このページの本文へ

電帳法やインボイス制度などの法対応をワンストップで提供

Sansanとリコージャパンが業務提携 Bill One for RICOHで中小企業のDXを支援

2023年04月10日 14時30分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 Sansanとリコー は、中堅中小企業の経理業務のデジタル化の促進に向けた業務提携を発表。Sansanのインボイス管理サービス「Bill One」をベースに、リコーと共同企画した新サービス「Bill One for RICOH」を、2023年4月中旬から提供を開始する。

Sansan初の共同企画製品でパートナー販売を本格化

 Bill One for RICOHはリコーのクラウドサービス群「トレード帳票 DXシリーズ」にラインアップ。2023年10月から開始するインボイス制度などに対応したサービスとして提供する。今後は、トレード帳票DXシリーズとの製品連携により、リコーの共創プラットフォームであるRICOH Smart Integration(RSI)上でのデジタルデータの活用などを推進。継続的に機能の拡充を進める考えも示した。

 Sansan 執行役員 Bill One Unitゼネラルマネジャーの大西勝也氏は、「規模が小さい企業ほど、DXが進んでいないのが実態である。電子帳簿保存法に対応した大手企業が約8割であるのに対して、中小企業では約4割に留まっている」と指摘。「国内企業の約9割を占める中堅中小企業のDX化への支援が重要になっている。経理DXを推進してきたBillOneと、中堅中小企業に強いネットワークと豊富な提案力を持ち、全国7900人のセールスリソースを有するリコーが手を組むことで、中堅中小企業のDX化を推進できる」と述べた。

Sansan 執行役員 Bill One Unitゼネラルマネジャーの大西勝也氏

 Sansanが、業務提携によって、共同企画製品を開発したのは今回が初めてになる。2022年夏から協議を開始し、今回の発表に至った。Sansanにとっては、これまでの直販体制から、パートナー販売に新たに乗り出すことになる。Sansanでは、今回の業務提携をきっかけに、同社がリーチできていない顧客層に対してアプローチできるパートナー企業との協業を進める考えも示した。

クラウド請求書受領サービス「Bill One」をソリューション化

 SansanのBill Oneは、郵送で届く紙の請求書や、メールに添付されるPDFの請求書など、あらゆる請求書をオンラインで、ワンストップで受領するとともに、これを99.9%の精度でデータ化し、クラウドで一元管理。月次決算業務のデジタル化を支援するサービスだ。

Bill Oneの特徴

 昨今では、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応など、請求書業務のデジタル化需要の高まりを背景に、業種や業界問わず数多くの企業に利用されており、クラウド請求書受領サービス市場では、売上高シェアでは首位を獲得している。同社2023年度上期時点(2022年11月)でのBill OneのARR(年間経常収益)は21億2400万円となっており、前年同期比で約3.3倍の急成長を遂げている。

 大西氏は、「Bill Oneを導入するだけで、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応でき、最新の要件に沿って法対応することができる。Bill Oneを通じて、請求書を送付する企業と受領する企業を結ぶインボイスネットワークが構築され、これが拡大することで、請求書のやりとりを簡略化でき、企業の月次決算が加速する。現在は約6万1000社がインボイスネットワークに参加している。リコーとともに、インボイスネットワークを拡大することで、将来は、インボイスネットワークを通じて請求書のやりとりをすることが当たり前になり、『請求書はBill Oneでいいですか』といった会話が日常的になることを目指している」などとした。

 一方、リコージャパン 執行役員 デジタルサービス企画本部副本部長の服部伸吾氏は、「リコージャパンでは、ソリューションの質と量の拡大に取り組んでおり、ソリューションサービスの内製化を拡大し、収益力の強化を推進している。今回の業務提携はその一環になる」とし、「電子帳簿保存法やインボイス制度といった法令対応は、中堅中小企業が業務のデジタル化や DXを実現するには絶好の機会になる。この分野で高いシェアを持ち、緻密なサービスを提供しているSansanの協力を得ながら、Bill One for RICOHの事業を一気に立ち上げたい」と語った。

リコージャパン 執行役員 デジタルサービス企画本部 副本部長 服部伸吾氏

トレード帳票DXシリーズの1つとして、専用プランを用意

 今回、Bill One for RICOHを追加する「トレード帳票DXシリーズ」は、商取引に関する業務プロセスをデジタル化するサービス群で、「RICOH 証憑電子保存サービス」、「MakeLeaps」、「RICOH 受領請求書サービス」、「RICOH 受領納品書サービス」、「RICOH Trade Automation」、「RICOH Contract Workflow Service」の6つのサービスで構成している。

リコージャパンの「トレード帳票DXシリーズ」

 業務効率化や法対応などに合わせて、API連携によるサービスの組み合わせ利用ができ、他社の会計システムや、RICOH kintone plusなどの営業支援システムとの連携も可能だ。シリーズ累計で約1万社への導入実績を持つ。

 服部氏は、「業務プロセスや業務フロー全体を改善するサービスとして提供し、デジタル化やDXを支援できる。また、商取引に関する業務を効率化することができる。Bill One for RICOHでは、リコージャパンのユーザーに導入しやすい専用プランを用意することになる。また、RSIプラットフォームを介することで、電子帳簿保存法に沿って保存しなければいけない帳票類をRICOH 証憑電子保存サービスで一元管理し、業務の効率化も実現する。より多くの中小企業に価値を提供できる」などと述べた。

DXに不安を抱えるお客さまに対してはアナログな相談相手が必要

 リコージャパンの調査によると、中堅中小企業の63.1%が「DXが必要」「ある程度必要」と回答しているが、すでにDXに取り組んでいる企業は19.1%に留まっていることがわかった。この背景にあるのは、「費用対効果が見えない」、「現場の意識・理解が足りない」、「なにから手をつければいいかわからない」といった課題であり、さらに、「業務に適した提案をしてくれる人がいない」という声も多かったという。

DXの取り組み状況

 服部氏は、「なにから手をつければ良いかわからないといった不安を抱えている中堅中小企業のお客さまに対しては、直接会って、気軽に相談ができるアナログな相談相手によるサポートが必要である。リコージャパンは、全国密着の販売、サポート力を生かしてお客様にとって最適な提案を伴走型で支援していくことができる」と語った。

 リコージャパンは、全国350拠点に、7900人の営業部門、4600人のCE、1300人のSEを擁しており、中堅中小企業を中心に約100万事業所の顧客基盤を持つ。IT導入補助金の採択数では3年連続でトップとなり、Microsoft 365の中堅中小企業への新規法人契約数でも1位となっている。経理業務DX領域において、2025年に150億円の売上げ創出を目指している。

■関連サイト

カテゴリートップへ

ピックアップ