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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第698回

ARA-2の開発を進める謎の会社Kinara AIプロセッサーの昨今

2022年12月19日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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後継機のARA-2が2023年に発表予定

 今回のLinley Processor Conference Fall 2022に話を戻すと、Kinaraはすでに動作するARA-1が販売されているという話に続き、より性能を拡充したARA-2を開発中であるとのこと。他にも、例えばホストとの通信の暗号化や、より柔軟なソフトウェアの対応が可能な仕組みの搭載なども同時に予定しており、2023年に製品発表を目指しているという。ここまで説明していながら、肝心の内部詳細は引き続き未公開というあたりがやや引っかかる。

ARA-1の時は、時間がないために画像処理関連の機能は外に出さざるを得なかったが、ARA-2ではこうしたものも取り込むことでよりホスト任せの処理をオフロードできる、としている

 実はこのKinara、気が付いたらMarkus Levy氏が2021年5月からVP, Business Development and Marketingとして加わっていた。Levy氏、もともとはEEMBCという組み込み業界向けのベンチマークを提供する団体を立ち上げて21年もの間経営した(まだ存在する)のだが、その後突如としてNXPに移籍。Director of AI and Machine Learning Technologiesという肩書でNXP製品へのAI機能搭載に尽力していたはずだったのが、そのNXPを2020年末に退職して、Kinaraに移籍した格好になる。

 EEMBC時代からLinley Processor Conferenceを主宰するLinleyグループが発行するLinley Processor Reportや、そのフォーマットの原型となった(MicroProcessor Forumを主宰していた)MicroDesignが開催していたMicroProcessor Forumにたびたび筆者/講演者として参加してさまざまなレポートや講演を行なっていた人物でもあり、その意味でわりと業界内部では有名人である。

 そうしたLevy氏が参画している理由が、単に客寄せパンダとはやや考えにくいわけで、なにかしらあるだろうという気はするのだが、それが具体的に見えてこないあたり、今後の情報公開を期待したいところではある。まずはARA-2がきちんと出荷されることを確認するのが最初であろうか?

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