140mm径ファン4種をテスト
各ファンの基本スペックを把握したあとは、実動テストだ。パフォーマンステストは、マザーボードのファンコントロール機能を利用して、回転速度を30%~100%まで10%刻みに変更、各速度での動作音を計測した。
テスト環境 | |
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CPU | インテル「Core i9-12900K」 (16コア/24スレッド、最大5.2GHz) |
CPUクーラー | Deepcool「AK620 ZERO DARK」 (サイドフロー空冷クーラー、120mmファン×2) |
マザーボード | MSI「MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」 (インテルZ690、ATX) |
メモリー | G.Skill「F4-3600C16D-32GTZNC」 (16GB×2、DDR4-3600) |
ビデオカード | Palit「GeForce RTX 3080 Ti GamingPro 12GB」 (GeForce RTX 3080 Ti、12GB GDDR6X) |
ストレージ | Samsung「980 PRO MZ-V8P2T0B/IT」 (2TB M.2 SSD、PCIe4.0 NVMe) |
電源ユニット | SUPER FLOWER「LEADEX VI PLATINUM PRO 1000W」 (1000W、80PLUS PLATINUM) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」22H2 |
騒音値はPCケースフロントへの取り付けを想定したファン軸から斜め前40cmの位置と、リアやトップの排気ファン想定として排気側から30cmの位置で計測している。さらに今回は参考程度だが、数千円のデジタル風速計を用意したので、ファン排気側20cmの位置での風速(m/s)も計測した。まずは回転速度ごとの騒音値を確認していこう。
TL-B14Wの騒音値(dBA、暗騒音 34.8dBA) | ||||||||
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出力 | 30% | 40% | 50% | 60% | 70% | 80% | 90% | 100% |
回転数 | 500~520rpm | 670~680rpm | 820~840rpm | 970~1000rpm | 1100~1150rpm | 1250~1280rpm | 1380~1420rpm | 1520~1550rpm |
吸気 | 36.1 | 36.1 | 36.2 | 36.3 | 36.6 | 37.3 | 38 | 39.3 |
排気 | 36.7 | 36.7 | 37.5 | 39.8 | 42.8 | 44.3 | 48.4 | 49.8 |
今回のメインである「TL-B14W」からみていくと、静音性は良好で100%でも吸気側は40dBAを切っていた。排気側はさすがに風が騒音計に当たるのもあり、49.8dBAになったが、4製品のなかでは2番手に静かだ。80%あたりから“ブーン”という風切り音に気がつくが、高周波音はなく、試した個体(2個所有)では軸ブレはなかった。
また、フレームの剛性が高いため、高速回転で振動を感じることもなかった。PCケース次第だが、フロントメッシュ仕様のケースのフロントや、PCケースのリア、トップに取り付けるなら、最大回転速度を70~80%にするか、常時70~80%回転に設定するのが良さげだ。
NF-A14 PWM 騒音値(dBA、暗騒音 34.8dBA) | ||||||||
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出力 | 30% | 40% | 50% | 60% | 70% | 80% | 90% | 100% |
回転数 | ー | 700rpm | 850~870rpm | 1000~1030rpm | 1150~1170rpm | 1300~1320rpm | 1430~1450rpm | 1540~1560rpm |
吸気 | ー | 36.3 | 36.5 | 36.6 | 37.1 | 38.1 | 38.9 | 40.5 |
排気 | ー | 36.5 | 37.6 | 39.6 | 41.5 | 44.5 | 46.8 | 48.5 |
次はnoctua「NF-A14 PWM」の結果をみていこう。こちらも100%回転での騒音値は吸気側40.5dBA、排気側48.5dBAと優秀だ。回転速度70%あたりから、“シャー”という回転音が耳につくので、吸排気側ともに40dBAを切っている60%前後での運用がベストかもしれない。
付属のローノイズアダプターを使えば、最大回転数は1200rpmに制限されるので、PWM制御のポン付けでの運用もオッケーだ。静かなだけでなく、回転数のブレが少ないなど、2012年のリリースから10年たった今でも愛用者が尽きない製品だけはある。
