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実現の課題は組織と人材 DXを進めるべく、今なにをすべきか?

LINE AI、ヤンマー、東芝が考えるDXの形 updataDX22の基調講演レポート

2022年12月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 DXを真正面から取り上げたウイングアーク1stのプライベートイベント「updataDX22」。リアル会場でも開催された3日目の基調講演は「DX キーノート」を銘打ち、ウイングアーク1st 代表取締役 社長執行役員CEO 田中 潤氏と多彩なゲストが登壇。おもに経営者やビジネスリーダーに向けて、DXに向けて、今なにをすべきかを考えさせられる内容となった。

DXの課題は企業文化と人材育成にあり

 キーノートに登壇したウイングアーク1st 代表取締役 社長執行役員CEO 田中 潤氏はupdataDX 22の登録者数が1万7000人を超えたことをまず アピール。その上で、「データエンパワーメントカンパニー」として、まずは発表されたばかりのIMDの世界デジタル競争力ランキングの数値を披露する。昨年28位だった日本は、今年さらにランキングを下げて29位となってしまった。先進国の中では圧倒的な最下位だ。

ウイングアーク1st 代表取締役 社長執行役員CEO 田中 潤氏

 デジタル競争力がさらに低くなったということで、コロナ禍でもっとも影響を受けたテレワークの現状を調べたところ、中国、ドイツ、米国と比べても、日本の利用状況は低い。半分以上が使っていないし、必要とすら思っていないという結果だ(パーソル総合研究所調べ)。利用に関しても、業種業態によって大きな差が生じており、地方になればなるほどテレワーク率も低い。「テレワークを使いこなせていない。武器に変えられていない」と田中氏は指摘する。

 では、イベントの大きなテーマであるDXはどうなのか? 同社のオウンドメディア「データのじかん」でDX推進について3年前と比較したところ、DXが進んだという企業は2割に過ぎず、3割はあまり進んでいない、残りは進んでいないという結果になった。そして進んでいない理由を掘り起こすと、実は多くの部分で人材やスキル、文化や意識といった領域で課題を感じていることがわかった。「会社の考え方と従業員のスキルや適性が足かせ」(田中氏)とのことで、課題は企業文化と人材育成にあるわけだ。

DXの課題は企業文化と人材育成

日本政府が目指す「ぬくもりのあるデジタル化」とは?

 しかし、DXが進まないと国際競争力は上がらない。そして、やるのであれば官民一体でやる必要がある。その点、国はどう考えているのか? ビデオレターで登壇したのは、デジタル庁デジタル大臣である河野太郎氏になる。

 河野氏は日本のDXを推進するデジタル庁が発足1年を迎えることを紹介し、「デジタル化による利益を多くの方が実感できるよう、ここからさらにスピードを上げて、取り組んで参ります」とコメント。その上で大切にしたいものとして「ぬくもりのあるデジタル化」を挙げる。河野氏は、産業化の進展とともに人間が機械に追い詰められていく様を描いたチャップリンの名作「モダンタイムス」を引き合いに、「われわれの目指すデジタル化はこれとはまったく異なる。デジタル化できるものは徹底的にデジタル化し、人は人が本来やるべきことに時間と力を使うことができるようになる」と説明し、人が人に寄り添うためのデジタル化であることを強調した。

デジタル庁 デジタル大臣 河野太郎氏

 また、自治体の職員が住民の代わりにデータ登録する「書かない窓口」についても紹介した。これまで市民は役所の手続きを行なうたびに、名前、住所、電話番号などの情報を紙で記入する必要があった。でも、こうした情報はすでに役所が持っているデータだ。本人確認できれば、役所側で申請書を完成させ、他部署と連携することすらできる。バックオフィスをデジタル化することで、住民が便利になるこの取り組み。今後は、そもそも役所に行かなくても済むようにしていきたいという。「役所に来る方の9割は、役所に来なくて済む。そういう形にしたいと思っています」と河野氏は語る。

 こうした自治体のDX化を推し進めていけば、役所自体がコンパクトになる。この鍵となるのが、現在普及に総力を挙げているマイナンバーカードだ。「たとえば、災害のとき、マイナンバーカードを入所登録にしたり、薬や粉ミルク、食料など必要な物資を把握するのに使おうとしている自治体が増えています」と河野氏は語る。実際、宮城県で行なった避難訓練では手書きでは31人しか入所登録できなかったが、マイナンバーカードを使ったアプリは2分間で100人に登録が実現できたという。

 「日本のデジタル化は政府だけで進めていくわけでありません。民間企業や自治体との協力は欠かすことができません」と語る河野氏は、会場内の聴講者や視聴者に向けて、デジタル庁への協力を依頼。「民の立場から日本のデジタル化に必要なアイデアや提案をどんどんお寄せいただきたい。デジタル庁で働いてみたいという人を歓迎しています」とメッセージを送り、updataDXのイベントへの期待を示した。

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