日本における生産を強化、ただし答えを出し切れていない
市場環境は厳しくても、同社の力強い成長にあわせ、投資には積極的だ。
米国市場においては、2022年11月からインバータを搭載したFITの生産を開始。アジアから輸出しているルームエアコンも、今後はメキシコで生産することになる。また、インドでは、南部にルームエアコンの工場や、重要部品であるコンプレッサーの工場を稼働。欧州ではポーランドでヒートポンプ暖房を生産。既存のチェコおよびドイツの生産拠点でも増産を開始する。さらに2024年には、インドネシアでもルームエアコンの工場を立ち上げる計画である。世界同時にこれだけの生産拠点の増強を進めているのだ。
注目されるのは、日本における生産の強化だ。
すでに国内生産への回帰を検討していることを十河社長兼CEOは明かす。
「国内空調事業では、まずは部品の国内調達への切り替えを足下で進めている。製品自体についても、海外で生産しているものを国内に持ってくることができないかという検討を進めている。これは円安という観点だけでなく、BCPの観点からも考えているものだ。空気清浄機はすべてを中国で生産していたためにリスクが大きかった。すでに、滋賀製作所で空気清浄機の一部生産を開始している。また、全熱交換器の一部も国内で生産を始めた」としながら、「もう一段、国内に生産を持ってこなくてはいけないと考えている。ルームエアコンのボリュームゾーン製品を中国から日本に移し、海外と同等のコストで作れないかと検討している」とする。
さらに、「空調は滋賀製作所と、金岡工場、臨海工場(いずれも堺製作所)の3拠点があるが、土地や建物に余地がない。新工場の検討もしている。議論のなかでは、関西にすべての工場があることから、関東圏に工場を持つことも、人材確保の点ではプラスに働くといえる。国内生産の場合には、労務費が高くなるが、コスト追求のために、モジュール化を進めることで、組立を自動化したり、面積生産性をあげ、空地づくりをはじめたりしている。開発設計と生産技術と生産現場が一体となり、開発段階から、製品構造を変える必要もあるだろう。また、日本においては、ソリューションの取り組みを加速することも大切だ」とする。
そして、「部品についても、海外シフトした取引がある日系企業が、国内生産するための設備投資を詰める必要がある。サプライヤーと一体になってやらなくてはならない」とも語る。
「国内生産については、まだ答えは出し切れてない」とするが、これもダイキンの総合力をベースに検討を進める考えだ。
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