TOUGHFAN 14 騒音値(dBA、暗騒音 34.8dBA) | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
出力 | 30% | 40% | 50% | 60% | 70% | 80% | 90% | 100% |
回転数 | 700~730rpm | 950~980rpm | 1170~1200rpm | 1380~1420rpm | 1560~1620rpm | 1750~1800rpm | 1910~1960rpm | 2060~2130rpm |
吸気 | 36.3 | 36.5 | 37.4 | 39.4 | 41.8 | 44.3 | 47.3 | 49.2 |
排気 | 37.1 | 39.8 | 43.7 | 48.6 | 52.3 | 54.4 | 56.7 | 59.2 |
3製品目は運用時のカスタマイズが、必要と言えるThermaltake「TOUGHFAN 14」だ。最大回転数が2000rpmに達するだけあって、100%だと吸気側、排気側ともに爆音だ。
ほかの3製品と同じ最大回転数の1500rpm台となる70%のところでみても、吸気側41.8dBA、排気側52.3dBAと高めになっている。50%のラインまで落とすことで、動作音はかなり気にならないようになるが、それでも少し回転音が耳についた。
回転速度をカスタマイズすることで、ある程度の動作音は妥協して、冷却性重視でラジエーターファンに使うなど、幅広いシーンに使えるのは良い。
P14 PWM 騒音値(dBA、暗騒音 34.8dBA) | ||||||||
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出力 | 30% | 40% | 50% | 60% | 70% | 80% | 90% | 100% |
回転数 | 580rpm | 780rpm | 900~930rpm | 1100~1120rpm | 1280~1300rpm | 1430~1460rpm | 1580~1620rpm | 1720~1760rpm |
吸気 | 35.8 | 36.1 | 36 | 36.1 | 36.4 | 36.8 | 37.5 | 39.1 |
排気 | 36.1 | 36.8 | 37.7 | 41.5 | 43.6 | 48.6 | 51.8 | 52.9 |
続いては「P14 PWM」の騒音値をみていこう。回転数が1700rpm台になっている100%でも吸気側39.1dBA、排気側52.9dBAと静音性は、なかなか優秀だ。「TL-B14W」や「NF-A14 PWM」の最大回転と同じ、1500rpm台をみると吸気側は37.5dBAと最も静かだ。高い回転速度で静かに運用することができる。
ただ、フレーム剛性は価格相応で、個体差もあるが振動は大きく、回転速度60%あたりから振動を感じた。ラジエーター固定時は問題ないが、ファン取り付け部のフレームが薄いPCケースでは共振が心配なので、防振ゴムブッシュなどを用意したい。
4製品の風速を比較
最後に回転速度ごとの風速を確認していこう。それぞれのベストな回転速度の風速をみると、「P14 PWM」が最も高くなっている。振動対策が必要になるが、在庫があればかなり狙い目と言える。
肝心のホワイトカラーの「TL-B14W」も70%~80%の風速は1.2~1.4m/hと、定番2製品と比べて見劣りしない結果になっている。
また、さまざまなシーンで使える「TOUGHFAN 14」も、50%で1.4m/hに達し、回転速度を上げるとともに、しっかりと風速は増している。
風速(m/h) | ||||||||
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出力 | 30% | 40% | 50% | 60% | 70% | 80% | 90% | 100% |
TL-B14W | 0.4 | 0.6 | 0.8 | 1.0 | 1.2 | 1.4 | 1.6 | 1.8 |
NF-A14 PWM | ー | 0.7 | 0.9 | 1.1 | 1.2 | 1.4 | 1.6 | 1.8 |
TOUGHFAN 14 | 0.8 | 1.1 | 1.4 | 1.7 | 2.0 | 2.1 | 2.3 | 2.5 |
P14 PWM | 0.5 | 0.7 | 1.0 | 1.2 | 1.5 | 1.7 | 1.8 | 1.9 |
「TL-B14W」は白いというカラーコーディネート面だけでなく、静音やエアフロー面も不満なしだ。140mm径の白色ファンを探していた人、これから140mm径ファン対応の白色PCケースで組もうと考えている人は“買い”と言える。
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