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Windows Info 第367回

AndroidアプリがWindowsで動く、「Windows Subsystem for Android」は今どうなってる?

2023年02月19日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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WSAとファイル転送

 WSA側からファイルを転送するには、「Android用Windowsサブシステム設定」のシステムにある「ファイル」を開き、該当のファイルを表示させてクリックすれば、ファイルが自動的に自分のダウンロードフォルダにコピーされる。左側にある「Subsystem for……」を選択すると、画像や音楽用のディレクトリがある「/sdcard」以下を見ることができる。

「Android用Windowsサブシステム設定」アプリの「システム」→「ファイル」を使うとAndroidのユーザーデータ領域にあるファイルを表示できる。ファイルをクリックするとWindows側にダウンロードが可能

 しかし、Windows側からファイルを転送するには、Android SDKに含まれる「Platform-Tools」を使う必要がある。この中にあるADB(Android Debug Bridge、adb.exe)を使って、WSAと接続する。ただし、事前に開発者モードを有効にしておく必要がある。それには「Android用Windowsサブシステム設定」の「開発者」にある「開発者モード」をオンにする。

 Platform-Toolsは、以下のURLから入手できる。

●SDK Platform-Tools リリースノート
 https://developer.android.com/studio/releases/platform-tools?hl=ja

 adb.exeが動作するようになったら、pushサブコマンドでファイルをAndroid側に転送できる。このコマンドは、ちょっとクセが強く、ワイルドカードはサポートしていないが、フォルダーをまとめて転送できる。コマンドとしては、以下の書式になる。

adb.exe push <Win32側パス> <Android側パス>

 このとき、<Win32側パス>にフォルダーを指定すると、<Android側パス>の下にサブフォルダーとして転送される。転送先がフォルダーになってしまうのがちょっと面倒だ。<Win32側パス>にファイルを指定することもできるがワイルドカードは使えない。

 このpushサブコマンドでは、ローカルのパス区切りは「\」だが、Android側のパス区切りは「/」になる点に注意してほしい。Android側はLinuxなので、ファイル名の大文字小文字が区別される点にも気を付けたい。

 PowerShellなら、以下のコマンドを使うことでカレントディレクトリにあるMP3ファイル(拡張子がmp3のファイル)をすべてAndroidの“/sdcard/Music”に転送できる。

adb.exe connect 127.0.0.1:58526
Get-ChildItem *.mp3 | %{ adb.exe push $_.FullName /sdcard/Mu

 音楽ファイルを試しに転送し、アプリストアから「音楽プレーヤー」を適当に入れてみたが、一応、再生は可能だった。もっとも、そんな使い方が有効とは思えないが……。

 WSAも通常版Windowsで実行できるようになり、CPU制限もなくなったようである。Androidアプリを実用的には使えるというレベルには達している。ただ、ときどき反応がなくなり、設定アプリなどが起動しなくなることがある(Windowsの再起動で復活はする)。感覚的には数年前のAndroidスマホという感じで、品質はもう一歩といったところか。とはいえ、多くのアプリがWindows上にもあるので、WSAに高い信頼性を必要とする場面はそうそうないと思われる。

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