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次世代宇宙輸送実現へ、無電極プラズマ推進機の性能を向上

2022年11月15日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の研究チームは、無電極プラズマ宇宙推進機の推進効率(高周波電力から推進エネルギーへの変換効率)を約30%まで向上させることに成功。さらに、理論モデルによって実験結果を説明できることを示した。

東北大学の研究チームは、無電極プラズマ宇宙推進機の推進効率(高周波電力から推進エネルギーへの変換効率)を約30%まで向上させることに成功。さらに、理論モデルによって実験結果を説明できることを示した。 研究チームは、磁場強度がゼロとなる位置を有する「カプス」と呼ばれる磁場構造に、プラズマの閉じ込め効果があることに着目。プラズマ発生部にカスプ磁場構造を適用して磁力線の形状を変化させることで、プラズマの壁面接触で起こるエネルギー損失・粒子損失を抑制できることを発見した。 室内実験における燃料の質量流量、高周波電力、および推力の計測結果から推進効率を見積もったところ約30%となり、これまでの最高性能であった20%を更新。プラズマ発生モデルにカスプ磁場構造を組み合わせたモデルで推力解析を実施し、実験結果を説明できることも示した。 無電極プラズマ推進機は、高周波プラズマ源と磁気ノズルによるプラズマ加速を経て宇宙空間へ燃料を噴射し、推力を発生する。大電力化と長寿命化を両立できる次世代の宇宙推進機として期待されているが、推進効率の向上と物理過程の解明が課題となっている。 本研究成果は、科学雑誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)に2022年11月10日付けで掲載された

(中條)

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