このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第389回
ゲームに特化した「Xperia 1 IV Gaming Edition」はゲーミングスマホと何が違うのか
2022年11月03日 12時00分更新
Xperia 1 IV専用の冷却設計、その効果は
Xperia Stream for Xperia 1 IVの大きな機能の1つとして、装着してゲームをプレイすると冷却ファンが動作し、本体を冷却してパフォーマンスや持ちやすさを維持してくれることが挙げられる。では一般的なゲーミングファンとどのような点が違うのかというと、本体全体をまんべんなく冷やしてくれる点だ。
ゲーミングファンの多くは装着した場所に空冷、最近ではペルチェ素子などを加えて発熱しやすい場所を集中して冷やすようになっている。ただ熱源が複数あると本体が冷えにくかったり、熱源に応じて装着場所を選ぶ必要があるため場所によってはゲームプレイに支障が出たりするのが難点だ。
だがXperia Stream for Xperia 1 IVは、冷却ファンと独自の構造で本体の背面だけでなく前面にも風を送って冷やす仕組みとなっており、ゲームプレイしていると指にほんのり風を感じる。Xperia 1 IVはゲーミングに強いとはいえ専用に設計されたスマートフォンではなく、ゲーミングスマートフォンのように冷却しやすいよう熱源を集中させている訳ではないことから、こうした仕組みを採用しているようだ。
ではその冷却効果はどの程度なのか、ゲームモードを「パフォーマンス優先」にした状態で「原神」を20分プレイし、前面、背面の温度を測定してみた。まずはXperia 1 IV単体でプレイした場合だが、前面の温度は前面が約40~45度、背面が約35~46度で、前面にした状態で中央のやや左寄りの部分が熱くなりやすいようだ。
一方、Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着してプレイした場合の温度を確認すると、前面の温度は約30~39度。背面に至っては冷却効果に加え、厚めのボディーにより本体の熱源から距離ができることもあって約21~26度にまで下がる。寒い日などは逆に指が冷えてプレイしづらかった程で、冷却効果はてきめんといえるだろう。
もう1つ気になるバッテリーの持続時間だが、ファンの回転を「Auto」にして給電せずに「原神」をプレイし続けてみたところ、バッテリーが5%を切るところでファンが停止し、最終的には約2時間でバッテリーが切れた。給電なしでもそこそこの時間、ゲームプレイはできるようだ。
ちなみにファンの設定は、「Game enhancer」を呼び出した後に「ゲームモード」を選択することで設定可能。ファンの回転だけでなくシャッターキーでファンのオン・オフを制御したりもできるようになる。
ライブ配信などに便利な有線の端子類を用意
そしてもう1つ、Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着すると利用できるようになるのが有線のインターフェース類だ。実際、下部にはUSB Type-C端子のほか、イーサネット端子、HDMI端子、そして3.5mmのイヤホン端子が備わっており、それらにケーブルを接続することで各機能を利用することが可能だ。
イーサネット端子は有線でネットワークに接続することにより、Wi-Fiやモバイル通信で発生しがちな通信の不安定さをなくし、オンラインゲームの安定的なプレイを実現できるようになる。性能的には100BASE-TXなので実はWi-Fiや5Gよりも最大通信速度が落ちるのだが、ゲーム中に大容量通信をするケースは少なく、有線LAN接続で安定した通信を確保しやすくなることから「ゲーム中にネットワーク接続が一時止まってしまい、その間にやられてしまった」という経験がある人にメリットが大きいだろう。
HDMI端子はゲームプレイよりむしろ、ゲームのライブ配信などをする際に役立つ端子であり、ケーブルを接続するだけでゲームの映像をディスプレーだけでなく、キャプチャーボードなどにも簡単に出力できる。端子もミニHDMIやマイクロHDMI端子ではなく、通常サイズのHDMI端子だというのも利便性が高い。
有線接続で気になるのは、やはりケーブルが邪魔になってゲームプレイに支障が出てしまうのでは? ということ。もちろんしっかり考慮がなされており、すべての端子を中央下部に集中配置することで、本体を手にした時にケーブルが指に一切触れない仕組みとなっていることから、試しに全端子にケーブルを接続してプレイしても、ゲームプレイに影響することはなかった。
【まとめ】ゲーミングスマホよりプロ・セミプロ向け機能が充実
