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ウェアラブル/体内埋め込み用の極薄伸縮性導体を開発=理研など

2022年12月02日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所などの国際共同研究チームは、皮膚上および体内埋め込み型センサー用の極薄伸縮性導体を開発。開発した厚さ約1.3マイクロメートル(μm、1μmは1000分の1ミリメートル)の伸縮可能な導体が、皮膚および臓器(神経)へ良好に密着し、生体情報を取得するためのセンサー用電極として使用可能であることを実証した。

理化学研究所などの国際共同研究チームは、皮膚上および体内埋め込み型センサー用の極薄伸縮性導体を開発。開発した厚さ約1.3マイクロメートル(μm、1μmは1000分の1ミリメートル)の伸縮可能な導体が、皮膚および臓器(神経)へ良好に密着し、生体情報を取得するためのセンサー用電極として使用可能であることを実証した。 研究チームは今回、厚さ約1μmのシリコーンゴム基板上にマイクロクラック構造(微細な亀裂を持つ構造)を持つ金を成膜することで、伸縮性に優れた導体を開発した。この極薄伸縮性導体は導電性を維持しながら、約300%の引張りひずみを示し、ヒトの皮膚やラットの神経と良好に密着するという。 研究チームはさらに、この導体をイオン伝導性ポリマー層と組み合わせることで、水中でも皮膚に強い接着性を示し、手洗いなどの日常生活や水泳などの激しい運動中でも心電図を安定に計測できることを確認。神経に電気的刺激を与え、生体信号を高い信号対ノイズ比で取得するといった、体内埋め込み型の電極としての可能性も実証した。 極薄の伸縮性導体作製への有望なアプローチの一つとしてこれまで、薄い弾性基板に金属のマイクロクラック構造を作製することが指摘されてきた。しかし、マイクロクラック構造に基づく極薄伸縮性導体を作製するための合理的な設計手法はなかった。 研究論文は、科学雑誌ネイチャー・エレクトロニクス(Nature Electronics)オンライン版に2022年11月21日付けで掲載された

(中條)

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