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iPS細胞からがんを攻撃するガンマ・デルタ T細胞を作製=神戸大

2023年03月31日 05時09分更新

文● MIT Technology Review Japan

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神戸大学の研究チームは、ヒトiPS細胞から、ガンマ・デルタT細胞を作製することに成功した。ガンマ・デルタ(ɤδ)T細胞は、さまざまな種類のがん細胞を攻撃し、患者本人以外から採取したものであってもがん細胞を攻撃できる特質を持つ。こうした特質に注目して、ガンマ・デルタT細胞を体外で増幅培養してがんの免疫細胞療法に利用しようとする動きがあるが、血液から作製するガンマ・デルタT細胞の増幅力には限界があり、少数の提供者の血液から多数の患者の治療に十分な量まで細胞を増やすことは実現していない。実現すれば、ガンマ・デルタT細胞を「既製品」のように製造し、流通させることができる。

神戸大学の研究チームは、ヒトiPS細胞から、ガンマ・デルタT細胞を作製することに成功した。ガンマ・デルタ(ɤδ)T細胞は、さまざまな種類のがん細胞を攻撃し、患者本人以外から採取したものであってもがん細胞を攻撃できる特質を持つ。こうした特質に注目して、ガンマ・デルタT細胞を体外で増幅培養してがんの免疫細胞療法に利用しようとする動きがあるが、血液から作製するガンマ・デルタT細胞の増幅力には限界があり、少数の提供者の血液から多数の患者の治療に十分な量まで細胞を増やすことは実現していない。実現すれば、ガンマ・デルタT細胞を「既製品」のように製造し、流通させることができる。 研究チームは今回、無限の増殖脳と分化多能性を持つiPS細胞に注目した。同チームは過去にガンマ・デルタT細胞からiPS細胞を作製することに成功し、そのiPS細胞が血液細胞の元となる造血幹細胞に分化する能力があることを確認している。しかし、そのiPS細胞から機能的なガンマ・デルタT細胞を作製できるかどうかは未確認のままだった。 iPS細胞から作製したガンマ・デルタT細胞は、元の細胞の提供者以外でも大腸がん細胞、肝がん細胞、白血病細胞を攻撃することが確認できた。この結果から、iPS細胞から作製したガンマ・デルタT細胞は、「別人」のがんの治療にも有効である可能性が高まったという。 研究成果は3月23日、ステム・セル・リポーツ(Stem Cell Reports)誌にオンライン掲載された。今後、がん免疫細胞療法での利用を目指す。また、iPS細胞が持つ、遺伝子操作が比較的容易という特徴から、より高度な免疫細胞療法であるCAR-T療法やTCR-T療法にも応用できる可能性があるという。

(笹田)

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