ここではXperia Stream for Xperia 1 IVの使用感を中心にレビューしてみたが、Xperia 1 IV Gaming Editionはゲーミングスマートフォンとは設計思想が違っており、通常のスマートフォンをゲームする時だけ強化する、という発想で作られているようだ。
それゆえゲーミングスマートフォンのような目立つデザインではなく、日常的なスマートフォンとしてXperia 1 IVを活用しやすい。それでいて、ゲームプレイ時はXperia Stream for Xperia 1 IVを装着することでプレイが快適になり、配信などもやりやすくなることからeスポーツのプロやセミプロ、さらには日常的にライブ配信をしているストリーマーなどにとってメリットが大きいといえる。
その一方で、ゲーミングスマートフォンのように専用のトリガーなどが用意されているわけではなく、ゲームプレイ時のカスタマイズ性は高くないのに加え、本体の一部が光る仕組みなどもない。またソニーストアでの価格は18万9200円と、「ROG Phone 6 Pro」(16万9800円)や「Black Shark 5 Pro」(11万8800円)、「REDMAGIC 7」(上位モデルで13万7520円)といった最近のゲーミングスマートフォンと比べても高い。
そうした要素を考慮すると、やはり趣味でゲームを楽しむアマチュア向けというより、Xperiaシリーズのフラッグシップモデルと同様“好きにこだわる”ゲームのプロ・セミプロに向けた製品といえそうだ。
なお、Xperia Stream for Xperia 1 IV自体は単体販売もなされているので(ソニーストアとドコモオンラインショップで2万3100円)、安くはないがすでにXperia 1 IVを持っている人なら負担を抑えて環境整備ができることも覚えておくといいだろう。
Xperia 1 IV(SIMフリー) | ||
---|---|---|
メーカー | ソニー | |
ディスプレー | 6.5型有機EL(21:9) | |
画面解像度 | 1644×3840ドット | |
サイズ | 約71×165×8.2mm | |
重量 | 185g | |
CPU | Snapdragon 8 Gen 1 | |
メモリー | 16GB | |
ストレージ | 512GB | |
OS | Android 12 | |
4G対応周波数 | B1、3、4、5、7、8、12、13、17、18 19、21、26、28、38、39、40、41、42 |
|
5G対応周波数 | n3、n28、n41、n77、n78、n79 | |
カメラ | アウト:約1220万画素(24mm、標準) +約1220万画素(16mm、超広角) +約1220万画素(85-125mm、望遠) +3D iToFセンサー /イン:約1200万画素 |
|
バッテリー容量 | 5000mAh | |
防水/防塵 | ○/○(IPX5/8) | |
生体認証 | ○(指紋) | |
デュアルSIM | nanoSIM+eSIM | |
USB端子 | Type-C | |
カラバリ | ブラック、アイスホワイト、パープル |
この連載の記事
-
第519回
スマホ
ドコモ以外からも売られる新らくらくスマホはガラケー的UIと進化した健康管理機能で勧めやすい1台 -
第518回
スマホ
モトローラの縦折りスマホ最高峰「motorola razr 50 ultra」は強化されたAIが楽しい -
第517回
スマホ
安く買えて普段使いに問題なし! バランスが良いオススメのミドルレンジスマホ3選 -
第516回
スマホ
カメラやAIの性能に違いはあるのか? Xiaomi 14Tと14T Proを使い比べてみた -
第515回
スマホ
日本発売が決定した可変絞りカメラ搭載のハイエンドスマホ「nubia Z70 Ultra」速攻チェック -
第514回
スマホ
2人同時に音楽を楽しめる青春スマホ「nubia Music」に新しい可能性をを見た -
第513回
スマホ
4万円で買えるゲーミングスマホも! コスパに優れたデザインスマホ「realme 13」シリーズがアツイ! -
第513回
スマホ
100倍望遠が実用的なスマホ「vivo X200 Pro」はカメラ性能が変わらず最強だった -
第512回
スマホ
ツァイスカメラ搭載のスマホ「vivo V40」は可変色LEDライトでポートレート撮影も得意 -
第511回
スマホ
価格も性能も妥協したくない人にオススメの王道ハイエンドスマホ3選 -
第510回
スマホ
スマホは高くない! 2万円台で買えるオススメ格安エントリースマホ4選 - この連載の一覧へ