2022年の秋は、魅力的なミラーレス一眼が続々と登場してきたわけで、今回は、ソニーの「α7R V」だ。これは、α7シリーズの中で最も高画素なハイエンドモデル。なにしろ、有効約6100万画素である。
α7というと、最近は動画に力を入れたモデルが多かったが、このα7R Vは、高画質な写真を撮るべく現れたカメラなのだ、たぶん。動画撮影に向いたバリアングルに加え、写真撮影に向いたチルト式を組み合わせたマルチアングルモニタを搭載したり、被写体検出の種類を増やしたり、猫AFも、瞳・顔・体とその状況に応じて捕らえてくれるようになった。
だから、モニタを開いてローアングルで撮りまくりである。この姿勢が、α7R Vなのだ。地面すれすれに構えて、親指シャッターの握りで持ち、モニタを開いて、あとは猫AFさんよろしくって感じ。
この写真を見ると、チルト式モニタだけど、モニタの左にヒンジが見えてるのがわかる。チルトすると同時に、横に開いて回すこともできるってわけだ。手にグローブをしてるのは、この日は自転車で移動してたから、自転車用グローブをしたままだったのだ。
で、この状態で猫をねらってたら、いきなりこっちに向かって歩き出したのである。歩く前に必要なのは準備運動ってことで、冒頭写真はその伸びの瞬間だ。急に猫が伸びをしても、ちゃんと顔にフォーカスが来ている。そして、いちばん伸びた瞬間がこちらだ。
この猫を撮ったのは、とある神社。さらにこの日は、別の神社やお寺でも猫に出会ったのだ。
1匹は高台にある神社で、トイレの脇に猫ハウスっぽいものがあるぞ、と思ったら、ちょこんと座ってる猫を発見。もっと寄って撮った写真もあるけど、この昭和からあるようなトイレや、その横にある無造作な猫ハウスといった雑然さの中に、ぽつんと座ってる様子がおもしろかったのである。
続いて、とあるお寺の境内。きれいなハチワレの猫が、お堂の前にちょこんと座ってたのだ。
モニタがチルトすると、簡単に目線を下げられるから、つい猫目線で撮っちゃう。それがまた楽しい。この日に出会った猫は、この3匹。
後半は、うちの猫編だ。秋が深まり、冬が近づくと、飼い猫の季節。太陽の位置が低くなり、部屋の奥まで日が入るようになり、そのぬくぬくを求めて猫が昼寝に来るのである。猫にとって楽しい季節だ。そんなぬくぬくしてる、うちのかふかを撮ろうとα7R Vを構えたら、そこにとことことやってきた黒猫のミルが、かふかを舐め始めるというフォトジェニックな光景が。
と思いきや、いきなり襲いかかったのである。
実はこれが日常茶飯事で、互いに舐め合っていても、途中からミルが嚙んじゃって、かふかが怒るのが定番。それが、かふかのストレスにならなければいいなあと思ってるのだけど妙案なし。
こういう2匹が絡むシーンって、ピントをしっかり合わせるのが大事なのだけど、今回は全部カメラ任せ。ずっとかふかの瞳や顔を追いかけてくれたおかげで、きちんとかふかの顔にピントがきていて、すごくありがたいのである。
さてさて、そんな遊びたくてしようがない黒猫のミルだが、よく晴れた昼間、窓際で作業してたら、いきなりキャットタワーに飛び乗って、天井を目で追ったのだ。虫でもいたかと思いきや、私が手にしてたスマホの画面に反射した日差しが、たまたまいい場所に当たっていて、それを追っていたのである。やっぱ、日差しが深く入るこの季節は楽しい。
おもしろいので撮影したけど、強い光が猫の目に当たらないように。さらに、実際に触れられないもの(レーザーポインターもそうだ)を追わせるのは、猫にストレスになるのでよくないという話もあるので、遊びすぎないように。
話は戻って、α7R Vはめちゃ優秀な猫撮りカメラで、画質もほんとにいいのである。ハイエンド機なので価格的にお高めだし(実売55万5500円)、レンズも加えると価格的にも重量的にも気軽には扱いづらいレベルになっちゃうので、“ガチ勢”向けって感じなんだけど、欲しくなるよねえ。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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