タイヤも太いし全部ある「グラベルロード」の勃興
昨今「グラベルロード」と呼ばれるタイプの自転車が人気です。グラベル=砂利、つまり砂利道を走る自転車です。
ロードレーサーのフレームにマウンテンバイクに近い太いタイヤを履かせたもので、路面状況を選ばずそこそこのペースで走り続けられる。バッグやキャリアを取り付けるネジ穴がフレームにたくさん付いているので、荷物を積んで自転車旅行にも出かけられるというロマンも人気の一因だろうと思われます。
ただし太いタイヤの抵抗や車体の重さもあって、舗装路や坂道ではロードレーサーほど速くは走れません。本格的なガレ場や下りではマウンテンバイクに敵わない。だからハンパな自転車だ、ただの流行だとおっしゃる方もいらっしゃいますが、そうしたところも含めて自動車で言うところのSUVに近い存在です。
速く走る気など一切ない私のようなおじいさんには、タイヤが太くて乗り心地のいい、アップライトに乗れる楽チンさがとても嬉しい。たとえばメリダの「Silex」という車種は、ハンドルの位置がロードレーサーの基準で考えるとめちゃくちゃ高いわけであります。
「オールロード」「エンデュランスロード」と呼ばれる自転車も人気です。グラベルロードとの境目ははっきりしませんが、いずれもロードレーサーより太めのタイヤが履ける、適用条件を舗装路から不整地に振ったカテゴリーということでは一緒です。
現在アメリカのメジャーブランド各社は、こうしたクロスオーバーな自転車向けのサスペンション開発で凌ぎを削っております。たとえばトレックはシーチューブがしなる「IsoSpeed」、スペシャライズドはハンドルコラムがストロークする「Future Shock」、キャノンデールはリアのフレーム全体で振動をいなす「Kingpin suspension」といった具合で、それぞれ独自の手法で攻めています。
中でもキャノンデールにはお得意の片持ち式サスペンションフォークをフロント装着した、よりマウンテンバイクに近いグラベルロード「Topstone Carbon Lefty」があります。スペシャライズドは2023年モデルとしてリアにもFuture Shockを採用した「Diverge STR」を発表しました。
なるほど、こうした前後サス付きがトレンドか。と思いきや、トレックは「Domane」に採用していたフロントのIsoSpeedを廃止してリアのみとし、軽量化のメリットを訴えています。まあ様々な技術や各社の思惑があって、今一番面白いジャンルであるのは間違いありません。
ただ、こうした最新の自転車をいますぐ買えるかと言えば、なかなか難しい状況にあるのは自動車と同じです。
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