【後編】『機動戦士ガンダム 水星の魔女』プロデューサー岡本拓也氏インタビュー
『水星の魔女』を世に送り出すうえで考えたこととは?――岡本拓也P
2023年04月09日 16時00分更新
〈前編はこちら〉
「従来の『ガンダム』に捉われない、新しい切り口で届ける」
前編に引き続き、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(以下『水星の魔女』)のプロデューサー、株式会社バンダイナムコフィルムワークス岡本拓也氏へのインタビューをお届けする。
4月9日(日)からSeason2が放送開始する『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は「学園もの」を始めとする新しい要素を加えることで、これまでガンダムを観たことがなかった若者や女性層を取り込み、幅広いファンの獲得に成功した。
放送される度にSNSでも話題となり、多くの視聴者のつぶやきやイラストが投稿されている。その熱は1週間持続し、次回放送まで視聴者の興味が薄れずに保たれる――まるでSNSマーケティングのお手本のような盛り上がりがそこにはあった。
「従来の『ガンダム』の手法に捉われない、新しい切り口で届けることを意識した」と岡本プロデューサーは語る。その新しさを貫くために岡本Pが心がけたことや狙いとは?
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2 STORY
A.S. 122――
数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代。
水星からアスティカシア高等専門学園に編入してきたスレッタ・マーキュリーは、ミオリネ・レンブランの花婿として、株式会社ガンダムの一員として、出会いと刺激に満ちた学園生活を送ってきた。
プラント・クエタでの事件から2週間。スレッタは学園で、ミオリネとの再会を心待ちに日々を過ごす。一方ミオリネはベネリットグループ本社に身を置き、父の容態を見守っていた。二人に襲い来る新たな困難と、迫られる決断。少女たちはそれぞれの想いを胸に、ガンダムがもたらす強大な呪いへと立ち向かっていく。
スタッフ
企画・制作:サンライズ/監督:⼩林 寛/シリーズ構成・脚本:⼤河内⼀楼/原作:矢立 肇、富野由悠季/キャラクターデザイン原案:モグモ/メインキャラクターデザイン:田頭真理恵/キャラクターデザイン:戸井田珠里、高谷浩利/メカニカルデザイン:JNTHED、海老川兼武、稲田 航、形部一平、寺岡賢司、柳瀬敬之/チーフメカアニメーター:久壽米木信弥、鈴木勘太、前田清明/副監督:安藤 良、綿田慎也/テクニカルディレクター:宮原洋平/設定考証:白土晴一/SF考証:高島雄哉/メカニカルコーディネーター:関西リョウジ/設定協力:HISADAKE/プロップデザイン:絵を描くPETER、えすてぃお/美術デザイン:岡田有章、森岡賢一、金平和茂、玉盛順一朗、上津康義/コンセプトアート:林 絢雯/美術監督:佐藤 歩/色彩設計:菊地和子/音響監督:明田川 仁/撮影監督:小寺翔太/3DCGディレクター:宮風慎一/モニターグラフィックス:関 香織/編集:重村建吾/音楽:大間々 昂/製作:バンダイナムコフィルムワークス、創通、MBS/オープニングテーマ:yama「slash」
キャスト
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那/ミオリネ・レンブラン:Lynn/グエル・ジェターク:阿座上洋平/エラン・ケレス:花江夏樹/シャディク・ゼネリ:古川 慎/ニカ・ナナウラ:宮本侑芽/チュアチュリー・パンランチ:富田美憂/プロスぺラ:能登麻美子/デリング・レンブラン:内田直哉
Season2 放送・配信情報
2023年4月9日から毎週日曜午後5時 MBS/TBS系全国28局ネットにて放送開始
AT-X:4月18日から毎週火曜午後10時/毎週木曜午前10時/毎週月曜午後4時
アニマックス:5月6日から毎週土曜午後7時
バンダイチャンネルほかで配信。サービス一覧はこちらから。
公式サイトURL https://g-witch.net/
Twitterアカウント @G_Witch_M
話題を呼んだ小説「ゆりかごの星」は
オープニングテーマ「祝福」制作のために書き下ろされたもの
―― YOASOBIさんのSeason1オープニングテーマ「祝福」も話題になりました。『水星の魔女』の世界観を表わしていて感動したのですが、どのようにして作られたのでしょうか?
岡本 YOASOBIさんにオープニングテーマを担当いただくことが決まり、決定と同時に「楽曲の原作となる小説を書いてほしい」というご提案がYOASOBIさんからあったんです。
そこで、シリーズ構成・脚本の大河内一楼さんに『水星の魔女』の小説「ゆりかごの星」を書き下ろしていただきました。
―― では流れとしては小説が書かれて、そこから楽曲が作られた。「祝福」のクレジットに「原作小説:ゆりかごの星(著:大河内一楼)」とあるのはそれを表わしているんですね。
岡本 そうなんです。面白い作り方になりました。通常は監督がアーティストの方にテーマやキーワードをお伝えして、そこから楽曲を作っていただくことが多いのですが、今回は小説が発注書の役割を果たしました。
―― 面白い試みですね。現場の段取りがちょっと大変そうですが。
岡本 本編のお話を考えながら、小説を書いていただくことになりますからね。今回は小林監督にオープニングテーマを通して届けたいことや作品のテーマやコンセプトを書いたメモを作成いただきつつ、大河内さんに小説を書いてもらう、という手順を踏みました。
それをYOASOBIさんにお渡しして、上がってきたのが「祝福」でした。限られた情報の中から作品の本質を導き出せるのは、やはりYOASOBIさんのすごさだなと思います。
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