこと。なので、日常的に使うのはちょっとつらいけど、ここぞという瞬間には欠かせない。
冒頭写真は、この機能で撮ったもの。目の前にいたキジトラが時折ペロッと舌を出してたので、よし、ここはプリ連写の出番だ、ってことでじっと舌を出す瞬間を待ち、舌を出してからシャッターを切ったものだ。一瞬でペロッと鼻を舐めるので普通だと間に合わないのだが、プリ連写があるので、いい瞬間を記録できる。
最後は、そのいい例を。
兄弟っぽいそっくりなキジトラが2匹いたのである。カメラを向けると、1匹はなんか知らないヤツがやってきた、と警戒した顔でこっちを見てるのだが、もう1匹は、こっちのことなんか無視して何かに夢中である。
それが何なのかは肉眼だとわからないが、いつしか獲物を狙うときのポーズで姿勢を低くして構えたので、これはプリ連写の出番だ、ってことでファインダーを覗いて、シャッターを半押しにして猫が動く瞬間をじっと待ってたのである。
そして、猫が何物かに飛びかかったのを確認してその瞬間に連写。秒30コマで連写した中に、しっかり猫のターゲットも写っておりました。たぶん、ニホントカゲ。よく見ると、後ろ足が宙に浮いてて、素早く飛んだのがわかるではないか。
じっとしてる猫から獲物に飛びかかる猫まで撮れちゃうのである。しかも、本格的な動画も撮れるわけで、ガチの猫撮り最高峰カメラといっていいかもしれない。
ただ、お値段もガチですけど。ボディとレンズで70万円コースです。ふところと相談して、イケそうならイッチャえ、という感じ。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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